- No.SBF1431(2023/11/21)
社員同士のつながりを重視する企業が増加
設置企業360社超え、雑談のきっかけをつくる「社長のおごり自販機」が
“雑談”がちょっと生まれやすくなる条件を調査!
~見出した5条件は「終わりの時間がよめる」「ながら・ついで」「共同作業」「共通の話題」「ヨコ並び」~
~雑談研究者 清水崇文氏(上智大学 言語教育研究センター教授)が監修・分析~
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サントリー食品インターナショナル株式会社が展開する「社長のおごり自販機」は、雑談がちょっと生まれやすくなる5つの条件を見出しました。5つの条件とは、「終わりの時間がよめる」「ながら・ついで」「共同作業」「目の前にある共通の話題」「適度な距離でヨコ並び」です。
「社長のおごり自販機」は、2人で社員証を同時にタッチすると、無料で飲料がもらえる特別な自販機です。職場で雑談のきっかけをつくる自販機として、2021年10月から首都圏エリアでサービスを開始、22年5月から全国拡大しました。
昨今、コロナ5類移行に伴う出社回帰の流れを受け、フリーアドレス制の導入・社内運動会の実施・社員食堂の充実など、社員同士のコミュニケーションを活性化する企業の取り組みが増えています。
そうした中、「社長のおごり自販機」の設置企業は、導入から2年で360社を超え、設置台数は昨年比で3倍規模※に増加。累計の利用者は、延べ600万人(300万ペア)を突破しました。本サービスは“あいさつ以上・食事未満”の気軽なコミュニケーションが生まれやすくなるのが特長で、利用者からは「気軽に話しかけやすい」「出社する楽しみが増えた」「初めての人でも話しかけやすい」といったお声を頂いております。
※23年10月末時点
〈導入企業数・設置台数〉 |
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そこで今回、雑談がちょっと生まれやすくなる条件を探るべく、雑談研究者 清水崇文氏(上智大学 言語教育研究センター教授)の監修のもと、設置企業120社へアンケート調査を実施しました。また、「社長のおごり自販機」の利用方法と合わせて分析した結果、「雑談がちょっと生まれやすくなる5条件」を見出しました。
■雑談研究者 清水崇文氏が解説!雑談がちょっと生まれやすくなる5条件
〈調査結果(1)〉 |
〈調査結果(2)〉 |
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条件1「終わりの時間がよめる」
・職場での「社長のおごり自販機」利用時の雑談時間は「約3分」という結果でした。一方、長い(負担になる)と感じる雑談時間は「約9分~」という結果でした(調査結果(1))。さらに、なぜ「社長のおごり自販機」で雑談が生まれていると思いますか?という質問に対して、「気軽に誘いやすい」「誘われる方も気軽に応じられる」という項目が高く出ています(調査結果(2):1位・3位)。
・「社長のおごり自販機」を利用する際は、誘う相手と自販機へ向かい、飲み物を受け取るまでがひと区切り、時間にして数分間です。誘う人/誘われる人の双方にとって“終わりの時間がよめる”ということが、気軽に雑談ができることへ寄与していると考えられます。
・「約3分」という結果は、職場において、業務のすきま時間に収まる短さが良い(ちょっとした息抜きになる一方、業務の邪魔にならない)ということも考えられます。また、短い時間で雑談を終えることで「もっと話したい」「次はこんなことを話そう」と、繰り返し誘う行動にもつながります。「少し物足りないな」と思えるくらいの短さ(=約3分)がちょうどよい、つまり雑談は「腹三分目」くらいがちょうどよいと言えそうです。
条件2「ながら・ついで」
・2番目に多かった回答は「無料で飲み物がもらえるから」というものでした(調査結果(2):2位)。雑談の場面は、雑談をする目的で集まる場合(例:飲み会)と、何かをしているついでに雑談をする場合(例:作業中)に分けられます。
