飲食店が集客力・認知度をアップするための、SNS活用方法とコミュニティの作り方

飲食・宿泊2021.05.10

飲食店が集客力・認知度をアップするための、SNS活用方法とコミュニティの作り方

2021.05.10

飲食店が集客力・認知度をアップするための、SNS活用方法とコミュニティの作り方

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コロナ禍の長期化を受け、飲食店経営者から「販促費に積極的にお金をかけられない」「自粛ムードが続く中、お客様に店に来てほしいと言いづらい」といった声は多い。しかし一方でTwitter、InstagramなどのSNSやクラウドファンディングを上手に活用してネット上のコミュニティを作り、売上を伸ばしている外食企業もある。

そこで今回は、外食産業専門のコンサルタントで長年の実績をもつ株式会社ブグラーマネージメント代表取締役の永田雅乙氏に、店舗の認知・売上をアップさせるためのSNS活用術を伺った。

目次

コロナで激変した「お客様の習慣」

株式会社ブグラーマネージメント
代表取締役 永田雅乙氏

コロナ禍が長期化し、飲食業界も長く苦戦を強いられている。一部の地域ではワクチン接種も始まっているが、たとえワクチンが広がっても「飲食業界の売上が元通りになることはない」という永田氏。

「社会はマスクをつけての生活に慣れましたが、飲食店に関してもいつの間にか時短営業にお客様たちが慣れてしまいました。帰宅時間も早まり、はしご酒や2次会、3次会などの習慣もなくなり、前ほど外食をしない人も増えました。飲食の習慣がガラリと変わってしまったんです」(永田氏)

この状況では、もはやECや新業態の開発、デリバリーやテイクアウトの充実だけでは追いつかない。来店を促すための強い動機づけとなる「この店でなければならない理由」が必要になる。そこで重要なのがSNSだ。

グルメサイトより、ツイッターとインスタで「3秒で伝わる」工夫を

「最近の消費者は、ただグルメサイトを見るよりも、SNSで知った店のクーポンをダウンロードしたり、SNS経由でグルメサイトを訪れたり、ハッシュタグ検索で来店を決める人が増えています。つまり従来のようにグルメサイトを充実させるより、SNSを活用した方が効果的なんですね」

主要なSNSとしては、FacebookやTwitter、Instagram、You Tube、Tik Tokなどがある。近年は文字よりも写真が中心になっているが、You TubeやTik Tokなど動画も大きな存在感がある。SNSでのコミュニケーションを通じた集まり=コミュニティができれば、ファンから資金調達をするクラウドファンディングも成功しやすくなるだろう。

これからSNSの活用を考えている飲食店は、まずは画像中心のTwitter、Instagramから始めよう。すでに始めている店舗も、これを機に運用方法を見直してほしい。飲食店の多くはビラ配りに近い感覚で、画像と商品の説明を長々と書いたり、キャンペーンやイベントの告知をアップしたりするだけになってしまっているが、これではスマホの画面をスクロールされるうちに流れてしまう。

「投稿は、ビジュアルと1キャッチのコピーで伝えましょう。『3秒で伝えろ、説明の機会は与えられない』ということを意識してください。自分がSNSをスマホで流し見するときも、フォローしている人の投稿がなんとなく目に止まったり、偶然目に入った写真で手が止まったりすると思います。一方で、読ませようとしている説明くさい記事はスルーしますよね。ですから基本的には、一発でワッと興味を引けるような写真を意識しましょう。短文のコピーを載せる際も、文字のサイズも含めてワンキャッチで伝わるような内容にすべきです」

写真の撮り方が分からない場合は、TwitterやInstagramでフォロワー数がたくさんいるアカウントを見てみよう。SNSには成功事例が日々たくさん流れている。まずはそれらをしっかりと見てマネをすることだ。SNSは自分たちのメディアであるという感覚を持ち、誰に見られているのか、誰に見られたいのかを意識して伝え方を変えていこう。

「バズる」ために挑戦しやすい取り組み

SNSで投稿が多くのユーザーに拡散し、話題になることを「バズる」という。このバズりは、実は誰でも起こせるという永田氏。ひとことで言えば、自分の投稿に「いいね」を付けた人の中から、5000以上フォロワーを持つアカウントにターゲットを絞ってコミュニケーションを深め、商品提供や食事会などを通じてお店のファンになってもらうのだ。

