伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年9月29日(金)11:00~11:20 於:環境省第1会議室)
1.発言要旨
冒頭発言でございます。
明日、9月30日土曜日から10月1日日曜日にかけて、内閣府の原子力防災担当大臣として、滝沢副大臣とともに新潟県柏崎刈羽地域に出張いたします。
今年度の原子力総合防災訓練は、10月下旬に柏崎刈羽地域を対象として実施する予定でございまして、それに先立ち、原子力防災対策の現場を視察いたしまして、新潟県知事、また柏崎市長、刈羽村長をはじめとする関係者との意見交換を行う予定でございます。現場の状況をしっかり把握して、今後の原子力防災体制の充実・強化に活かしてまいりたいと存じます。
もう一点ございます。食品ロスに関するものでございます。10月は、食品ロス削減月間でございます。日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品ロスが、2021年度には523万トンに上るわけでございます。この量は、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量の1.2倍に相当いたしまして、1人当たりお茶わん約1杯分の食べ物が毎日捨てられているということになります。
この食品ロス削減月間を通じて、国民の皆様1人1人が自らの食生活を見直し、食品ロスの削減に取り組まれるようにお願いいたしたいと存じます。例えば、食べ切れないほどの食材を買い過ぎないことや、また外食でどうしても食べ切れない場合はお店の方とよく相談、説明をして、食べ残しを持ち帰るmottECO、アメリカではドギーバックという言葉ですけれども、mottECOなどの行動が、食品ロスの削減につながると思います。
また、今般、食品ロス削減推進表彰の環境大臣賞に選定されたのは、mottECO普及コンソーシアム2023でございます。この団体は、ファミリーレストランなどでの食べ残しの持ち帰りを身近な持ち帰りの文化として広める活動を進めておられておりまして、このような取組の広がりを期待しているところでございます。
環境省としては、デコ活とともに連動して、引き続き食品ロスの削減に向けた取組を推進してまいります。
冒頭発言は以上でございます。
2.質疑応答
(記者)幹事社、読売新聞の矢野と申します。よろしくお願いいたします。幹事社のほうから、27日にありました水俣病国家賠償訴訟請求の大阪地裁判決について、改めてお伺いします。今回の判決は、水俣病被害者救済の特措法に基づく救済の対象外となった原告全員を水俣病と認定したもので、特措法の運用枠組みが不十分だと指摘し、適用範囲を広げるよう求めたと言える内容です。昨日、原告団のほうから控訴しないよう求める要望も出されたかと思いますが、こうした動きも踏まえて、現時点で控訴するかどうかについてのお考え、また、判決を受けて、被害申請受け付けの再開や、救済範囲の拡大などを検討するお考えがあるか、改めてお聞かせください。
(大臣)御指摘のように、9月27日、大阪地方裁判所において、ノーモア・ミナマタ近畿訴訟の判決が言い渡され、国の主張が認められなかったものと承知しております。現在、判決の内容について、国の主張が認められなかった点などをよく精査しているところでございますし、関係者とも協議し、対応を検討しております。また、原告の方々が長年にわたり、様々な病状でお苦しみのこと、本当に胸の痛む思いでございます。
今、申し上げましたように、判決の内容をよく精査しているところでございますし、そして、また関係者とも協議しつつ対応を検討しておりますので、現在のところは、そういった具体的な言及は避けたいと思います。
(記者)熊本日日新聞の東と申します。今の水俣病不知火患者会訴訟に関連しまして、お尋ねします。水俣病特別措置法は、あたう限りの救済を掲げましたが、この判決を踏まえて、それができていたと思われますか。もう一点、特措法の救済漏れが今回の判決によって明らかになりましたけれども、1995年、2009年と二度の政治決着で救済し切れなかったのは、いまだに不知火海沿岸の健康調査が行われていないからだと思いますが、今環境省さんが進められているMEGとMRIを使った客観的診断手法の開発に関しては、被害者団体からの批判も今挙がっております。このまま進めていくのかどうかを教えていただけますでしょうか。以上です。
