「注文の敷居が高くなりがちなワインは、特に気を使っています。普通のイタリアンレストランはありえない話ですが、ナチュラではワインも通常のボトルではなく、あえてマグナムボトルをご用意して日本酒の一升瓶に見立てて注いでいます。スタッフが両手でしっかりボトル持って『どうぞどうぞ』とグラスになみなみとワインをお注ぎし、お客様は『おっとっと』と言いながら受けていただく。この一連のやり取りこそが、ワインの敷居を下げるための第一歩と考えます」
徹底した大衆化。ある意味ナチュラはあえて“女性ウケしない”店作りをしているといえる。イタリアンでありながら客層の男女比も6:4で男性が多いのだという。またその水準をキープするために、来店者の男女比率にも厳しく目を光らせているそうだ。
「ナチュラの全店で、とにかく男性客の比率が高くなるようにこだわっています。女性のお客様の来店が増えている店舗には『どんな店作りをしているんだ!』と確認の電話が入ります。サービスが硬すぎるんじゃないか、敷居を下げるためにもっとダサくできないか、など大衆化のコンセプトにブレがないか常に気を配っています」
裏を返せば、女性のお客様の動向を細かく確認しているということだろう。実際にどんなにダサくしようとも女性のお客様の利用は多いのだという。また、敷居の低さもあって赤提灯的な使い方をするサラリーマンをはじめ、若者から年配までナチュラのファン層は本当に幅広い。さらに利用者のマーケットが被ることがないため、大手のイタリアンチェーンの台頭や、いわゆるおしゃれなイタリアンレストランの出店からも影響もなく、まさに“市場の独占”という状態だ。
地元業者とともに作り上げる、地域密着の店
ナチュラはいい意味で地元の大衆酒場だ。客単価は3,500円前後、これでお腹もいっぱいになり、お酒も存分に飲むことができる。メイン料理は魚が多い。地元の市場で仕入れた魚を丸ごと調理することにこだわりを持ち、のどくろやキンキなど、いわゆる高級魚も1,600円前後と控えめな価格帯に設定されている。