「実は私自身、SNSはそれほど詳しくありませんでした。でも1年ほど前にECを始めた際、この方法で月平均300万円の売上を達成したんです。地道にTwitterとInstagramに投稿し、いいねを付けてくれた方の中からフォロワー数5000~1万のユーザーに商品を提供して投稿していただくことを積み重ねた結果です」

日々TwitterやInstagramに投稿していると、1ヶ月に1回ほどはフォロワー数の多いアカウントから「いいね」をもらうことがある。そのアカウントをリスト化し、「いいねをありがとうございました」といったDMからコミュニケーションを深めていく。お店へ招待状を出して新メニューを体験してもらったり、商品を割引で提供したりして、その様子や感想をInstagramやTwitterにアップしてもらうのだ。目安となるフォロワー数は、5000~5万程度がいいという。

「50万フォロワーを超えるようなアカウントは、すでにプロなので広告費も高く、商品を提供しても本心からファンになってくれる可能性は低い。しかし5000~5万フォロワー、多くても10万フォロワーくらいの人たちは、決してSNSのプロではないけれども、素人の中ではかなりの影響力を持っている方々です。このような方々をリスト化してしっかりコミュニケーションを取っていくことで、本当の意味での『効果的なバズり現象』が起こせるのです」

1万フォロワーを持っている顧客が100人いれば、100万フォロワー並みの影響力になる。日々投稿し続けて「いいね」の解析をしていけば、この100人のリストは自ずとできてくるはずだ。新メニューを意図的にバズらせたり、店舗やECの認知度を高めることも可能になる。

そのリストを作るためには日々、なるべく多くの「いいね」を得てフォロワー数の多いアカウントと出会う確率を上げなくてはならない。さらにフォロワーが食いついてくれる投稿をアップする必要がある。ビジュアルと1キャッチのコピーで印象に残る投稿を心がけよう。

万人受けを狙うな!熱狂的ファンとコミュニティを作れ!

SNSを活用する際は有益な情報を囲い込まず、むしろ公開することが大切だ。

「私自身も以前は有料のセミナーが中心でしたが、この1年ほど無料で情報を提供するようにした結果、様々なつながりが増えました。オンラインで別のウェビナーに呼んでいただいたり、新たな企業と出会って新たなノウハウを学んだり。自ら役立つ情報をシェアしていくことで、結果として新しいものが得られる。この感覚がSNS時代の新しい価値観なんです」

SNSをただ自店の集客に結びつけるためだけではなく、レシピを動画で公開したり、新メニュー開発会議の様子を動画にする、ライバル店とコラボレーションした企画を特別コースで組んでみるなど、今までなら公開しなかった情報も投稿してみよう。その中から「あのお店はすごいな」とファンが増えたり、「いつも投稿を見ていますよ」というコミュニケーションが生まれ、そのユーザーから新たなレシピやノウハウを教わったりする可能性が生まれる。

もちろん広く情報を公開すれば、価値観が合わない人たちとの出会いも増える。衝突したり、批判を受けたりすることもあるだろう。しかしそれを恐れてはいけない。同じ価値観のファンと出会うためにも、万人向けではなく“熱狂的なファン”ができるような、自分たちの価値観を全面に押し出した施策をしっかり打つことが大切なのだ。

「今の時代、価値観は人それぞれです。価値観が合わない人はご来店いただかなくてもいいくらいの気持ちで、何でもトライしてみましょう。今は見ず知らずの人たちが同じ価値観のもとに集まって、同じコミュニティを形成できる時代です。SNSでどんどん情報を公開し、ファンのコミュニティを作り、今取り組んでいるイートインやテイクアウト、デリバリー、ECなどの認知度をさらに拡大していきましょう」


BtoBプラットフォーム受発注_原価管理

株式会社ブグラーマネージメント

お話:代表取締役社長 永田 雅乙 氏
主な業務内容:飲食企業へのコンサルタント業務、店舗プロデュース業務。商業施設(飲食フロアプロデュース・監修)、メーカー・流通などへの商品開発。業態開発・商品開発・接客指導・現場オペレーション構築・出店戦略など、飲食店に必要な一切の業務に関するアドバイス・サポート・指導。
公式URL:http://www.bugler-m.co.jp

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