飲食店のキャンセル料請求に対する指針が発表。ノーショー対策として期待も

飲食・宿泊2018.11.28

飲食店のキャンセル料請求に対する指針が発表。ノーショー対策として期待も

2018.11.28

キャンセル料は、店舗ごとの事情を踏まえた損害額を算定する必要があるが、目安としてコース予約の場合は全額、席だけの予約では平均客単価の5~7割程度を請求できるとしている。

■飲食店の売上げに占める経費割合の例

なお、今回の指針ではキャンセルポリシーの対象をノーショーのみとしており、当日になってのキャンセル、いわゆる「ドタキャン」は含んでいない。

その理由について、ノーショーとドタキャンの間には大きな違いがあるからだと、中村氏はいう。

株式会社トレタ 代表取締役 中村仁氏

「ノーショーはなくすことができますが、ドタキャンは、身内の不幸や事故・病気といった突発的で不可抗力な理由でどうしても発生する可能性があります。やむをえずドタキャンせざるをえない場合にまでキャンセル料を請求するとなると、お客様が予約をためらい飲食店側にも不利益となりかねません。今回はいわば飲食店利用者に向けた『ノーショーではなくせめてドタキャンにしましょう』というメッセージともいえます」

たとえ30分前だったとしてもキャンセルの連絡があればSNS等で「食べに来てください」と呼びかけたりできるが、ノーショーの場合、予約時間が過ぎても席も食材も確保し続けねばならない。店舗の自助努力では損害の補填ができないことを考慮している。そのため、ノーショーのキャンセル料は、生じた損害を他の客では埋め合わせできないことが前提の請求となる。

コース予約と席のみ予約、2つのキャンセル料の考え方

キャンセル料を請求するには、適切なキャンセル料の算定をしてキャンセルポリシーを設定し、予約の時点でその内容を予約客に明示して、同意を得る必要がある。当然ながら根拠もなく「無断キャンセルは罰金○○万円」と法外な設定をすることはできない。 今回の指針では、キャンセル料の考え方を「コース予約」と「席のみ予約」の2通りに分けている。

<コース予約の場合>
コース料金が予約内容の場合、全額分のキャンセル料を請求することができる。ただし、他の客に転用できる飲食物の代金や、人件費等は除くといった各店舗の個別事情を踏まえた、法的根拠のある損害額の算定が必要となる。


【例】4,000円コース オプション1,980円で飲み放題の場合
飲料は転用可能なため、請求できるのは4,000円

 

 

<席のみ予約の場合>
席のみ予約は、平均客単価の何割かが損害賠償額の目安と考えられる。客観的な基準で算定した平均客単価から、キャンセルとは無関係に発生する固定費(家賃等)、転用可能な原材料費や人件費を除いた額が損害賠償の対象となる。


【例】平均客単価4,000円の場合
転用可能な原材料費・人件費1,000円(A)
固定費1,000円(B)
請求できるのは4,000円-(A+B)=2,000円

 

 

キャンセル料や平均客単価の算定方法は、予約客に対して事前に示す必要があり、きちんと説明できる準備が必要だ。予約は客が明示されたキャンセルポリシーの内容を承諾することで成立する。では、実際にどのように客に示せば良いだろうか。

キャンセルポリシーの示し方と、ノーショー防止に向けて飲食店ができること

「インターネット上での予約なら、予約確定前のページに掲げ、承諾をもって予約を確定する形がとれます。ただ、飲食店の予約は9割が電話です。電話予約でも同じように承諾が得られる仕組みづくりを進めていく必要があるでしょう」

たとえば、SMS(ショートメッセージサービス)を利用し、電話での予約客にキャンセルポリシーを含んだ予約確認画面を送り承諾を促すアプリ「トレテル(株式会社トレタ)」がリリースされている。レポートでも、ノーショー解決にむけた有効策として、社会的な認知を広めるための普及啓発活動と共にITツールの活用をあげている。


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