-●OEM製造についてお聞かせいただけますか。
現在の売上げでいうと、自社ブランドが7対OEMが3の割合で、ここ数年でOEMの売上げが伸びています。お取引先はメーカーやテーマパークなど様々です。
OEMの仕事は本当に勉強になるんですよ。お客様に工場の監査にきていただいて、何かご指摘を受けたら我々は素直に受け止め、改善していきます。外部の方に厳しい目で見ていただくことで、自分たちが見落としがちな部分もどんどん良くなっていくのです。
今では弊社のOEMの営業部隊は、契約前からできるだけお客様に工場にきていただくようにしています。お客様に会社の雰囲気や工場設備、現場で働く人たちを実際に見ていただいて、信頼を勝ち得ていくのが一番だと思ったからです。
-●ただ、今後は自社ブランドを強化していくと新聞記事で拝見しました。
OEMをやめるということではなく、もっと自社ブランドを磨いていきたいということなんです。最近では、催事場とオンラインショップの限定販売で、新しく「中島大祥堂」の名前を逆さに使った高級ライン(堂祥大島中)もスタートしました。
-●自社ブランドについて考え直すきっかけはあったのでしょうか?
どこの業界もそうだと思いますが、今、菓子業界は売り場の流動性がとても激しくなっています。本来は百貨店の売り場にいた菓子メーカーがコンビニと組んだり、空港や駅のみやげ物に力を入れたり。逆に大手流通メーカーが百貨店に進出したり・・・。景気がよくないので、お互いがお互い売り場を変えて試行錯誤し、今は完全に売り場の垣根がなくなってきています。これが一度ぐちゃぐちゃになって新しい状態ができたときに、我々がどのポジションにいたいのか、どんなお菓子を作っていたいのか、ということを考えると、自社ブランドを磨いていたいと思ったんです。
-●具体的にどんな会社でありたい、どんなお菓子を作っていたいと思われますか?
やっぱりメーカーなので、まずはモノづくりを大切にして、「いいものを作っている会社だね」と言われたいですよね。そのうえで、“おいしい”“美しい”“安心安全”だけでなく、食べていただいたお客様にワクワク・ドキドキしていただけるような付加価値を提供できる会社でありたいな、と思っています。例えばスマートフォンは、機能だけでなくデザインだったり、操作性だったり、人をワクワクさせる何かがある。だから、値段が高くても若い方は並んで購入されますよね。お菓子屋さんでも行列ができているお店がありますが、人気の理由は味だけではないと思います。商品だけがよくても、いいブランドは作れないのです。今後はこれまで以上に自社商品のブランディングを重要視しながら、弊社のお菓子を食べたらその人の生活が楽しくなるような商品を作っていきたいと思います。
-●他に今後、取り組んでいきたいことはありますか?
今年6月に新しく東京に営業所を立ち上げました。大阪の会社ではありますが、現在のお取引先のほとんどは東京の企業様です。これまで以上に皆さんに寄り添いながら、全国に通用する会社になっていきたいなと思っています。また、5年前ほどから丹波で直営の栗園も運営しておりまして、いつかここでできた栗を使ったお菓子を丹波工場で作りたいと考えています。丹波工場で働いているのはほとんどが地元の方で、中島大祥堂を地元の会社のように思ってくださっています。そんな丹波の方々に恩返ししたいという思いもありました。将来は商品を購入いただいた方を抽選で招待して、栗拾いができたら楽しいだろうな、と思っています。
中島大祥堂は、お取引先様はもちろん仕入先様、地元の方など多くの方のお力添えをいただきながらここまでくることができました。これからも皆様のお力がなければ、会社をよくすることはできないと思っています。だからこそ、経営理念であり、先代の教えである「何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもその通りにせよ」を実践しながら、次の100年につなげていきたいと思います。
株式会社中島大祥堂
お話:代表取締役 中島慎介様
企業所在地:〒581-0071 大阪府八尾市北久宝寺2-2-1
電話:072-990-1120
事業内容:焼き菓子、デザートなどの製造・販売。