店舗管理システムとは? POSとの決定的な違い
そもそも店舗管理システムとは、単なる売上集計で終わらない、利益を追求するための経営支援ツールである。
POSシステムとの違い
POS(Point of Sale)システムは、主に売上集計に特化したシステムである。
POSシステムでわかること
- 客数、客単価
- メニューマスターのABC分析(どのメニューがどれくらい売れているか)
- 時間帯別帳票(いつ、何が売れているか)
POSシステムの限界
- 売上はわかっても、それが利益につながっているかはわからない。
- 売上だけを追って利益を見ていないと、キャッシュが尽きて倒産するリスクがある。
店舗管理システムでできること
店舗管理システムは、POSの売上情報に加えて、利益に直結する「コスト」を統合的に管理・分析することで、最終的な利益の確認・最大化を支援する。
利益の確認
売上だけでなく、食材原価、人件費といった変動費、さらには家賃や広告費、その他経費(消耗品、カード手数料など)といった固定費まで含めたコスト管理が可能になり、最終利益までしっかり把握できる。
多角的な状況把握
多店舗展開時、カテゴリー別、業態別、エリア別など様々な軸で店舗の状況を多面的に確認できる。
目標・予算管理
予算をシステムに設定し、実績と比較することで、経営の見える化と目標達成に向けた行動を明確化する。
![[参考]店舗管理システムのデータ集計イメージ](https://foods-ch.g.kuroco-img.app/files/user/articles/knowledge/buyer/images/__thumbs/202511_tenpokanrisystem_systemdesign.png/202511_tenpokanrisystem_systemdesign__800x441.png)
店舗管理システムを必要とする企業と、そうでない企業の違い
すべての外食企業に店舗管理システムが必要なわけではない。店舗によってエクセルなど既存のツールで数値集計が可能か、もしくは費用対効果が見合わないケースもある。ただし、利益管理自体はどの企業でも必要だ。デジタルツールを活用することで、1店舗でも正確な利益コントロールが可能になる。利益をしっかり確認・最大化し、経営を次のステップに進めるために、店舗管理システムが不可欠となるケースは多い。
| 不要な外食企業 | 理由 |
|---|---|
| 単独の家族経営店 | 1店舗であれば、売上・経費・勤怠などのデータ量が少なく、エクセルやスプレッドシートで簡易的に賄える可能性がある。 |
| 極端に従業員が少ない | アルバイトなどの人件費管理が煩雑にならず、オーナー自身で全管理を完結できる。 |
| 必要な外食企業 | 理由 |
|---|---|
| 複数店舗を経営 | 店舗ごとの状況を多面的に把握し、課題のある店舗を特定するために必要不可欠である。 |
| 複数業態・ブランドを展開 | 業態やエリアなど、カテゴリー別に店舗の良し悪しを比較分析し、戦略的な経営判断を行うために必要である。 |
| POSが複数種類ある | 店舗ごとにPOSベンダーが異なると、データ連携が不十分になり、結局エクセル管理が残ってしまうため、全POSと連携できるシステムが必要である。 |
| アルバイトが多い(人件費変動が大きい) | 勤怠管理と連携し、人件費(L)を正確かつリアルタイムに把握し、利益への影響を管理する必要がある。 |
| グルメ媒体(広告費)を使っている | 食べログ、ぐるなび、ホットペッパー、Googleなどのグルメ媒体分析機能で、広告費用対効果(ROI)を明確に測定し、売上向上施策の評価が必要である。 |
| 売上は伸びているのに倒産リスクがある | 売上だけでなく、F・L・R・その他経費などのコスト構造全体を管理し、最終利益を確保するためである。 |
店舗管理システムの選定ポイント
店舗管理システムを導入しても、結局エクセルから脱却できないという飲食店は少なくない。システムを「使える」ではなく、「活用して結果を出す」ために、以下のポイントで選定するべきである。
1. データ連携の網羅性と自動化
POSとの連携
売上データを自動で取り込めるか。
仕入れシステムとの連携
受発注システム(インフォマート『BtoBプラットフォーム 受発注』など)と連携し、食材原価(F)を自動で把握できるか。
勤怠システムとの連携
人件費(L)を自動で把握できるか。
システム連携の多様性
単一企業で複数のPOSを使っている場合でも、すべてのPOSと連携し、データの一元化が実現できるか。
一部のデータ連携ができないと、全体を把握するために「連携できない部分だけ」をエクセルで管理する必要が生じ、結果としてエクセルから脱却できなくなってしまう。また、勤怠の締めや経営管理の分析方法など、システムへの移行サポートが不十分だと、エクセル運用が続いてしまう。
2. モバイルでのアクセスと操作性
スマホ対応
パソコンを開かなくても、移動中や店舗を離れた場所からスマホで状況を確認できるか。経営者や幹部が臨店する前に、スマホで数字を見て課題を特定してから現場に向かうという活用が一般的である。
ダッシュボードのカスタマイズ性
一目で状況がわかる画面構成(ダッシュボード)で、売上、予算達成率、原価、人件費などの基本的な指標に加え、客数、客単価、グルメサイト点数など、経営者が追うべきKPIを自由に設定できるか。
3. 分析機能とドリルダウン機能
ランキング形式での可視化
全店舗を売上高、予算達成率、フードコストが高い順など、様々な項目で降順/昇順で表示し、課題の店舗をすぐに特定できるか。
ドリルダウン分析
課題店舗を特定した後、月次→日次→さらに悪い日の詳細状況まで掘り下げて確認できる機能があるか。
比較分析
前年同曜日など、意味のある比較軸で業績を確認できるか。前月比は、結局日にちが違うため比較しても意味がないことが多い。
4. 定着と活用のためのサポート
サポート体制
システムの導入・利用方法だけでなく、エクセルからの脱却や、システムを使った経営分析・改善までをサポートする「カスタマーサクセス」チームがあるか。
権限の細分化
経営者、SV、店長、アルバイトなど、役職ごとに「必要な人に、必要な情報だけ」を見せられるように権限を細かく設定できるか。
帳票データ出力
様々な帳票をスプレッドシートなどと連携して、自由に作成できる仕組みになっているか。
![[参考]店舗管理システムの画面イメージ(FLARO)](https://foods-ch.g.kuroco-img.app/files/user/articles/knowledge/buyer/images/202511_tenpokanrisystem_sample.png)
店舗管理システムの真の目的
単にエクセル作業から脱却することや数字を見える化することが目的ではない。過去の数字を集計して終わりではなく、見えた数字を元に、どのようにコストを下げ、売上を上げて、利益を出し、未来に向けての店舗経営を実践し、お客様のビジョンを実現することこそが、店舗管理システム導入の最終的なゴールである。
店舗管理システムは、店舗経営を過去の集計で終わらせるのではなく、未来に向けた戦略的な行動を促すための羅針盤である。この機会に、貴社の経営体制を見直し、システム導入を検討してみてはいかがだろうか。
監修:株式会社flaro 代表取締役 安部修平











