ホテルビュッフェ改革で利益を守る フードロス削減と多様な食習慣対応、収益モデル再設計の波

飲食・宿泊2026.03.06

ホテルビュッフェ改革で利益を守る フードロス削減と多様な食習慣対応、収益モデル再設計の波

2026.03.06

ヴィーガンやハラール対応も常識に

利益を守る攻めの戦略として、もう一つの柱となるのが「食の多様性(ダイバーシティ)」への対応だ。インバウンド客の増加に伴い、ベジタリアン、ヴィーガンといった特定の食習慣を持つゲストの割合は確実に増えている。ここで重要なのは、彼らを「特別なリクエストをする少数の客」として扱うのではなく、標準的なラインナップの中に「最初から選択肢として組み込む」ことだ。

ホテルニューオータニ(東京)の最上階に位置するビュッフェダイニング「タワーレストラン」では、食の多様性に対応するためヴィーガン・プラントベースメニューを強化している。

ビュッフェ台には、黄えんどう豆100%麺を使った「ZENBヌードル」のパスタや焼きそば、「とろける豆乳チーズピッツァ」、豆乳ホイップで仕上げた豆乳やオーツミルクを使用したスイーツなど、動物性食材を使わない料理が複数並ぶ。

さらにプラントベースフードを使用した煮込み料理やスープといった温菜もあり、一般客でも違和感なく楽しめる設計になっている。メニューには「VG(ヴィーガン)」「GF(グルテンフリー)」などのピクトグラムが付与され、訪日客も選びやすいという。

このような対応は、一見すると手間やコストが増えるように思える。しかし、実は「代替食材の活用」は、食肉価格の高騰に対するリスクヘッジにもなる。また、「どの宗教・信条の人も同じテーブルで楽しめる」という安心感は、団体客やMICE(国際会議・展示会)の誘致において、競合他社に対する優位性となる。

「引き算」の設計が、現場の質と粗利を安定させる

最後に注目したいのが、ビュッフェスタイルの「ハイブリッド化」による運営の効率化だ。

三井ガーデンホテルズは「体験型」をテーマにビュッフェをリニューアルし、ライブキッチンでのおむすび提供や、メインを選べる「ハーフビュッフェ」形式を強化した。

全てを大皿に並べないことで、補充の手間を減らし、見栄えの劣化による廃棄を防ぐ。また、つくばの湯アーバンホテルなどの事例では、AIならぬ「工場のライン設計思想」を応用し、誰でも美しく盛り付けられる「小鉢スタイル」を徹底することで、フードロスを前年比で半減させ、口コミ評価を劇的に向上させた。

豪華さの競争から、設計の競争へ。廃棄量をデータで可視化し、一品ずつ改善し、余剰は外部販売で回収し、多様なニーズに応える設計を整える。こうした「小さな改善の連鎖」をITツールや仕組みで自動化・定着させることで、ホテルビュッフェをコストセンターから「利益創出部門」へと変えることができるのではないだろうか。

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