(大臣)御質問の、まず大きな点のお答えですけれども、この件について様々な御意見があることは私も承知しております。ただ、現在、判決の内容を精査しているところであって、具体的にどうこうというコメントは、現時点では差し控えたいと思います。
それから、後段の御質問で、健康調査の関連があると思いますけども、御案内のように今年の6月に研究班を立ち上げたところでございます。こうした専門家の議論というものをしっかり踏まえながら、健康調査については、できるだけ早く実施すべく、そういう検討を進めてまいりたいと思います。
(記者)北海道新聞の大能と申します。自民党の杉田水脈議員が党の環境部会長代理に起用されるという報道がありますが、議員としての適格性を問う声もそもそもあるんですけれども、人類共通の課題に対して立ち向かっていく必要のある環境について、こうした議員が部会長代理に起用されるということについて、大臣はどうお考えでしょうか。
(大臣)今、御言及のことですけれども、自民党の内部では、私のほうは自民党を離れてというか、今、環境大臣の立場で座っておりますけれども、まだ総務会で決定していませんので、最終の決定ではないというふうに認識しております。
(記者)また決定したらお尋ねします。
(記者)朝日新聞の市野です。お願いいたします。水俣病のお話で、先ほど健康調査の研究班のことでお話しいただいたんですけれども、この研究班は自治医科大の中村氏を主任とする班だと思うのですけども、期間が3年というふうにちょっと長いことと、この中村氏が水俣病を巡る訴訟において、国側の証人であることなども理由に、患者団体からは別の研究班ということも考えるように求める声もあります。今、なるべく早くということだったのですけども、この研究班の結果を待つだけではなくて、別の調査のことを考えたり、別の研究班を立ち上げたりということは、お考えは何かあったりするのかをお聞かせいただいてもいいでしょうか。
(大臣)その点については、今、環境大臣の立場でコメントは差し控えたいと思います。
(記者)新潟日報の齋藤と申します。冒頭発言にありました新潟への視察の件でお伺いします。新潟では、今原発事故時の避難をめぐって、豪雪時、雪との関係で避難路の確保というのが課題になっています。10月下旬に予定する防災訓練でも、机上訓練が盛り込まれていると思いますが、大臣として、その視察や、知事、市町村長との面談を通して、特にどういった点を確認されたいか、お考えあればお願いします。
(大臣)その豪雪の件は、過去2回の記者会見でも出たことがありますけども、原子力防災、また防災においては、やっぱりそれぞれの地域の諸条件があると思うんですね。そういう諸条件というのは、もちろんドキュメントとかペーパーで来るものもありますけども、やっぱり実際に現場に行って、またその自治体の責任者、知事なり、村長なり、市長なりに会うということによって、ペーパーには乗っかってこない、いろいろな課題というものも浮き彫りになるんだろうと思います。そしてまた、私のほうも、環境省の立場として、発言してまいりますので、その中で防災をより強化する、また効果的にする、いろいろな知恵なり、知見というものも生まれてくるというふうに期待しております。
(記者)テレビ朝日の中尾です。よろしくお願いいたします。昨日、処理水の第2回の放出の日付が決定いたしました。大臣の立場になられて、処理水放出は初めてということになりますけれども、大臣として、この2回目の放出ということについて、何を期待しているか、何を注目して見ていきたいか、その辺りを教えてください。
(大臣)2回目が来月始まるわけですけども、環境省としては引き続き、環境省としての海域モニタリング調査をしっかりやっていくこと、そしてまた環境省は複数の主体が調査しておりますけども、その調査のまとめ役といいますか、議長をしておりますので、せっかくの幾つもの主体がやっている調査というものが、総体として、透明性、信頼性というのがしっかり高まるようにしてまいりたいと思います。IAEAも含めてですね、そして世界の皆さんに、この福島におけるALPS処理水の海洋放出が安全であるということを、強く強くアピールしてまいりたいというふうに思っております。
(記者)毎日新聞の岡田です。水俣の関係で、先ほど原告の方が長年にわたり様々な病状に苦しんでおり、胸の痛む思いだとおっしゃっておりましたけども、時間がたつほど、被害者の方も亡くなっていかれるわけですけども、その早期救済に向けての御認識というのはどういうものかというのをちょっとお聞かせいただければありがたいです。
