「エシカル」な企業は消費者のイメージアップ
エシカル(ethical)という言葉を耳にする機会が増えていないだろうか。「倫理的な」という意味を持つ英単語で、良心に基づいた環境保全や社会貢献につながる消費や考え方をいう。
消費者庁のアンケートによると、人や環境に配慮したエシカルな商品を利用してみたいと答えた人は6割以上にのぼる。また7割弱の人が、そうした商品・サービスの提供が「企業イメージの向上につながる」と答えており、環境への取り組みが企業イメージに直結していることがわかる。
消費者にとって、「エシカル消費」は感覚レベルで浸透している。2020年7月にはレジ袋が有料化され、おしゃれなエコバッグを買い求める人が増えた。スターバックスが昨年、全世界でプラスチックストローを廃止し、紙ストローに切り替えたことで評価を上げたのは記憶に新しい。
店舗内だけでなく、コロナ禍で需要が増加したテイクアウトやデリバリーでも、消費者の「エコ意識」に訴えかけるチャンスは増えている。
以前なら白や透明のプラ製品が当たり前だった使い捨ての皿も、今では茶色い紙のエコ容器がおしゃれで環境保全につながると支持される。見栄えの良い容器はインスタグラムなどのSNSに投稿され、自然と集客にもつながる。
環境問題に敏感な外食企業が採用するエコ容器
ステーキ・ハンバーグ店を全国に128店舗(2020年12月末現在)展開する株式会社ブロンコビリーでも、2020年からテイクアウト容器のエコシフトを進めている。
「世の中が変わっていく中で、SDGsやエコなどの価値観が浸透しつつあるのを実感しています」と話すのは、株式会社ブロンコビリー商品部の森本祐司氏(以下、森本氏)。
同社では昨年、一部店舗限定でテイクアウト事業をスタートさせた。持ち帰り用にはバイオマスプラスチックを使った手提げ袋を無料で提供しているほか、テイクアウトのサラダの容器に、株式会社折兼が手掛ける竹とバガスを原料にしたBBどんぶり(モールド容器)と、紙や木材、バイオマスプラスチックなどを利用したサラダボウルを採用した。
「当社のキーワードは“ごちそう”です。普通の透明なプラスチック容器では見た目のクオリティが落ちてしまいます。テイクアウトでも、見た目と食べやすさにこだわりたかったんです」(森本氏)
ブロンコビリーの顧客にとって、季節ごとにメニューが入れ替わるサラダバーは大きな楽しみのひとつだ。
同社では自宅でもその楽しみを味わってもらえるよう、外観と性能のバランスに優れたバガスの白い容器を選んだ。テイクアウトのサラダではシーザーサラダのみを提供しているが、安定して注文があるという。
「コロナ禍で、当社も一気に風潮が変わりました。環境対応は必須です。これからも変化に対応するため、今のうちから準備しておきたいですね」(森本氏)
株式会社サンマルクホールディングス傘下のグループ各社でも、脱プラスチックを中・長期的な課題と位置づけ、ベーカリーレストラン「サンマルク」や「サンマルクカフェ」のテイクアウト、デリバリー用の包材にエコ容器をエコ容器weeco(ウィーコ)の中から採用している。
同社は採用の決め手を「価格とデザイン性」と語る。
「外食機会が減少する一方で、家で過ごす時間をより豊かにしようというニーズが高まっています。テイクアウト、デリバリー需要は着実に増え、同時に使い捨てプラスチックをなるべく減らそうという、消費者の環境意識の高まりもあります。エコな容器は、プラスチック製品とはちがって、無機質ではない”ぬくもり”を感じますね」
欧米から入ってきたバガス容器を日本の食文化にあわせ改良
「weeco」(ウィーコ)シリーズを展開する株式会社折兼は包装資材専門商社だ。商品開発にも携わっていた広報大岩 滋貴氏は、「この1年で、環境対応型の容器に対するニーズが急増している」と語る。
