昭和の喫茶店文化の中で、作れば作るだけ売れたヒット商品
ジーエスフードが創業したのは今から60年前の1958年。GSブラックティーは、その翌年に開発された。
企画室チーフ大西美香さんによると、開発の経緯は資料として残っているものがなく、正確なことがわからないという。
「創業翌年の商品ですので、創業者の肝いりだったことは間違いありません。当時の喫茶店文化の中でのニーズを見出し、強い信念を持って開発されたと聞いています」
戦後の復興とともに喫茶店は、ただコーヒーや紅茶を飲むだけではない、社交場や文化発信の場として数を増やしていた。
当時の喫茶店の多くは個人経営で、店主が1人で切りもりしていたため、手間を省く簡便な商品にニーズがあったのだ。
一般的にアイスティーは喫茶店でも定番の人気メニューだが、実は単に茶葉を煮出して作るだけでは、冷やす段階で濁りが生じやすく、透明度を保ったキレイな色を出すには手間がかかる。
だが、特殊製法で紅茶を濃縮したGSブラックティーは、希釈するだけで透明感のあるアイスティーが作れる。さらに炭酸水で割れば「ティーソーダ」、牛乳で割れば「ロイヤルミルクティー」とメニューの幅が広がる。しかも紅茶に糖分が加えられているので、ガムシロップも不要だ。