デリバリー市場に新風、手厚いサポートで飲食店に販売チャネルを提供する「Wolt」

業界ニュース2020.11.24

デリバリー市場に新風、手厚いサポートで飲食店に販売チャネルを提供する「Wolt」

2020.11.24

デリバリー市場に新風、手厚いサポートで飲食店に販売チャネルを提供する「Wolt」

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コロナ禍で需要が急拡大するデリバリー市場。UberEats、出前館などがデリバリー事業者としてしのぎを削る中、フィンランド生まれの「Wolt(ウォルト)」が10月22日、満を持して東京エリアに進出した。2014年にヘルシンキで創業した同社は、ヨーロッパを中心に23か国100都市以上(※)で展開している。

日本では広島市へ上陸し、札幌市、仙台市、呉市、東京都、盛岡市(※)とサービスエリアを広げてきた。大都市ばかりではなく地方での展開も見据え、フィンランドならではの「温かみのあるおもてなし」を重視するWolt。いま、飲食店が導入するメリットはなにか。Wolt Japanの新宅暁氏に聞いた。

※2020年11月26日現在

目次

日本のフードデリバリー市場はまだまだ発展途上

【Q】北欧からヨーロッパを中心に、登録ユーザー数700万以上、レストランパートナーは2万社以上に拡大しているWoltですが、日本に進出した理由は何ですか?

Wolt Japan 株式会社 新宅 暁 氏

弊社は2014年にヘルシンキで創業し、北欧を中心にサービスを展開してきました。もともとフィンランドは人口密度が低いうえに悪天候で、デリバリー文化は根付かないと見られていたエリアです。

しかし効率化したテクノロジーと、高い利用体験を重視してサービスを作ってきた結果、他社を卓越するサービスへと成長することができました。これなら、クオリティに厳しい日本でも勝負できると考えたのです。

オンラインのデリバリー市場は、この10年で急拡大しています。日本は世界第3位の巨大な市場にもかかわらず、オンラインデリバリーに関しては利用率が圧倒的に低い。ポテンシャルは大きいと見ています。

デリバリーの売上は、飲食店にとって純粋なプラス

【Q】飲食店から見て、デリバリー事業を始めるメリットはどのようなものでしょうか?

弊社で集計したデータを見ますと、Wolt経由での売上は90%以上、イートイン収入との“かぶり”がありません。つまりデリバリーがなければ存在しなかった売上が、上乗せされるということです。

お客様は行ったことのあるお店だから注文するのではなく、Woltのアプリ上で新たなお店を探している。その意味で、飲食店の皆さまには新しい販売チャネルを提供できると思います。

コロナ禍でライフスタイルは変化し、おうち時間をゆたかに過ごす流れが加速しました。外に出ずに美味しいもの食べたいとのニーズは、これからも高まるでしょう。その価値観にフィットするような味、クオリティ、パッケージングができれば、飲食店はさらに成長できます。Woltは担当者が直接お店を訪問し、そうした点を手厚くサポートさせていただいています。

配達パートナーには適正テストも

【Q】デリバリーサービスを利用する飲食店に、どのような対応をしていますか?

大きく2つあります。ひとつは業界屈指のカスタマーサポートの手厚さ。お客様、配達パートナー、飲食店にそれぞれタブレット端末をお渡しし、チャットでお問い合わせいただければ平均40秒以内に回答しています。

先に言及したマーケティング支援も、社員が直接お店へ出向いて行うのが特徴です。デリバリー事業を始める際、メニューの準備や運営方法などさまざまな不安が生じるのは当然のことではないでしょうか。それを丁寧に解消し、飲食店の皆さまにも幸せになってほしいとの思いが伝わっているのだと思います。

もうひとつは配達パートナーの質です。お客様からすると、直接対面する配達員はその飲食店のスタッフと同じです。ですから配達員になるには、交通マナーや飲食店への対応などをはかる適性テストをクリアしなければなりません。なにか問題があればすぐに本社からフィードバックしますし、警察とも連携して交通ルールの遵守に力を入れています。

北欧企業らしい、温かな関係構築を大切に

【Q】加盟している飲食店に対し、質の高いサポートをされているのですね

これまで、フードデリバリーのプラットフォームといえば機械的で、人間味がない印象があったかもしれません。でもWoltは違います。

東京だけでなく地方にも拠点を置き、手厚いサポートでお客様と配達パートナー、飲食店の3者がすべて幸せになることを目指す。 QOL(Quality of Life)=生活の質や、温かな人間関係を重視する北欧企業らしい考え方です。

またWoltでは「地域密着」を掲げており、札幌ならスープカレー、広島ならお好み焼きなどローカルに根付いたキャンペーンを数多く実施しています。大手チェーン店ばかりでなく、個店の方にも多数参加いただき、地域によって飲食店の特色が豊かなことも特徴です。

手数料は30%でも、売上が純増になる理由

【Q】飲食店にとって手数料が負担という声も聞きます。

手数料は一律30%で、業界では最も低い水準だと思います。それでも多くの方は「高い」と感じてしまうでしょうし、お客様にとっても利用のハードルになっているのが現状です。私たちはそのハードルを解消したい。たとえ30%かかっても、Wolt側の利益が非常に大きいわけではないのですが…。そこで私たちが飲食店の皆さまにお伝えしているのは、次のような考え方です。

まず、賃料と人件費はデリバリーをやっていてもいなくても必要になる固定費と捉えることができます。その上で、デリバリーにかかるコストは、原材料、光熱費と容器代、そして弊社への手数料になります。 

仮に原材料費(原価)が40%だった場合、それに光熱費と容器代で10%、それに弊社手数料30%を載せても、残りの20%がデリバリー経由の利益となります。現実的には在庫管理などの影響も受けると思いますが、デリバリー事業は、固定費を上げずに、利益を増やせる方法なのです。いわば、固定費をかけることなく、新しい支店をオープンできるようなものです。

既存のデリバリープラットフォームはこのあたりをよく説明していないことが多く、手数料の30%をそのまま上乗せしてしまう飲食店様が多いのです。これを理解してもらい、イートインと同等の価格設定にしていただいたお店は積極的にプッシュをしています。

日本で100億円の初期投資、100都市展開を目指す

【Q】今後の展開予定を教えて下さい。

日本事業には初期投資で100億円を投じ、今後2年で100都市での展開を目指しています。大都市だけでなく、すでに展開している広島の呉市のような地方の町にこそ、ニーズはあると見ています。地方ならではの、顔の見えるコミュニティをさらに活性化させるのが本来のデリバリーのあり方だと考えているからです。

現在、エリア外からのお問い合わせも非常に多く、反響を実感しています。「Woltを開けば美味しいレストランがある、高い顧客体験ができる」と思っていただけるよう、北欧ならではの温かなフードデリバリーサービスを根付かせていきたいですね。

BtoBプラットフォーム受発注

Wolt Japan株式会社

本社所在地:東京都渋谷区神南一丁目11番3号PORTAL POINT SHIBUYA 7階
公式ウェブサイト:https://wolt.com/ja

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