・「社長のおごり自販機」では、無料で飲み物を受け取りにいく行為をしている“ついで”に雑談が生まれています。“雑談をするために一緒にいる”わけではないので、よりリラックスした状態で会話が生まれることにつながっているものと考えられます。逆に、「ながら・ついで」の場面では、たとえ雑談が生まれなくても、気まずい空気になりづらいということも言えそうです。
条件3「共同作業」
・「タッチする際に共同作業が発生する」という項目に着目しました(調査結果(2):6位)。「社長のおごり自販機」は、社員2人がそろって自販機へ移動し、2枚の社員証を同時にタッチすることでそれぞれ1本ずつ飲み物を無料で受け取り、一緒に飲むことができるという仕組みです。こうした共同作業は、仲間意識の醸成につながります。
・「一緒に自販機に向かう」「社員証を同時にタッチする」「一緒に飲む」という行動を共にすることで心理的距離が近くなり、仲間意識が育まれ、雑談が生まれやすくなっているものと考えられます。
条件4「目の前にある共通の話題」
・「飲み物という共通の話題があるから」という項目に着目しました(調査結果(2):8位)。「社長のおごり自販機」を利用する際には、誘う/誘われる双方の視界の中に、自販機そのものや、飲み物という共通の話題がある状態です。
・目の前にあるモノや出来事といった共通事項(例:天気の話、電車からみえる景色の話など)は雑談の格好の話題です。相手も自分も同時に認識できる対象について話すことは「共通点の確認」をすることになり、相手との心理的距離を縮めるのに役立ちます。
条件5「適度な距離でヨコ並び」
・「自販機まで移動しながら話ができる」という項目も多くの回答が出ています(調査結果(2):4位)。
●適度な距離感
・自販機に向かって歩いている際、社員証を自販機にタッチする際などに、ちょうどいい距離(50-100cm程度)が生まれます。これは、相手の表情や雰囲気が分かり、個人的会話をするのに適した距離(個体距離)に該当します。
・相手との関係性にもよりますが、近づきすぎると緊張感が高まり、距離があると形式ばってしまうため、近すぎでも遠すぎでもない距離は、まさに雑談に適した距離といえるでしょう。
●位置関係はヨコ並び
・「社長のおごり自販機」は、2人で一緒に自販機に向かう際も、社員証を同時にタッチする際も、位置関係としては「ヨコ並び」です。
・「正面同士」では、圧迫感を感じて、相手の一挙手一投足に敏感になり、緊張感が生まれやすいのですが、「ヨコ並び」の位置関係では、距離が適度にひらき、視界が開け圧迫されず、リラックスしやすい効果があります。これも雑談が生まれやすくなっている要因のひとつと考えられます。
■監修者プロフィール
氏名:清水 崇文(しみず たかふみ)
所属:上智大学 言語教育研究センター/大学院言語科学研究科 教授
早稲田大学法学部卒。日本生命を経て渡米。イリノイ大学アジア学修士(MA)、ハーバード大学教育学修士(Ed.M)、ロンドン大学応用言語学博士(Ph.D)。スタンフォード大学講師などを経て現職。専門は第二言語習得論、語用論。国土交通省航空英語能力証明審査会委員。
言語学の観点から、雑談について研究している。主な著書に、『雑談の正体』『日本語雑談マスター』『日本語教師のための日常会話力がグーンとアップする雑談指導のススメ』(凡人社)。主な論文・論説に、「雑談で話し手はどのように聞き手との間に共通基盤を構築しているか」「〈総論〉「日常会話」のためのコミュニケーション能力育成の重要性」、「リモートワーク成功の鍵を握る『雑談』」等がある。
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〈調査をうけて〉
●雑談は、無駄口ではない。信頼関係(つながり)を生むだけでなく、働く人の心理的安全性や生産性を高めることにつながる。
雑談の本質は、「相互的な自己開示によるラポールの醸成」だと考えています。ラポールとは信頼関係のこと。お互いに心がつながりあっている、通じ合っていると感じられる状況を指します。
