大分県は、県産品魅力再構築推進事業の一環として、大分県産の商品価値向上と企業の競争力強化を目的に、サステナブル(持続可能性)に配慮した取り組みを展開する県内事業者を10社選定し、商品開発から販売までのサポートを実施しました。この取り組みにより誕生した10商品を、2024年4月より順次発売いたします。
選定された10社は、持続可能な企業体制を構築するため、ワークショップを通して言語化した社会的意義や事業目的に基づき、本事業のプロジェクトチームと共にリブランディングや商品開発を行いました。大分の豊かな自然の恵みと、地域で育まれた多様な文化が融合して生まれた商品は、洗練され、且つ手に取りやすいサイズのデザインパッケージで展開され、自分へのご褒美、そして、お土産・ギフトにも最適です。
<販売商品・製造事業者名>
由布院ピクルス (草庵秋桜四季工房/由布市)
うすきさんど (後藤製菓/臼杵市)
ふぐひれ (柳井商店/佐伯市)
辛ぽん/甘ぽん (マルマタしょう油/日田市)
車えびかりんとうプレミアム (おおいた姫島/東国東郡姫島村)
ごまだし (漁村女性グループめばる/佐伯市)
しいたけ読本 (王将椎茸/臼杵市)
ギャバ入りニラ醤油 (LogStyle/大分市)
フレーバーティー (丹羽茶舗/中津市)
FOREST MIST 青の霧 (久恒山林/中津市)
<プロジェクトチーム構成>
ブランディングディレクター:山出淳也(Yamaide Art Office)
クリエイティブディレクター:永田宙郷(TIMELESS)
プロジェクトマネージャー: 中村優花(Yamaide Art Office)
商品詳細
由布院ピクルス
ご近所から仕入れた野菜を使い生産者と消費者をつなぐ存在に
製造:草庵秋桜四季工房(由布市)
¥756 内容総量 150g、固形量 90g
旬をつめこんだ瓶詰めのピクルス
車で約30分、半径30km圏内の「ご近所」で収穫される野菜や果物を使用した「由布院ピクルス」。野菜のピクルスは橙酢、穀物酢、白ワインをベースに、フルーツのピクルスはりんご酢を使うことで、まろやかな酸味と素材本来の色味を長期間保つことができるのが特徴です。生き生きとした旬の素材をそのまま瓶詰めにしています。
ご近所の生産者の想いをのせた野菜を消費者に届ける
大分県の中央に位置する由布院は、人やモノが行き交う場所。そのハブ的な地域で<草庵秋桜四季工房>が製造するピクルスは、ご近所とのつながりで成り立っています。「由布院」という地名が付くことでそのエリアを背負うことになると考えて名付けられたこの商品は、生産者のバックボーンやこれまで積み上げてきた文化という物語を紡ぐ語り部として、また、消費者とのハブとして、その輪を未来に広げていきます。
デザイン:金子カズキ(one inc. / Artless)
うすきさんど
うすきの食文化や素材の魅力を“さんど”
製造:後藤製菓(臼杵市)
¥648 3個入り
地元素材 x 手仕事の美=うすきせんべい
臼杵市がかつて生姜の一大産地だったことから、生姜の味付けを加えて地元の味として定着してきた「うすきせんべい」。生姜と砂糖を合わせた蜜を、はけで一つひとつ丁寧に手塗りし、地元の素材と手仕事の美しさをかけ合わせて生まれた臼杵ならではの味です。そのせんべいの間に小倉餡をサンドし、従来の固い「うすきせんべい」をやわらかくアレンジした商品がこちら。100年以上続く企業として、ヒトや企業、地元の素材などさまざまなものを「さんど」していきたいという想いが込められています。
“?杵の食文化”を次につなぐ
