「うまい棒」がロングセラーであり続ける理由~うまい棒(やおきん)

卸・メーカー2015.01.26

「うまい棒」がロングセラーであり続ける理由~うまい棒(やおきん)

2015.01.26

「選べる楽しさ」が個性を生み出す

ラインナップには、牛タン塩、なっとう、エビマヨなどマニアックな味も

個性的な味とともに、『うまい棒』には、その種類の多さにもヒットを生み出す方程式が隠されていた。

「『うまい棒』の本来のあり方として大事なことは、“選べる”ことです。1本10円という価格を守ることがお客様に対するサービスではなく、100円でいろんな味が選べる楽しさこそがサービスだと思っています」(石井さん)

「選べる楽しさ」こそが「うまい棒」だという。

「15種類の中にマニアックな味も揃えることで、15種類のトータルで大衆受けする商品になっています。子供同士で『僕はこの味が好き』『私はこの味』というように個性を主張できる。単体の商品ではそうはいきません。つまり1品2品だけでは大したことはないけれども、特徴のある味が集まって集団となることで、『うまい棒』という全体をカバーしているわけです。そうやって『うまい棒』という商品を育ててきた。ところが最近では、子供受けのするキャラクターなどの版権を買ってきて商品にするというように“いま売れるもの”ばかりを考えがちです。それではそのキャラクターの流行が去ってしまえば売れ行きも苦しくなる一方です。それよりも継続して売れるものを作っていきたいと思っています」(石井さん)

こうして長い時間をかけて育てられた『うまい棒』は、幅広い世代に支持されることによって、単なる駄菓子の域を超えている。

「子供の頃に食べた経験があるので、大人になっても懐かしさもあって食べてもらえる。さらに子供ができたら、『お父さんも昔食べたよ』という思い出とともに子供と一緒に食べる。そうやって世代を超えて受け継がれていると思います。ご家庭に限らず、会社でも世代ごとに流行った味もあり、上司と部下のコミュニケーションのツールにもなるのかなと」(田中さん)

35年の時を経て、打ち破った10円の枠「プレミアムうまい棒」

人気の味をさらにグレードアップした「プレミアムうまい棒」

そんな長い歴史を経て、発売から35周年を迎えた2014年4月には、1本10円の枠を打ち破った1本20円の『プレミアムうまい棒』が「明太子」と「モッツァレラ&カマンベール」の2種類の味で発売された。

「35年前に比べ原材料コストも上がり、為替も変動する中で、1本10円にこだわりながら、常に“これまでの『うまい棒』を超えるものを”と思ってきました。でも、どうしても10円の売価ではできないことがあるわけです。そうした中、味や生地、手間や生産性など、今まで制約されてきたものを一度すべて取っ払ったうまい棒を作ってみたかったのです。事実、『プレミアムうまい棒』は味に対するこだわりのあまり、通常の『うまい棒』よりもコストがかかっています」(石井さん)

『プレミアムうまい棒』という新たな可能性を得たロングセラー商品は、今後も駄菓子という庶民目線の商品としての使命を果たしていくのだろう。

最後に、「うまい棒」のこれからについて聞いてみた。

「今の子供たちが『うまい棒』を買ってくれて、将来大人になった時にそれを懐かしく郷愁を感じられる世の中であって欲しいという願いを込めて、何よりも長い間売り続けていかないといけないと思います。長嶋茂雄さんじゃないですけど、私が引退するときには『うまい棒は永遠に不滅です』と言いたいですね(笑)」(石井さん)

株式会社やおきん

住所:〒130-0003 東京都墨田区横川5-3-2(本社)
    〒340-0834 埼玉県八潮市大曽根1606-1(営業本部)
電話:048-997-3308(営業本部)
事業内容:菓子、食料品の企画・販売。玩具の販売
公式HP:http://www.yaokin.com/
お話:顧問 石井俊夫様、営業企画部商品課係長 田中浩次様

注目のキーワード

すべてのキーワード

業界

トピックス

地域