忘年会なしが飲食店を直撃。年始のピンチを乗り切る実践的な集客術とメニュー開発

飲食・宿泊2020.12.22

忘年会なしが飲食店を直撃。年始のピンチを乗り切る実践的な集客術とメニュー開発

2020.12.22

忘年会なしが飲食店を直撃。年始のピンチを乗り切る実践的な集客術とメニュー開発

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コロナ禍にあって、誰も経験したことのない年末年始が目前に迫っている。「新型コロナ第3波の到来で、地域によっては飲食店に営業時間短縮などの要請や、GoToキャンペーンを中止するところが出てきた(2020年12月現在)。飲食業界は、またも先の見えない不安な状況に追いやられ、年末年始の商戦時期にあっても例年通りの集客が期待できない厳しい現実を目の当たりにしている。

この状況をどのように分析し、今後の動向をどう見極めるべきか。また、どんな手を打つべきなのか。外食産業専門のコンサルタントとして28年、延べ10,000店舗以上の実績をもつ株式会社ブグラーマネージメント代表取締役の永田雅乙氏に、今すべき集客方法とメニュー開発、2021年のスタートダッシュを見据えた対策を聞いた。

目次

コロナ禍、年末年始商戦はどう変わるのか?

株式会社ブグラーマネージメント
代表取締役社長 永田雅乙氏

「2020年の飲食業界は、10月のGo Toイートでようやく上向きはじめましたが、いまやキャンペーン自体もいつ中止・中断されるか分からない状況です。さらに4月を振り返ってみると、消費者の動向はニュースや風評によって大きく影響されることが分かっていますので、今後の集客はますます厳しくなっていくでしょう」

中小の外食企業の中には、ニュース等で消費者の生活様式の変化を感じながらも、対策を講じるまでに至っていないところは少なくないだろう。

「まずは現状を正しく認識すること。ご存じの通り、この年末は、企業が催す大規模忘年会は期待できません。二次会、三次会を控える傾向も出てくるでしょう。1カ所でゆったりと小人数で、という形の忘年会になってくると考えられます。

年始も同様ですが、暦の関係で、1月中旬まで断続的に休暇が続くことになる。平日にも週末並みの集客を見込めるため、とくにローカルで展開する店舗にとっては、例年にくらべて長期間、ジワジワと売上を伸ばす要因となるはずです」

集客を確実にするためには「5秒でわかる」エッジの効いたプランを

希望があるとわかれば、こんどは集客対策だが、なにを柱にするべきなのか。

「二次会なき忘年会に対して、ロング忘年会&総額プランで応じましょう。1店舗でゆったりと金額を気にせず過ごせる『時間無制限、飲み放題込みの総額プラン』はどうでしょうか。もちろん、東京都が推奨する『5つの小』(少人数、小一時間、小声、小分け、小まめな消毒)に対応するためにも、1~1.5時間で飲食が終えられる『ライトパックプラン』もあってもいいでしょう。むしろこちらを表看板にしつつ、2段構えでサービスを展開していくことになります。

このとき、エッジの効いたプランを用意することが重要です。コロナによってお客様の嗜好はますます細分化されています。オーソドックスな宴会プランはもう通用せず、むしろ、久しぶりの外食なのにありきたりはイヤだと、回避されてしまいます。

そのためには付加価値を狙います。例えば、『ローストビーフ食べ放題、時間無制限、飲み放題付き/4980円』となれば、ふだん味わえない特別感を演出できる。『高級感』『コスパ感』『特別感』など、ふつうとは違う、その店ならではの付加価値を演出することで、よりエッジを効かせることができます。

さらにそれが『5秒で伝わるメニュー』だと、なお効果的です。文章を読まないと分からないメニューではお客様を逸してしまいます。『ノドグロしゃぶしゃぶ』『おひとり1キロまでステーキ食べ放題!』『ノーというまでイクラ盛り放題』などは、コスパ感や高級感を演出しつつ、宴会の楽しみ方まで見えてきそうです」

来年2月末までに来店したくなる、強力なリピート理由を

新しいメニューの構築はすぐにも実践できそうだが、同時に永田氏は、経営回復に向けこんなミッションも課している。

「いまを乗り切るためだけの営業では不十分です。いま考えるべきは、来年2月末までの再来店を強烈に訴求する方法です。

飲食業界では、来年1月末~2月末に急激な閉店ラッシュが予想されています。一方で3月以降にはワクチン開発の進捗が見えてきて、前向きな空気感がうまれるでしょう。その間の2月下旬~3月上旬は、いまいるお客様へのリピート策で乗り切るしかありません」

年末年始で『5秒で伝わるメニュー』で集客が成功しても、1度限りの来店では従来の年末商戦と変わらない。2021年の集客プランはサブスクリプションと、SNSを利用したクラウドファンディングの活用だという。

「年末年始の利用してくださったお客様に、『5980円で、2月末までハイボール何杯飲んでも1杯50円』というチケットを渡すのもいいでしょう。チケット販売自体である程度の利益を先取りできます。

さらに次回の来店で2人目、3人目のお連れさまが期待でき、料理も注文してもらえる。ハイボール50円なら原価割れは起こしませんし、もっとサブスクの内容を吟味すればメリットのほうが大きくなります」

ここでのポイントは、2月末までの期限付きという点だろう。締め切りつきであれば、通常では考えられない、思い切ったプランに踏み切れるのではないだろうか。
さらに、個人や小規模な企業のスタートアップに利用されるイメージがあるクラウドファンディングも、企業規模を問わず顧客をファン化しリピーターを獲得する手段として活用されているという。

「ある高級焼き肉店では、A5ランクのお肉を買うための出資を募り、リターンとして『1人1万円で500グラム食べられ、飲み放題付き』というチケットを販売した。この集客の手法が話題となって5時間で完売しただけでなく、その売れ行きの早さが注目されてSNSで拡散され、さらに話題を呼びました。クラウドファンディングとSNSが、みごとに販促ツールとして機能したわけです」

先の見通せない状況にあっても、考え方次第で、打つ手はある。永田氏の提言は多くの中小外食企業にとって、すぐ取り組める内容だった。いま必要なのは、まず実践すること――。飲食店は目の前の売上だけを追いかけて、集客するだけでは足りない。ぜひ自社の強みをもう一度見直し、他とは違う強力なリピーター施策を見出してほしい。


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株式会社ブグラーマネージメント

お話:代表取締役社長 永田 雅乙 氏
主な業務内容:飲食企業へのコンサルタント業務、店舗プロデュース業務。商業施設(飲食フロアプロデュース・監修)、メーカー・流通などへの商品開発。業態開発・商品開発・接客指導・現場オペレーション構築・出店戦略など、飲食店に必要な一切の業務に関するアドバイス・サポート・指導。
公式URL:http://www.bugler-m.co.jp

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