ユネスコ食文化創造都市の認定都市・大分県臼杵市で「食べられる工芸品」として愛され続ける「うすきせんべい」を製造する後藤製菓は、2019年に創業100周年を迎えるにあたり、「うすきせんべい」という食文化のひとつを担う会社として、「不易流行」を理念に掲げました。安心して食べることができる生姜をつくるため、自社で有機栽培も行っています。
デザイン:井下 悠(INOSHITA DESIGN)
ふぐひれ
愛らしいふぐの形のパッケージで、ふぐひれをより身近に親しみやすく
製造:柳井商店(佐伯市)
¥378 2枚入り
お土産にも、自分で楽しむにもちょうどいいふぐひれ
15年来愛されている「ふぐひれ」を、さらに手に取りやすい2枚入りのミニサイズにリニューアルしました。アツアツの日本酒にふぐひれを入れて蓋をし、30秒ほど待つだけでおいしいひれ酒が堪能できます。手土産にすれば、楽しい会話が生まれそう。
「ふぐで社会の福を増やす」
ふぐは、毒のある内臓以外、身はもちろん、皮やひれまで食べることができるのが大きな特長です。大分県南部に位置する佐伯市は、東側に豊後水道に隣接するリアス海岸が広がる、水産業が盛んな地域です。<柳井商店>が誕生した1980年頃に、ふぐを加工できる事業者が佐伯市内にいなかったことから、先代がふぐの加工をスタートし、今に受け継がれています。「ふぐをより親しみのあるものにして、ふぐを通して福を広げたい」という想いのもと、新たな商品開発にも取り組んでいます。
イラスト:河合愛(Chalkart CHOCOTTO) / デザイン:福田まや(星庭)
辛ぽん/甘ぽん
甘おいしい新感覚のポン酢に辛党向けが新登場。甘いポン酢で新たな食文化の提案と地域の魅力を発信
製造:マルマタしょう油(日田市)
¥626 内容量 150ml
九州のおへそ・水郷日田で生まれるポン酢
創業以来、オリジナルの味を追求するために、全工程を自社で行う一貫製造体制を構築する<マルマタしょう油>は、既存商品の「?ぽん酢」をリパッケージした「?ぽん」と新登場した「?ぽん」の少量サイズを発売します。「甘ぽん」は、酸味が苦手な方やお子さまにもやさしい味と、旨みの強さが特徴の一品で、大分県の特産品である生カボスを使用しています。また、今回、辛めが好みの方向けに「甘ぽん」にラー油やトウガラシを加えた「辛ぽん」も新たにご用意しました。
新たな食文化をつくり地域の魅力を伝える
三隈川が流れ、水資源が豊富なことで知られる大分県日田市。<マルマタしょう油>の創業者である合原又七郎も、この豊かな水資源があったからこそ、醤油造りを始めたといわれ、1859年の創業以来、同社は醤油を中心とした醸造業を営んできました。地域の資源や魅力も一緒に伝えていきたいという想いから、九州醤油のように甘みと旨みが強い「甘ぽん酢」を開発。甘おいしいポン酢という新しい食文化をつくり、土地の魅力を伝えていきます。
イラスト:山内庸資 / デザイン:越田剛史(Design totte)
ごまだし
佐伯市の家庭の味。魚の旨みとごまの香りが食欲を掻き立てる漁村生まれの郷土調味料
製造:漁村女性グループめばる(佐伯市)
¥670 80g(2食分)
ローカルフードのこまだしを漁師の妻が手づくり
ごまだしは、焼いた魚と調味料を混ぜた万能だしとして受け継がれてきた大分県佐伯市のローカルフード。<漁村女性グループめばる>は、漁師の妻たちが丁寧に下処理した新鮮な季節の魚をふんだんに使用した、魚の旨みが最大限活かされた人気の「ごまだし」を、より手軽に楽しめる食べきりサイズにリパッケージ。出汁として、味噌とあわせて、アンチョビがわりにパスタに、マヨネーズと和えるなど、多様な使用が可能です。地元に根づく味をお楽しみください。
漁師の魚をあますところなく。海の旨みを全国に届ける
