AIマネー大学株式会社(本社:東京都練馬区、以下「当社」)は、開発経済学者ラント・プリチェット(Lant Pritchett)氏の論文「Where Has All the Education Gone?(教育はどこへ消えたのか)」(『World Bank Economic Review』2001年)をテーマとした論文読書会を開催いたします。なお、本読書会の講師は、弊社のコンサルタント兼学長を務める山中裕が担当いたします。
教育への投資は経済成長を生む――多くの人が疑わないこの前提に、データで疑問を投げかけたのが本論文です。1996年に世界銀行の政策研究ワーキングペーパー(No.1581)として公表され、その後『World Bank Economic Review』誌に掲載されました。最近では、池田信夫氏が言論サイト「アゴラ」に2026年5月に再掲した記事「大学なんか行っても意味はない」で、教育投資と成長率に相関がないことを示す根拠としてこの論文を引いており、大学教育の価値を問う議論のなかで改めて注目を集めています。
本論文は、各国の労働力の就学年数から「教育資本」の伸びを推計し、成長会計の枠組みを用いて、労働者1人あたり産出の伸びとの関係を国際比較データで分析したものです。その結果、労働力の学歴が上がったことによる人的資本の伸びと経済成長率との間には、ほとんど関係が見られませんでした。全要素生産性(TFP)との関係については、むしろマイナスとなる推計も報告されています。
本論文の特徴は、この「消えた教育」の理由として三つの可能性を検討している点にあります。第一に、制度や統治の環境が歪んでいる国では、教育を受けた人材が利権の奪い合いなど成長に結びつかない活動に流れる可能性。第二に、高学歴人材の供給が増える一方で需要が伸びず、教育の収益が急速に下がった可能性。第三に、教育の質が低く、在学年数ほどには能力が身についていない可能性です。結論だけが引用されがちな論文ですが、どの説明が当てはまるかによって、政策や人材投資への含意は大きく異なります。
本読書会では、論文が実際に何を示し、何を示していないのかを、方法と限界まで含めて原文に即して確かめます。第一に、「大学教育」に当てはめてよいか。本論文が扱うのは就学年数全体であり、大学教育に限った分析ではありません。「大学教育は社会的にマイナス」という読みは論文そのものではなく解釈であり、その解釈にどこまで分があるかを検討します。第二に、「量」と「質」を分けて考えます。在学年数ではなく学力テストで測った「教育の質」が成長と強く相関することを示した、その後のエリック・ハヌシェク(Eric A. Hanushek)氏とルートガー・ヴェスマン(Ludger Woessmann)氏の研究と読み比べ、両者がどう両立するのかを考えます。第三に、日本への示唆として、高学歴人材は成長を生む仕事と利権の配分をめぐる仕事のどちらに向かっているのか、大学のあり方を問い直します。経済学、教育政策、人材投資、大学経営、中長期投資に関心のある方にとって、有益な学びと対話の場となることを目指しています。
なお、本論文は『World Bank Economic Review』誌のウェブサイト(英語原文、https://doi.org/10.1093/wber/15.3.367)から入手できるほか、世界銀行のオープン・ナレッジ・リポジトリにも収録されています。事前にお読みいただいたうえでのご参加を推奨いたしますが、当日は山中裕が要点を日本語で解説いたしますので、未読の方もご参加いただけます。
論文URL:https://doi.org/10.1093/wber/15.3.367
■論文情報
著者:ラント・プリチェット(Lant Pritchett)
題名:Where Has All the Education Gone?
