現場の精算業務に欠かせないPOSレジ、その歴史
POSとは「Point Of Sales」、つまり販売時点での情報を管理するという意味だ。単純な会計処理だけでなく、メニューの出数の集計や在庫管理、顧客情報の管理など、様々な機能で店舗運営を効率化する。
世界で最初のレジスターは1878(明治11)年に、アメリカのカフェ経営者が発明したといわれている。電子式レジが誕生したのは、その85年後の1963(昭和38)年のアメリカだった。
日本では1970年代に百貨店がPOSレジを実験的に使いはじめ、1980年代になってからコンビニエンスストアが本格的に導入。以降、小売や飲食業界ではもはや欠かせないツールとなった。
1963年 | ・米国で電子式レジスタが誕生 |
1972年 | ・ダイエー・三越百貨店が初のPOSレジを実験 バーコード式自動チェッキングシステムの登場 |
1984年 | ・セブンイレブンが本格的にPOSレジを導入 |
2000年代 | ・WebPOSレジの普及 インターネット回線の普及が影響 |
2013年 | ・リクルートライフスタイルが「Airレジ」をリリース 大手参入によりPOSレジの成熟期に |
※各企業HPやプレスリリースを参照し、調査できたもののみ記載
飲食店経営者・運営者を対象にした「ITツールの導入状況に関するアンケート調査」によると、最も導入してよかったと思うITツールとして、POSレジは第1位に挙げられている。
大手参入によりタブレットPOSレジは成熟期に
インターネット回線の普及により、2000年代にWebPOSレジが浸透しはじめる。スマートフォンやタブレットを端末にして注文から会計、分析までシームレスに利用できるPOSレジが登場。大手企業の参入でタブレット対応POSレジは成熟期に入った。主要プレーヤーの顔ぶれを見てみよう。
Airレジ
運営会社名 | 株式会社リクルートライフスタイル |
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導入店舗数 | 402,000店舗以上(2019年3月時点) |
利用料金(月額) | 月額費用:0円 |
特徴、 ほかとの違い | 0円でカンタンに使える、iPad/iPhone対応 POSレジアプリとして 2013年にサービス提供を開始。アカウント数は40.2万を超える。軽減税率制度にも対応し、必要な設定を済ませておくことで、アプリのアップデート一つで複数税率にも対応できる。「Airペイ」との連携で、カード・電子マネー・QR・ポイントといったキャッシュレス決済にも対応できる。 |
スマレジ
運営会社名 | 株式会社スマレジ |
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導入店舗数 | 66,000店舗(2019年4月時点) |
利用料金(月額) | スタンダード:0円、プレミアム:4,000円、プレミアムプラス:7,000円、フードビジネス:10,000円 |
特徴、 ほかとの違い | 高機能でありながら、直感的でシンプルなUIを採用したデザイン設計が特徴。フードビジネスプランでは、スマホを使ったオーダーエントリーシステム「スマレジ・ウェイター」がセットで提供され、注文入力から会計、分析まで、飲食店経営に特化した機能がシームレスで利用可能になる。 |
NECモバイルPOS
運営会社名 | 日本電気株式会社 |
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導入店舗数 | 非公開 |
利用料金(月額) | 要見積り |
特徴、 ほかとの違い | 20年間POSシステムの開発・製造をしてきたNECによるタブレット版。低コストで、そのノウハウが詰まったサービスが利用可能となる。初期費用などが必要となるが、導入支援や24時間365日体制で全面的にサポートしてくれ、導入設定や運用時のトラブルなど、困ったときも頼れる安心感がある。 |
POS+
運営会社名 | パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 |
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導入店舗数 | 非公開 |
利用料金(月額) | POS+food:12,000円、POS+lite:6,000円 |
特徴、 ほかとの違い | POS+foodでは、テーブルごとの最終注文からの時間など、飲食店に特化したサービスを搭載。複数言語、多通貨に対応しており、インバウンド対応や海外進出も可能。初期費用などが必要となるが、登録・トレーニングや、店舗への「駆付けサポート」など、サポート体制が充実している。 |
拡張性の高さを強みに広がるタブレットPOSレジ
タブレットPOSレジの多くは無料のアプリをタブレット端末にインストールするだけで基本機能が使え、小型・軽量で場所の制約もない。強みはアップデートされる拡張性の高さ。入力データは販売管理システムと連携して売上分析や経理処理などに活用できる。その他にも予約サイトとの連携、急速に進む電子マネーやコード決済といったキャッシュレス化への対応にもカスタマイズ可能だ。
現金管理という本来のレジ機能に留まらない進化を続けるタブレットPOSレジは、店舗の経営戦略を支える新たなツールとなりそうだ。