(大臣)環境大臣としては、現行の枠組みの中で早期救済を進めたいということと、さっき申し上げたように、健康調査についてなるたけ早く進めたいということだと思います。
(記者)現行の枠組みの中でというのはあくまで現行の枠組みの中でという認識ですか。
(大臣)それ自体の推移によりますけど、現時点で言えることはそこだと思います。現行の枠組みの中で適切に、早急に対応するということだと思います。
(記者)共同通信の村越です。すみません、ちょっと現行の今の水俣病に関して現行の枠組みの中でということでちょっと確認をしたいのですけれども。言葉を取ると、今後その救済対象を広げたりとかそういったことをする、何というか、そういった救済対象を広げるということがないというようにも受け取れるんですが、どういうふうに受け取ればよろしいでしょうか。
(大臣)今、いろんな質問があるとおり、この件に対して、まさに様々な御意見があるということは私も大変認識しております。それで、まだ一番前段で申し上げたように、判決の内容をよくよく精査しているところでございますので、コメントは差し控えたいと思います。
(記者)時事通信の鴨川です。熱中症対策についてお伺いしたいんですけれども、昨日28日、静岡とか甲府で最も遅い猛暑日を観測しております。9月も終わりに近づいて、もうすぐ10月になって、暑さへの意識がどんどん薄まっていく中で、突然暑い日が訪れた際に増加する熱中症の患者を減らすためにはどうしたらいいでしょうか。
(大臣)昨日は、彦根市において、児童30名が熱中症の疑いで搬送されたということを聞いております。御案内のように、最近の気候変動によって、夏が非常に長いと、また温度差が、非常に幅があるという現象がありますので、特に急に暑くなると、その体が暑さに慣れてないということもあって、熱中症になるということがありますので、まずは暑いときに、無理をせず、小まめな水分・塩分補給、あるいは適切なエアコンの使用と、そういう熱中症予防対策、予防の行動を取っていただきたい、そのことの広報を進めてまいりたいと思います。
それから政府においては、熱中症対策実行計画というものがあります。それに基づいて、関係省庁、自治体、事業者等が連携して、学校現場を含めた熱中症対策を実施してまいります。また、環境省としては、真夏の暑さが過ぎた後も、引き続き、天候等の状況を確認する、熱中症警戒アラートを適切に運用して、国民の皆さんが、危険な暑さで熱中症にならないように、その危険な暑さへの注意というものを呼びかけてまいりたいと思います。
環境省として、国民の皆さんには引き続き皆様の命を守られるために、熱中症の予防行動に努めていただくように改めてお願いしたいと思います。
(記者)南日本新聞の吉松です。すみません、何度も前後して水俣病の関係ですけれども、昨日、来週も原告の皆さんが上京されて、環境省の方々と面会する御予定があるということなんですけれども、昨日皆さんのほうから環境大臣、伊藤大臣とぜひお話をしたいというような声が上がりました。その部分については、何か御検討なり直接会われるご予定がありますか。
(大臣)御発言のように、環境省の事務方が、原告団の皆様とお会いしたという報告は受けております。ただ現時点でお会いする予定は立っておりません。
(記者)長年にわたる皆さんの苦しみで、胸が痛むとおっしゃっていらっしゃいますけれども、直接やはりお話を聞いたり、現地を御覧になるということがやはり重要なのかなと思いますけれども、その部分についての思いというのはありますか。
(大臣)思いはありますが、現時点で具体的な日程は立っておりません。
(記者)西日本新聞の岡部と申します。度々の水俣病の件で恐縮なのですけれども。昨日原告の方たちから、環境省さんにお渡しされた書類の中に、謝罪であったりとか、療養手当の支給等を条件として、熊本、新潟、東京等、現在係争中の原告も含めて早期に和解に応じるように求めるような内容があったかと思います。その点につきまして、現時点で環境省としてどう考えているのか。対応するお考えがないかどうか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
(大臣)今おっしゃられたように、現在なお、いろいろ訴訟を行っている方がいらっしゃいますけども、継続している訴訟については、現在、判決の内容、いろいろ精査しているところでございますので、この時点でコメントは差し控えたいと思います。
会見動画は以下にございます。
https://youtu.be/quYiBZXPvm8?si=d5x-droNPR_eXF91
(以上)