「オープンキッチン」と「選ぶ楽しさ」で日本人に訴える
店に入って印象的なのは、入り口からキッチンまでが非常に見渡しがいいということだ。さらにカウンターの横に回ると、ガラス張りのすぐ向こう側にキッチンの全景を眺めることができる。
「タコベルの特徴のひとつとして、『made to order』があります。オーダーを受けてから作り始め、できたてを提供するということです。日本のお客様にとっては、メキシコ料理自体はもちろん、調理法にもあまり馴染みがありません。原材料を気にされる方も多いので、視覚的にフレッシュな材料や調理過程を見ていただけるように配慮しています」
もうひとつの特徴として挙げられるのが、メキシコ料理を身近に感じて楽しんでもらうための“選ぶ楽しみ”の提供だ。注文する際には、まずタコスやブリトーなどメインとなる商品を6種類の中から選び、中身の具材、辛さやサイドメニューなどを自分好みにチョイスできる。
「本格的なメキシカンフードは初めてという方も、まずは自分に合いそうなものから試していただきたいですね。そうして『次はこの味を試そうかな』と何度か食べている内に、きっと自分だけの味をみつけていただけると思います」
また、日本人がメキシカンフードに馴染みがないという点では、お客だけでなくスタッフにとっても同じこと。キッチンでのオペレーションや接客においては、どのような人材教育を行っているのだろうか。
「スタッフのトレーニングには力を入れています。特にオープン前の数週間はアメリカから複数のトレーナーが来日し、つきっきりで指導しました。そうすることで、単にオペレーションだけでなくブランドへの理解も深まりますし、自ら提供する商品に対して自信を持ってもらえるからです。何よりトレーニングを通じて伝えたいのは、自分たちが提供しているものに誇りを持って、生き生きと働いて欲しいということですね」
このほか、オンラインでの指導プログラムなど、様々な教育ツールを駆使したスタッフトレーニングも行っているという。
渋谷というロケーションからの再出発
もちろん、渋谷という街を日本再上陸1号店の出店先に選んだのも狙いがあってのことだ。
「渋谷は、とてもエネルギッシュな街で、特に若者文化が盛んな場所だと思っています。グルメ、ファッション、ライフスタイルなど様々な最新情報が発信されていますし、それに対するアクセスも凄いですよね。そうした渋谷の雰囲気は、タコベルが「Live Mas!」(Masの「a」の上にはアクセント記号)というスローガンとともに大切にしている「若々しく、エネルギッシュで、新しいことに挑戦する」という価値観と一致すると考え、私たちも、ここから「タコベル」というブランドを発信しようと思いました」