大分県佐伯市の漁師町、鶴見地区にある鶴見港は、瀬戸内海と太平洋の海水が混ざり合う好漁場で、県内一の水揚げ漁獲高を誇ります。家族が獲ってきた魚をより多くの方に知ってほしい、また、魚が獲れすぎた際にも無駄なく加工を施すことでみなさまに魚を届けたいという思いのもと、<漁村女性グループめばる>は、海の旨みによる食文化を伝えるだけに留まらず、水産事業を安定させる役割も担いながら、地域での循環を生み出しています。
デザイン:井下 悠(INOSHITA DESIGN)
しいたけ読本
手軽に戻せるスライス乾椎茸にしいたけの魅力がたっぷり詰まった「しいたけ読本」のセット
製造:王将椎茸(臼杵市)
¥540 乾しいたけ(スライス)15g ※付録として「しいたけ読本」が1冊付きます。
戻す手間が最小限。旨味の詰まった原木乾椎茸を手軽に味わえる
大分県は乾椎茸の生産量が日本一*で、全国の半分の生産量を占める椎茸王国。原木での自然栽培は、無農薬栽培が基本で森の循環を維持する一役を担っています。通常、乾椎茸は水で5時間以上戻す必要がありますが、「乾椎茸スライス」は、栄養や味はそのまま、戻し時間が30分~1時間程度と最小限の時間で手軽に利用することが可能です。また、戻した後は、切らずに調理できるのも魅力です。*参考:王将椎茸株式会社令和2年特用林産基礎資料しいたけ都道府県別生産実績より
自然の恵みを食卓へ。有機農業を推進する臼杵市で乾椎茸の魅力を伝えていく
臼杵市では、化学合成農薬、化学肥料を使わずに育てた野菜を「ほんまもん農産物」と名付け、独自の認証制度を設けて有機農業を推進しています。1974年創業の<王将椎茸>は、そんな臼杵市で、産地のトレースも徹底管理の上、安心安全でおいしい乾椎茸を提供し、その魅力を広めています。
デザイン:福田まや(星庭)
ギャバ入りニラ醤油
廃棄されていたニラの茎とGABAの出合い。次世代型アップサイクル調味料
製造:LogStyle(大分市)
¥1,080 内容量:140g
大分県特産のニラと酒造りの過程でできる「GABA」の出合い
これまで廃棄していたニラの茎を活用した「ニラ醤油」は、2019年の誕生以来、人気を博してきました。今回新たに登場する「ギャバ入りニラ醤油」は、大分県産の麦焼酎「いいちこ」(三和酒類)の製造過程でできる大麦の搾りかすから偶然発見されたGABAを「ニラ醤油」に加えたもの。味、栄養がさらに豊かになったアップサイクル調味料が誕生しました。
いつでも挑戦者。 FOODの力で、新たなソウル&風土を耕しサステナブルな未来をつくりだす
ラーメン業も営む<LogStyle>代表の、提供する料理でニラの根元を15%廃棄していたことへの「もったいない」という気持ちから誕生した「ニラ醤油」。現在では、仕入れたニラのロス率はほぼゼロを達成。フードロス対策にも取り組む自社商品として、全国に広めています。
デザイン:越田剛史(Design totte)
フレーバーティー
大分県の魅力的な産品とのコラボレーションで生まれた3種のフレーバーティー
製造:丹羽茶舗(中津市)
¥540 内容量:10g(2.5g×4個)
地元生産者とのつながりから生まれた3種のフレーバーティー
明治時代より大分県中津の地で日本茶専門店を営んできた丹羽茶舗。中津市のHARU CHOCOLATEのカカオハスク(カカオ豆の種皮)を使用したカカオ煎茶、中津市のおはら果樹園firmのオリジナル柑橘「マコポン」の皮を使用した和紅茶、大分市のヤドカリカンパニーが作った無農薬の生姜を使用したほうじ茶が誕生しました。
肩の力を抜いてお茶文化を気軽に楽しむ
