2021 年2月 12 日
アサヒグループホールディングス株式会社
環境変化を踏まえた『中期経営方針』の更新
アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 小路明善)は、グループ理念“Asahi Group Philosophy”(以下、AGP)に基づいて策定している『中期経営方針』について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や豪州 Carlton & United Breweries(以下、CUB)事業の取得完了などを踏まえ、重点課題の一部を更新するとともに、「主要指標のガイドライン」は取り下げ、2022 年に新たに設定することとしました。
こうした環境変化へ柔軟に対応し早期の業績回復を図るとともに、引き続き AGP に基づく“グローカルな価値創造経営”を推進していきます。
◆『中期経営方針』の進捗と更新理由
2018 年に更新した『中期経営方針』では、3つの重点課題に加えて、3年程度先を想定した「主要指標のガイドライン」や「財務、キャッシュ・フローのガイドライン」を設定し、グローカルな価値創造経営を推進してきました。EPS や ROE などの主要指標やフリー・キャッシュ・フローなどは、2019 年まではガイドラインどおりの進捗となっていましたが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020 年の業績が悪化したことにより、計画を下回る結果となりました。一方、2020 年6月に豪州最大手の CUB 事業の取得が完了し、日欧豪3極を中心としたグローバルプラットフォームの構築により、国際事業の成長基盤が飛躍的に拡大しています。
今後の外部環境は、さらにグローバルで経営環境が大きく変化し、消費構造の多価値化や働き方の多様化など、様々なチャンスとリスクが拡大することが想定されます。また、価値創造プロセスを支える ESG に対しても、ますますその取組みを深化させていくことが求められています。
こうした進捗と外部環境の変化を踏まえ、3つの重点課題における取組み項目を更新するとともに、既存の「主要指標のガイドライン」は一旦取り下げ、新型コロナウイルスの影響が落ち着くことが見込まれる 2022 年に新たに設定することとしました。一方「財務・キャッシュ・フローのガイドライン」については、CUB 事業取得に伴うキャッシュ創出力の拡大などを踏まえ、新たに更新しました。
今後も、経営環境の変化に応じて『中期経営方針』の柔軟な見直しを図るとともに、更新した重点課題をエンゲージメント・アジェンダ(建設的な対話の議題)としてステークホルダーとの対話に努め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
『中期経営方針』の更新概要
AGP に基づく“グローカルな価値創造経営”の推進
①高付加価値化や収益構造改革による『稼ぐ力の強化』
・全事業での高付加価値ブランドの育成とグローバル5ブランド※1の拡大によるプレミアム 戦略の推進
・環境変化を見据えた収益構造改革の加速
- 2021-2023 年累計の効率化効果は 500 億円以上を目指し、業績回復を促進するとともに、「経営資源の高度化」・「ESG への取組み深化」に再投資する
※1:Asahi Super Dry、Peroni Nastro Azzurro、Kozel、Pilsner Urquell、Grolsch
②新たな成長源泉の拡大に向けた『経営資源の高度化』
・イノベーション、新価値創造に向けた無形資産(研究開発・人材等)への投資強化
・DX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速による新たなオペレーティングモデルの構築
③持続的な価値創造プロセスを支える『ESG への取組み深化』
・「アサヒグループ環境ビジョン 2050」、「持続可能なコミュニティ」への取組みなど、
サステナビリティを経営戦略に統合
・リスクマネジメントの高度化(ERM)、日欧豪3極を核としたグローバルガバナンスの強化
<主要指標のガイドライン>
・新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ既存のガイドラインは取り下げ、2022 年に新たなガイドラインを設定予定
・2022 年には 2019 年の利益水準※2への回復を目指す
※2:2019 年実績は、CUB 事業の業績(1-12 月推定値)を含むベース
<財務、キャッシュ・フローのガイドライン>
2021 年以降のガイドライン
キャッシュ・フロー
・フリー・キャッシュ・フロー(FCF):年平均 2,000 億円以上 (FCF=営業 CF-投資 CF) ※M&A 等の事業再構築を除く
成長投資・債務削減
・FCF は債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める
・Net Debt/EBITDA は 2024 年に3倍程度を目指す
(劣後債の 50%は Net Debt から除いて算出)
株主還元
・配当性向 35%程度を目途とした安定的な増配
(将来的な配当性向は 40%を目指す)
2021 年以降の年平均のフリー・キャッシュ・フローについては、従来の 1,700 億円から 2,000 億円以上に上方修正し、将来の成長投資への余力を高めるため債務削減へ優先的に充当していきます。また株主還元では、配当性向 35%程度を目途として安定的な増配を図り、将来的には 40%を目指していく方針です。
以上