元祖豚丼TONTON、FC展開から2年で50店舗達成!大ヒットの裏側に迫る

飲食・宿泊2023.11.29

元祖豚丼TONTON、FC展開から2年で50店舗達成!大ヒットの裏側に迫る

2023.11.29

元祖豚丼TONTON、FC展開から2年で50店舗達成!大ヒットの裏側に迫る

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2020年6月の出店から、わずか2年で全国に約50店舗を展開する「元祖豚丼TONTON」。大手チェーンがしのぎを削る中、北海道 十勝帯広発祥の豚丼を売りにし、短期間で全国展開を成功させた。

FC展開におけるセオリーをことごとく覆す方法で、実績を積み上げる「元祖豚丼TONTON」の成功の秘訣について、ワンズトライン株式会社の山内仁社長に伺った。

目次

ミュージシャンから飲食業界へ

【Q】山内社長は元々ミュージシャンだったそうですね。

株式会社ワンズトライン
代表取締役社長
山内 仁 氏

代表取締役社長 山内 仁 氏(以下同):19歳のときにCDデビューして、21歳で所属事務所から独立、自分で立ち上げたレーベルでアーティストのプロデュースをしながらの音楽活動を23歳までやっていました。

ところが僕自身が音楽より、経営者寄りになったこともあり23歳でバンドを解散。社会経験が音楽しかない中、社会に出て何ができるか考えてみると、1年のうち300日はライブがあり、ツアーで全国をまわる生活。音楽活動をするかご飯を食べるかしかしていませんでした。ご飯は全国各地でイベンターさんに土地の美味しいお店に連れていっていただきました。その経験があったからこそ、今の仕事ができているのだと思います。

【Q】バンド解散からすぐに飲食業界で仕事をはじめたのですか?

すぐに飲食店をできたわけではなく、販売代理店やコンサルティングなど、さまざまな仕事をしました。27歳のときに転機が訪れて、カラオケ店を始めることになり、31歳のときには26店舗まで増やしましたが、思うところもあってすべて売却したんです。

そこから本格的に飲食業界へ参入して、株式上場できる会社を作ろうと、ワンズトラインを動き出しました。そのときにはすでに、フランチャイズ(以下、FC)で事業展開することは決めていました。事業展開するのには一番スピーディーだと考えたからです。

【Q】2017年に「大衆酒場あげもんや」を出店されました。

33歳で大阪の蒲生(がもう)に1号店を出しました。「元祖豚丼TONTON」はもちろん、お店を始めるにあたり絶対に勝てるという確信を持ってやっているんですが、「大衆酒場あげもんや(以下、あげもんや)」でも、その自信がありました。

2017年頃は中国からの観光客が多く、インバウンド需要が高まっていて、大阪には「食」を楽しみに来ていました。大阪の食文化を僕らがどう発信するか考えて、串カツとなったんです。串カツではすでに有名店は数多くありますが、大阪の美味しい揚げ物が一度に食べられる、いわば“揚げ物のデパート”的なお店はありませんでした。そこで外国の方にウケる外観にしてFC展開したところヒットしたのですが、海外出店の話が現実的になったときにコロナ禍になってしまいました。ロックダウンで店は開けられず、そのとき僕のなかで居酒屋はもう無理だと思ってしまったんです。

北海道というブランド力と、あまり知られていない美味いもの

【Q】「元祖豚丼TONTON」はどのように生まれたのでしょう。

コロナ禍の影響で「あげもんや」はFC契約がすべて解除になり、出店予定もすべてストップ、海外出店の話も一旦すべてなくなりました。だからといって会社を終わらせるわけにはいきません。そこでポンッと出てきたのが豚丼でした。

勝てる確信を持って飲食店を出すという姿勢は変わりません。考えたのは、いま業界になくて、わかりやすくて広めやすいもの、さらに地域性を出せるもの。そこでまず北海道が思いつきました。

百貨店などの物産展でも集客ナンバーワンを誇る北海道ですから、その強みを活かしたい。ただ、味噌ラーメンやジンギスカンなどはすでに知られていて競合も多いです。そこで思い浮かんだのが、帯広の豚丼でした。バンド時代に全国を回った経験が、ここで生きてきたんです。

【Q】帯広の豚丼は、知名度としては全国区ではありませんね。

そこが狙いです。当社の社員でも知らない人ばかりですし、食べたことがない人も多い。みんながまだ知らないからこそ全国展開できるんです。過去に帯広の豚丼がチェーン展開していないかも徹底的に調べましたが、それもなくこれはいけると思いました。それから2020年6月に「元祖豚丼TONTON」の1号店をオープンしました。

2号店までは直営店で運営し、試行錯誤を繰り返しました。いろいろな豚肉を試し、肉の厚みも最適なバランスを考えて決め、タレの調合も試作を重ねメーカーさんにプライベートブランドで作ってもらうことで約1年かけてFC展開の準備を整えました。

オーナーの儲けを優先した、気軽に始められるFCの仕組み

【Q】「元祖豚丼TONTON」では、どのようなFC展開を考えていたのでしょうか。

元祖豚丼 TONTON 店内

「あげもんや」までの経験を、「元祖豚丼TONTON」の成功のために活かそうと戦略を練りました。「あげもんや」はFC加盟金が200万円、ロイヤリティも売上の5%と高い設定でした。

コロナ以前、「あげもんや」の店舗売上の平均は600万円で、ロイヤリティはその5%の30万円ですから、FCオーナーにとっては重荷ですし、それだけ払っているのだからと本部に向けられる期待や要求も重くなります。そこで「元祖豚丼TONTON」では、FC加盟金を50万円、ロイヤリティは一律で月5万円にしました。

