12月14日には、ポテトサラダ専門店ポテトクリームが自由が丘の路地にオープンした。店名にもなっているポテトクリームとは、マッシュポテトに野菜たっぷりの熱々ソースをかけた新感覚のポテトサラダである。
グラフィックデザイナーだった店主が、居酒屋やデリの鉄板サイドメニューとして万人に人気のポテトサラダを、「もっとおしゃれに手軽に」という思いで専門店の看板を掲げた。店頭での対面販売はもちろん、スタンディングのみのバルスタイルの店内ではイートインも可能で、ランチにはバゲット、ディナーにはワインと一緒に楽しむ人の姿もあった。
マッシュポテトに使うジャガイモは、クリーミーな仕上がりを考慮して粘りの強いキタアカリをチョイス。優しい甘みで、野菜をふんだんに使った5種類のソースとの相性も抜群だ。かわいらしいカップにスプーン付きで提供するスタイルも、ポテトサラダの概念を覆す。
美味しくて、ヘルシーで、お腹が満たされて、そして新しい。アイスクリームやスイーツのような手軽さと、素材選びから調理まで手間を惜しまない本物志向の両立が、ポテトサラダ専門店の屋台骨を支えているのだろう。
これら2店は、飲食店の新業態ではなく異業種からの新規参入だ。そのような例は今や珍しいことではないが、ブーム便乗や話題作りに留まる多くの例とは一線を画している。2店に共通している他との決定的な差は、「食」と徹底的に向き合う真摯な姿勢だといえよう。単に奇をてらった新展開では、単一メニューで勝負するまでには至らない。「フレンチフライやポテトサラダに行列?」と訝しがっている人にこそ、ぜひ並んで2店が提供する「食」の本質に触れてみていただきたい。