SNSを最大限に活用し、無料配布やイベント出店で実際に手に取ってもらう機会を増やす。その結果としてメディアに取り上げられたわけだが、同社の対応は実に迅速だった。
「清水エスパルスの試合会場で実施した無料配布の様子を、ラジオリスナーの方が投稿されたんです。当時エスパルスは5~6試合負けなしで、『勝男=縁起物』ということで話題になって…。ラジオで取り上げられた時、パーソナリティの方が『シーラックの社長さん、いま聞いていないかな?』って呼びかけてくれたので、すぐに反応しました(笑)。急遽リスナープレゼントを実施することになり、『バリ勝男クン。』を一気に知ってもらえるチャンスを掴んだのです。このタイミングで、コンビニの売上がグッと上がりました」
社長とは商品について密に話していたこともあり、長谷川さん主導でメディア出演の話を進めることができた。日頃から現場に裁量を与え、すばやく決裁できる体制がとれていたことも、バリ勝男クン。の追い風となったといえるだろう。
静岡での地位を確立。他商品に影響も
「バリ勝男クン。」は、量販店では豆菓子というジャンルで販売されている。最も多く販売した時は、週の売上がコンビニ1店舗あたり20袋を超えることもあった。通常、静岡のコンビニでは週に5袋売れればよいといわれるジャンルの中で、驚異的な数字だ。他社からも様々な類似品が販売され、かつお節業界に激震が走るほどの出来事だったという。
しかし、この数字はあくまで静岡県内での販売実績に過ぎなかった。12月には全国展開を果たすが売上は伸びず、翌年2月には大幅に落ち込んでしまう。