というのも、コロナ禍ですべての飲食店が苦しい状態のときに、「元祖豚丼TONTON」のこの価格設定でFC展開をすれば、苦しい飲食店経営者の方たちこそ業態変更して参加できるのではと考えたんです。実際に加盟金を50万円にしたことで、2年で約50店舗まで店舗を広げることができました。

【Q】御社HPの加盟店募集ページに、投資回収半年の実績とありますね。

まず、物件取得費も含めた出店に対する投資を400万円ほどに抑えます。そのためには「元祖豚丼TONTON」のパネルを貼って塗装をする程度で、ブランドとしての統一感については指定しません。初期投資を抑えることで初期投資を早期に回収できるからです。

そのようにして、まずは投資額を抑えて出店します。店舗の売上平均は400万円ほどですが、初月のオープン時にはほとんどの店舗で600~700万円を売り上げています。経費を多く使っても200万円は残る計算です。

オープン景気はこれまでの傾向から、短くても3カ月、地方では半年以上続く場合もあります。仮にオープン景気が2カ月として、200万円かける2カ月で400万円ですから、投資分は回収できます。FCオーナーさんによっても初期投資の額の大小は変わってきますが、半年間で回収する計算です。

【Q】店舗の立地にはどのような戦略があるのでしょうか。

「元祖豚丼TONTON」を展開する際におすすめする立地はロードサイドです。全店舗の売上ランキングの上位は、すべてロードサイドの店舗で月1,000万円近く売り上げる店舗もあります。

一方、東京や大阪といった都心部は歩いてすぐに競合があるため、売上の平均は300万円ほどです。地方のロードサイドであれば、周辺にライバルは少なく、交通量はあります。一般のお客様からすると、牛丼チェーンやカレーチェーンがあれば特に考えることなくパッと入ります。その立ち位置を狙っていく戦略です。

【Q】FC本部としての運用についてお聞かせください。

運用は手厚くしています。まず店舗ごとにグループLINEを作り、スーパーバイザー、リーダー、運営のトップなど、当社から3~4人が加わります。対応は基本的に24時間体制で、たとえば「シフトの組み方をどうしたらいいですか?」という質問にもすぐに当社の誰かが返信します。

というのも、飲食店は今日明日の勝負で売上が大きく変わることがありますから、「確認して2日後に返信します」では遅いんです。成功するためにも、すぐに対応することが何よりも大事だと考えています。

【Q】FCを展開するための広告戦略についてお聞かせください。

実はFC募集のための広告はほとんど出していません。広告費は、FC募集に出すのではなく、「元祖豚丼TONTON」というブランドをPRするための広告費として使っています。必然的に「元祖豚丼TONTON」を目にする機会を増やすことで、開業したい、脱サラしたい、独立したいという人たちにリーチして、実際に問い合わせにつながっています。

FCに加盟いただく方の多くは、「お店で食べたら美味しかったので」という方です。飲食店をすでに経営されている方よりも、飲食未経験の方のほうが圧倒的に多いくらいで、60店舗中、40店舗は飲食未経験の方です。そういった方にとって加盟金50万円、ロイヤリティ5万円という費用は、覚悟を決めていただける金額だと思っています。

【Q】原材料はどのように管理されているのでしょうか。

原材料の豚肉については、国内の複数の卸売企業様と提携しているため多少の違いはあります。ですが肉の厚み、カットの大きさなど、パッケージングは統一して冷凍で納品していただいています。

また卸売企業様に交渉し、価格も統一していただき、本部で把握できるようにしています。

人材というパイを奪い合うのではなく、広げていく活動をする

【Q】今後の展望についてお聞かせください。

元祖豚丼 TONTON
50店舗目オープン時

僕はまだまだ飲食業界では勉強させていただいている身ではありますが、ワンズトラインのFC展開のやり方が定着すればいいと思っています。5,000万円とか1億円かけるようなビジネスモデルではなく、500万円、1,000万円以内の低投資で始められるFCがあれば、飲食業をやりたいと思う人は増えるはずです。

そして飲食業をやりたい人が増えれば業界は盛り上がりますし、いい競争が生まれて、もっといい料理、飲食店が生まれます。次の若い世代の人たちが飲食に興味を持って、始められる環境を作らないと飲食業界は衰退してしまうかもしれません。

いま飲食店は人材不足に悩んでいます。でも、そうした人のパイを奪い合うのではなく、パイを広げていくような活動をしていければと思っています。

現在、「元祖豚丼TONTON」では、78契約(203年10月時点)あります。出店しているのが61店舗で、17店舗が物件を探している待ちの状態です。また、2024年4月あたりから直営店を一気に20~30店舗ほど、出店を予定しています。1店舗の平均売上を400万円/月として、20店舗で8,000万円、年間で9億6,000万円です。

さらに2024年からは、本部機能と食材の仲卸機能を持たせる形で切り替わる予定です。それで年間約20億円の売上となりますから、年間で約29億円が現在の売上高にプラスされることになります。

予定では、2024年6月から7月には直営店を合わせて100店舗に達するため、その時には「あげもんや」では叶わなかった海外展開を本格的に始動したいと考えています。海外でもすでに複数の国でオファーをいただいているので、「元祖豚丼TONTON」で勝負したいと思います。

飲食店のフランチャイズ開業・経営改善ポイント

ワンズトライン株式会社

設立:2017年4月20日
住所:大阪府大阪市北区芝田2丁目3番16号
事業内容:飲食店経営、飲食店業の運営受託、飲食店業のコンサルティング業務、フランチャイズシステムによる飲食店の経営ならびに加盟店の募集
公式ホームページ:https://www.onestryin.com/
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