職場においては、雑談は、心理的安全性や生産性に良い影響を与えます。信頼関係(つながり)がある同僚が多い職場だと、職場はその社員にとっての「ホーム」となります。会議中などでも気軽に発言できたり、行き詰まったりしたときに早い段階で誰かに相談することができたりします。些細なことかと思われるかもしれませんが、この積み重ねが、生産性に影響を与えます。逆にいうと、心理的安全性が確保されていないと、働く人のモチベーションを低下させ、結果として組織の生産性やクリエイティビティを損なわせる一因になり得ます。
●雑談しやすい環境づくりの重要性
これまでの日本企業は、属性が近い人の集まりでしたので“あうん”の呼吸が成立してきた部分はあると思います。しかし、組織を構成する人が多様になればなるほど、メンバー間での共通認識をつくるところからコミュニケーションを始めていく必要があります。雑談が組織に与える影響は大きいものです。まずは手軽にできることから始めてみるのが良いのではないでしょうか。
●雑談が生まれやすくなる条件を押さえた「社長のおごり自販機」
今回「社長のおごり自販機」の利用実態やアンケートから「雑談がちょっと生まれやすくなる条件」を見出すという試みでした。調査の過程で、コミュニケーション学の観点からみても、同自販機が、いまの時代に職場で働く人の価値観や交流の仕方について考え抜かれたサービスであると感じました。
●キーワードは「腹三分目雑談」
今回の調査において見出された、職場の同僚との適切な雑談時間は「約3分」であるという事実は、私にとっても新たな発見でした。心理学では、接触する機会が多ければ多いほど相手に好意を持つ傾向があると言われています(単純接触効果)が、1回の会話が短いからこそ頻繁に誘うことができ、その結果、ラポールも生まれやすくなります。今回発見した、職場の同僚との適切な雑談時間=約3分という発見を、日頃から意識できるようなキーワードにするならば「腹三分目雑談」と言えるでしょう。
●日常生活でも実践できる
普段何気なくやっているような雑談でも、実はこれらの5条件のいくつかが満たされていることが多いです。例えば、職場では、同僚と一緒に会議資料の準備をしているときや、仕事場から仕事場への移動中。日常生活でも、ご近所さんと帰り道が一緒になったときや、買い物ついでのお店の人との会話など。つまり、職場でも、職場以外でも、今回見出した5条件を意識するだけで、雑談が生まれやすくなると言えます。
■「社長のおごり自販機」について
オフィスでのコミュニケーションの活性化を目的とした、法人向けのサービスです。
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●使い方
社員2人がそろい、自販機の対象部分に2枚の社員証を同時にタッチすることでそれぞれ1本ずつ飲み物を無料※で受け取ることができます。
具体的な手順は、以下のとおりです。
(1)自販機に行く相手を誘う
(2)一緒に自販機まで向かう
(3)自販機についたら、それぞれ飲みたい飲み物を決める
(4)自販機の対象部分に、2枚(2人)の社員証を同時にタッチする
(5)10秒以内に、2人とも飲みたい商品のボタンを押し、1本ずつ飲み物をもらう
(6)乾杯!
※本サービス分の飲料費用は法人様の負担となります。
なお、本サービスは要望に応じて下記3点の設定・変更が可能です。
□カード1枚当たりの上限本数/日
□対象時間・曜日・同ペア上限回数/週の設定
例:クリエイティビティを活性化させたい午前中をサービス対象時間に設定
□ポスター内の文言の変更
例:「社長のおごり」→「工場長のおごり」
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今後もサントリーは、“自販機でオフィスをちょっとハッピーに”という想いのもと、新たなサービスの提案を広く行っていきます。
以上
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お問い合わせ先
▽社長のおごり自販機URL及びお問い合わせ先:https://www.suntory.co.jp/softdrink/jihanki/ogori/