「コロナ禍で新たにテイクアウトやデリバリーを始める飲食店が増えたことに加え、ESG投資やSDGsへの関心も高まっています。投資家の意向を受けた経営者がトップダウンでエコ容器の導入を決めるケースや、エシカル消費をブランディングにつなげたい個店からも需要が伸びています」(大岩氏)
ラインナップに多いバガス容器は、砂糖の生産に必要な糖汁をサトウキビから絞った後に出る茎や葉などのカスが原材料だ。
絞りカスであるバガスは通常、ボイラーの燃料に使われるが、余剰分は廃棄されている。これを使い捨て食品容器の原料として有効活用したのがバガス容器。もともとは欧米で惣菜などを持ち帰る用途に使われていたものを、折兼が日本の食文化に合わせて改良した。
「日本食は欧米と比べ、米や汁物など水分が多いのが特徴です。海外のバガス容器をそのまま使用すると、表面に米がくっついてしまうんですね。そこで従来のバガス容器の表面に、『生分解性プラスチック』(※3)を薄く貼るラミネート加工を施しました。こうすることで、水分の多い食事でも快適に召し上がっていただけます」(大岩氏)
要求水準の高い日本の消費者も満足できるよう、技術力で品質を向上させている。さらに日本の多様な食スタイルに合わせ、サイズ展開も豊富に工夫した。折兼ではこうした取り組みを、業界に先駆けて行っている。
※3 生分解性プラスチック:使用後に一定の条件下で分解され、最終的に水と二酸化炭素へと分解され自然に還るプラスチック
エコ容器は取引にもプラスに。「プラスチック禁止」時代を見据えて
大岩氏は、エコシフトはパッケージを通した消費者対応だけでなく、BtoBの取引にとっても重要だと指摘する。今後SDGsに関連した法改正が進めば、環境対応がビジネスにおいて不可欠になる時代がやってくる。そのためにも今から先を見据えた対応が必要になる。
政府はすでに「プラスチックにかかる資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)の制定に向けて動いており、エコ容器やパッケージの利用は今までの「推奨」から「指示」の段階へと進行中だ。炭素税も近い将来に導入され、そう遠くない将来プラスチックへの社会からの風当たりが強くなっていくだろう。
「飲食店の皆さまにとっても、環境対応はやるか・やらないかという段階ではなく、いつやるかというレベルになってきています。取り組まないこと自体が、もはやリスクかもしれません」(大岩氏)
だが、エコという観点からいえば、すべてのプラスチックが悪ではないともいう。商品が売れるためには、外から見せる「パッケージの透明性』が絶対に必要で、これはプラスチックならではのメリットだ。
「だからこそすべてのプラスチック製品を排除するのではなく、たとえばフタ部分を環境に優しいバイオマスプラスチックに変え、容器を木や紙、竹やバガスにするなど『適材適所の使い分け』が必要です」(大岩氏)
エコを重視するあまり、見た目が損なわれ、不便になってしまっては意味がない。現代の消費者は「おしゃれで高機能なエコ」を求めている。環境に配慮した食品パッケージブランドweeco(ウィーコ)の市場は、これからどんどん伸びるだろう。飲食店も、そのメリットを享受する時代が来ている。
いっしょに、いいエコ。weeco(ウィーコ)
■ブランド概要
自然への負荷をできる限り減らした食品パッケージブランド。ラインナップされる条件は「原材料が自然由来」「コンパクトにして処理できる」など、持続可能な社会の実現にプラスな条件があること。「みんなで一緒に取り組まなければ、本当のエコにはつながらない」との考えのもと、“we + eco”で、“weeco”と名付けました。
▼ブランドサイト:https://www.weeco.jp/
■運営会社
企業名:株式会社折兼
事業内容:食品包装資材専門商社、食品包装容器、資材、衛生関連商品、環境対応品、厨房用品及び包装機械等のトータル販売。
営業本部
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