はじめに
スポットバイトとは、曜日や時間帯を固定しない単発のアルバイトのことです。半日から1日、土日のみや1週間など期間もさまざまで、継続的に仕事をしない点が通常のアルバイトと異なります。
また、スポットバイトは履歴書を不要としているケースが多く、すき間時間に仕事ができるため、応募を集めやすいところが魅力である。
例えば、「タイミー」のようなスポットバイトマッチングサービスを利用すれば、求職者は手軽に仕事を見つけることができ、企業側も必要なタイミングで人材を確保することができる。
夏休みや連休シーズンに増える短期バイト・スポットバイトの重要性
夏休みや連休シーズンなどの繁忙期に人手不足になる場合には、スポットバイトを受け入れることで、無駄な人件費をかけず、効率的に仕事を回せるようになる。
通常のアルバイトにプラスして、スポットバイトという選択肢を増やしておくことは、人件費を適正化して売上をアップするためにも欠かせないといえる。
飲食店経営者が直面する人手不足の課題
TDB Economic Onlineの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」によると、飲食店における非正社員の人手不足の割合は74.8%で、業界全体で1位であった。この結果から見ても、飲食店において人手不足は乗り越えるべき課題の一つとなっていることが分かる。
スポットバイトスタッフへの教育の基本
スポットバイトはその日に来て短期間のみ仕事を行うため、効率的な教育体制を用意しておく必要がある。
受け入れ体制の事前準備と計画
スポットバイトを雇用する準備として、受け入れ態勢を整えておくことが重要だ。はじめての職場は誰であっても緊張するもの。気持ちよくスポットバイトスタッフの方に働いてもらうためにも、この職場に自分は受け入れてもらえていると感じられるような環境を作っておこう。
具体的には、店舗全体にスポットバイトスタッフが入ることを共有しておくこと。事前に周知しておけば、既存従業員の受け入れ態勢が整う。あわせて、積極的に挨拶をするように伝えておくと、お互いコミュニケーションも取りやすくなるだろう。
また、教育担当者を決めておくことも重要だ。担当者が決まっていればスポットバイトスタッフが困ったときに誰に聞けば良いかが明確になるため、スムーズに仕事ができる。
スタッフの役割と期待を明確に伝える
スポットバイトのスタッフを雇い入れる場合には、彼らの業務上での役割を明確にしよう。自分の役割がわかっていれば、何をすべきかがわからなくなったり不要な業務を行ったりすることもなく、与えられた業務のみに注力できる。また、複数の業務を覚えてもらうよりも効率よく教育ができる。
短期であっても、スポットバイトのスタッフに対し、どのようなことを期待しているのかを伝えることも大切だ。期待感を伝えることにより、仕事の方向性が理解しやすくなるのはもちろん、モチベーションややる気アップにもつながる。
簡潔で具体的な指示の提供
指示を出す場合には、簡潔で具体的であることがポイントだ。教育者からの指示があいまいだと、もう一度スポットバイトのスタッフは質問をすることになり、余計な手間が増えてしまう。また、作業が自己流になり失敗してしまう恐れもある。指示を出す場合は相手の立場に立ち、伝わるように意識しよう。
実地訓練の重要性と方法
スポットバイトスタッフを短期間で教育したいなら、実際に現場で業務を行いながら教育するOJT(On the job training)研修を取り入れるのがおすすめだ。文字や言葉で業務を理解する座学研修と、実際に現場で作業しながら業務を理解するOJTでは、後者のほうがより実践的なスキルを習得できる。
また、OJTであれば個々にあわせた教育をできるため、その分成長も早くなる。OJTでは、「Show(やってみせる)」「Tell(説明する)」「Do(やらせてみる)」「Check(評価する)」という流れが基本だ。実際に従業員が作業するのを見てもらいながら、業務を覚えてもらおう。
コミュニケーションの重要性
スポットバイトスタッフに安心して仕事をしてもらうためには、コミュニケーションも欠かせない。お互いが話しやすい雰囲気がつくれていないと、スタッフが安心して仕事ができないのはもちろん、困ったことがあったときに質問できず、失敗やトラブルに発展する恐れもある。
フィードバックの提供と受け取り方
スタッフの行動に対して改善点や評価を伝える「フィードバック」は、間違いなく業務を行ってもらう・モチベーションアップのためにも重要だ。適切なフィードバックを行うポイントとして挙げられるのが、「具体的なフィードバックを意識する」「すぐに伝える」こと。
改善点を指摘する場合は、具体的かつわかりやすい言葉で伝えることで、何を直せば良いのかを理解し、改善につなげやすくなる。また、早い段階で問題を解決できれば、必要な行動をすぐに実行できる。
飲食店側もフィードバックを受け取れるようにしておくと、今後の教育の参考になるため、こちら側からスタッフにフィードバックを求めることがおすすめだ。フィードバックにはしっかり耳を傾け、最後まで聞ききること。フィードバックをもらえたら、感謝することも忘れずに。これにより、お互いが信頼できる環境で仕事ができるようになる。
マニュアルの整備と活用
教育体制の仕組みが整っていれば、時間的コストの適正化や店舗の売上アップ、定着率の改善などさまざまな効果を得られる。教育体制の仕組みづくりには、マニュアルの作成が効果的だ。
マニュアルがあれば、教える際にも伝え忘れを防げるだけでなく、教育担当者がいないときであってもほかの従業員が教えられる環境が整う。また、サービス品質を保つこと・先輩従業員やマネージャーの負担を軽減することにもつながるだろう。
マニュアルを制作する際には、テキストだけではなく、写真や動画を使ってマニュアルを作成することをおすすめする。これは、短期間で業務を覚える必要のあるスポットバイトスタッフが、どんな業務をするのか想像しやすくなるため理解が容易になり、即戦力として活躍してもらいたいスタッフの教育ではとても役に立つだろう。
デジタルツールを活用したマニュアル管理
スポットバイトスタッフに対して効率的に教育を行うためには、マニュアル整備が欠かせない。マニュアルは紙で作成することもできるが、作業中に紙が濡れてしまったり、情報の更新が遅れたり、必要な情報を探すのに時間がかかったりしてしまう。
マニュアルの共有には、デジタルツールを活用するのがおすすめ。例えば、店舗オペレーション管理ツール『V-Manage』は、ひとつひとつの業務にマニュアルを紐づけてタブレットやスマホで確認が可能だ。「やるべきこと」「どうやって」が一目瞭然のため、スポットバイトスタッフも安心して業務できる。
また、店舗業務の実施状況が一目でわかるダッシュボードやレポート機能もあり、離れた場所にいる従業員やスタッフの業務の進捗状況を確認できる。
まとめ
飲食店はランチ・ディナーのピークタイムや連休・年末などの繁忙時期に人手が足りなくなるケースがよくある。受け入れ体制やOJT制度、スマホ・タブレットで閲覧できるマニュアルをしっかり整備して、スポットバイトを即戦力化することが中長期的な店舗運営には欠かせない。今一度、自店舗の従業員教育体制を見直してみよう。