-●1966年創業と、御社はとても長い歴史をお持ちです。まずは創業のきっかけから教えていただけますでしょうか。
きっ かけは創業者がアメリカに視察に行った際に見た光景だと聞いています。当時アメリカでは車で行けるドライブイン形式のレストランがとても流行ったらしく、 それを見て“今後は日本でも車が一般家庭に普及し、車を使って食事に行くことが増えるだろう”と考えたのです。そして、1966年、現在の福岡県福津市に 「味の街 ウエスト」の一号店をオープンしました。
-●そもそも「ドライブイン形式」というのはどういったものでしょうか?
世 代によってはわからないかもしれませんね。簡単にいうと、幹線道路の脇にあって、車ですぐに入れるようになっており、同じ敷地に和食や中華料理、洋食、う どん、ラーメン、焼肉など複数業態のお店が何店舗か並んでいるものです。今でいう高速道路のサービスエリアのようなイメージですね。我々は、それを「味の 街」と表現してきました。時代の流れに合っていたのか、「味の街」は多くのお客様で賑わい、順調に数を延ばしていきました。
-●今は「うどん屋」さんのイメージが強いです。
ウ エストは大きくわけて、「味の街」「焼肉屋」「うどん屋」の3つの流れを辿ってきました。まずは、複数業態の「味の街」の拡大でスタートしましたが、25 年ほど前から焼肉屋がヒットしはじめたため、焼肉の単独店に力を入れました。そうこうしているうちに、バブルがはじけて今度はうどん屋の売上げがよくなっ たのです。
他の地域もそうだと思いますが、昔のうどんはいわばファストフードでした。要するに、1人か2人で中途半端な時間にかけこんで食 べる、“たかがうどん”だったんですね。お店も昼は混んでいるけど、夜は空いているような感じで。しかし、15年ほど前からは、家族連れでしかも夕食にう どん食べるという流れができてきたのです。うどんでも十分“食事”になる、と。現在、弊社は全業態で約200店舗を運営していますが、そのうちの約120 店舗がうどん屋ですから、「ウエスト=うどん」という方も多いかもしれませんね。
-●今日お邪魔している「麦野店」は何席くらいでしょうか?
麦野店は「味の街」の中にある大型のうどん屋になり、席数は70席ほどあります。他のうどんの単独店舗はもっと小さく、30席くらいの規模が多いですね。客層は幅広く、お子様連れのファミリーから若者、ご年配の方まで様々な方にご来店いただきます。
中でも最近特に感じるのは、若い世代がうどんをよく食べるということです。昔は“若者といえばラーメン”というイメージだったのですが、最近はヘルシー志向からかうどんも人気が高いようです。コストパフォーマンスもいいですしね。
-●うどんはほとんどのお店で24時間営業されていますね。
う どん屋は一度お店を閉めると、釜の火を落としたり片付けたり、また朝はオープン2時間前に出勤しておだしを温めたりという作業で1日何時間かのロスになり ます。基本的にお店を作ると土地代や建物の償却で固定費がかかりますので、売上げがあがるのであればオープンしておいたほうがいいのです。うどんはちょっ とした夜食にもいいですし、立地的にも夜中から朝にかけてもたくさんお客様がいらっしゃいます。