時代と共に、お茶の存在、そしてお茶屋としての価値が変化する中、<丹羽茶舗>はロゴやパッケージの刷新、喫茶室のオープンなど、あるものを広げ、関わる人たちと共に良いものを紡いでいくことにより、お茶の文化をより身近に感じてもらえる形へと変えながら展開。地元の素材や人々を繋げて地域循環を作りながら、新たなお茶の文化を発信しています。
イラスト:堀 道広 / デザイン:高橋孝治
FOREST MIST 青の霧
森と人をつなげる案内人。森の情景が浮かぶリラックスできるミストスプレー
製造:久恒山林(中津市)
¥2,700 内容量:280ml
森の香りを日常に。暮らしを整えるミストスプレー
ルームミスト、ピローミスト、ファブリックミストなど、多様な使い方ができるミストスプレー。商品名は、遠くの山を見た時に景色が青く見える「ブルーヘイズ」という現象から命名。その青さを作り出すフィトンチッド、特にαピネンという成分は、森林内の空気と同じような低濃度で取り入れることで身体の緊張をほぐし、リラックスをさせる作用があると言われています。「FOREST MIST for sleep 青の霧」では、その静かに澄んだ森のような香りをお楽しみいただけます。
耶馬溪の渓谷美 森の循環の中で、人と森の共生社会の実現を目指す
大分県中津市に拠点を置く久恒山林は、耶馬溪(やばけい)での林業から出る間伐材を使用してアロマ事業をスタートしました。自然の息づかいを感じにくい 現代の生活環境の中で、自然と向き合いながら「森を想う暮らし」を伝えるために、森づくりから植物採集、蒸留所での抽出、充填やラベルの貼付まで、すべてを手作業で行なっています。針葉樹であるスギ・ヒノキは育つ環境を考慮した間伐材を使用、広葉樹は成長のペースを超えるほど採り過ぎないなど、環境に配慮し次世代につながる森づくりに取り組んでいます。
イラスト:網中いづる / デザイン:脇水ゆりか(Arikui Labo)
参考情報
<県産品魅力再構築推進事業の目的>
大分県では、人口減少と高齢化の進行による地域経済の衰退が懸念されており、域外消費獲得のさらなる促進が必要な状況となっています。他方、マーケットにおいては、消費者ニーズの多様化および高度化により求められる商品基準も変化しており、県内事業者および県産品は、消費者選択の時代における対応力をさらに高める必要があります。そのような状況下開催される「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」(会期:2024年4月1日~6月30日)の開催を機に、県産品のリブランディングを行い、商品価値の向上や企業の競争力強化を図りました。現在における消費とは、社会への眼差しなくしては成立しないという認識から、継続可能性(サステナブル)を重視・意識した取り組みを展開する事業者・10社を選定しました。
<本事業の参加資格>
1. 製造から廃棄まで、何らかの部分で環境に負荷をかけない要素を含む商品を製造可能であること
2. 地域の持続性や課題解決への貢献に意識を持ち、活動する事業者であること
3. 将来にわたって持続可能な企業体制を構築している(しようとする)事業者であること
<商品化・販売までの工程>
1. パーパスの策定に向けた全体ワークショップの開催
2. 各社ごとにパーパスを決定
3. 事業者が抱える課題の抽出を行うとともに、パーパスを踏まえつつ解決に向けたリブランディング計画の方向性決定
4. リブランディング商品の具体化、デザイナーのアサイン、顔合わせ
5. 商品化に向けデザイナーによる事業者へのヒアリング
6. プロトタイプ製造、および検証、改良
7. リブランディング商品を紹介するための広報物作成
8. 全国メディアでの紹介に向けたPR活動を実施
9. 4月1日からの発売に向けたECサイトの構築など