掲載誌:World Bank Economic Review, Vol. 15, No. 3(2001年), pp. 367-391(初出:World Bank Policy Research Working Paper No. 1581, 1996年)
論文URL:https://doi.org/10.1093/wber/15.3.367
■著者プロフィール
ラント・プリチェット(Lant Pritchett)氏
開発経済学者。1988年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学の博士号を取得し、世界銀行のエコノミストとして長く勤務しました。2000年からハーバード大学ケネディスクールで教え、2007年から2019年まで同スクールの経済開発実務教授を務めました。2015年から2023年3月までは、途上国の教育制度改善を研究する国際プロジェクトRISE(Research on Improving Systems of Education)の研究ディレクターを務め、2022年からはロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)公共政策大学院の客員教授(Visiting Professor of Practice)を務めています。著書『The Rebirth of Education: Schooling Ain't Learning』(2013年)などで、学校に通っても学びが伴わない「学習の危機」を指摘してきました。
■開催概要
テーマ:『Where Has All the Education Gone?』(著:ラント・プリチェット(Lant Pritchett))論文読書会「教育は成長を生むのか」
シリーズ:教育と経済成長を読む 論文読書会(ハヌシェク&ヴェスマン・シリーズ序章)
講師:山中裕(AIマネー大学株式会社 コンサルタント兼学長)
開催日:2026年11月下旬
開催形式:Zoomオンラインウェビナー開催
参加費:無料(事前登録制)
対象者:経済・教育政策に関心のある方、投資家、経営者、教育・大学関係者、研究者、学生など(経済学の予備知識は問いません)
申込方法:aimoneyuniversity@aimu.info 宛てに、件名へ「『Where Has All the Education Gone?』論文読書会参加希望」と明記してお申し込みください。
主催:AIマネー大学株式会社
■講師プロフィール
山中 裕(やまなか・ゆたか)
AIマネー大学株式会社 コンサルタント兼学長
1976年東京都文京区生まれ、練馬区育ちの日本を代表する投資家。ADHDや難読症に苦しみながらも、独自の学習法を開発し、東京大学経済学部を総代で卒業後、コロンビア大学大学院(金融工学)修士号取得、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)に留学。
保谷硝子(現HOYA株式会社)創業者のひとり、山中茂の孫。世界的にも「テクノロジーのわかるアクティビスト」と評される一方、地道な銘柄研究により、2010年代初頭にNVIDIAに着目したほか、ブロードコムや、TSMC、モンスター・ビバレッジ、ノボノルディスクなどの銘柄を早期に発掘して、投資を実行し、極めて高いリターンをあげることに成功した。
日本国内では、株主提案実務を牽引し、2010年、HOYAに創業家株主として15議案の株主提案を提出。役員報酬の個別開示(45パーセント強の賛成)、社外取締役のみの経営会議設置、株主提案説明文字数の拡大(4,000字)など、ガバナンス改革を求める内容で、ISS・Glass Lewis・日本プロクシー・ガバナンス研究所の3社すべてから、複数の議案で、賛成推奨を受け、2011年にはハーバード大学法科大学院で講演し、その後も、みずほFG・MUFG・りそなHDなどでも40%台の支持を集める株主提案を実施した。
株主補助参加人として参画したハイアス・アンド・カンパニー(現くふう住まいコンサルティング)損害賠償請求事件で、2025年勝訴判決を得るなど、少数株主の権利行使でも実績を重ねる。現在、徳島県美馬市の株式会社河野メリクロンの筆頭株主としてスマート農業に注力。コーカサス地方のジョージア(トビリシ)では農業・病院・学校経営を展開し、代理出産などを含む医療サービスも手がけている。
投資ブラザーズ合同会社共同代表社員、少数株ドットコム株式会社共同創業者兼会長。世界の上場企業1,000社超、非上場企業200社超の株主。座右の銘は故・柴田保光投手の「チャンピオンに立ち向かって勝つことがプロの目標のひとつ」。30年来の日本ハムファイターズファンでもある。
■本読書会の関連資料
大学なんか行っても意味はない(池田信夫、アゴラ 言論プラットフォーム)
『大学はいかにして約千年を生き延びたのか』カトラー・グレイザー 著 論文読書会開催のお知らせ(AIマネー大学)
・論文(World Bank Economic Review):https://doi.org/10.1093/wber/15.3.367
・初出のワーキングペーパー(World Bank Policy Research Working Paper No. 1581):https://ideas.repec.org/p/wbk/wbrwps/1581.html
・ラント・プリチェット氏 公式サイト:https://lantpritchett.org/
・関連論文(ハヌシェク&ヴェスマン『The Role of Cognitive Skills in Economic Development』Journal of Economic Literature):https://doi.org/10.1257/jel.46.3.607
【関連リンク】
男女産み分けドットコム:https://danjo-umiwake.com
CapitalJusticeLab:https://capital-justice-lab.com/
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【本件に関するお問い合わせ先】
AIマネー大学株式会社
担当部署:広報担当窓口 aimoneyuniversity@aimu.info









