
左から、石田淳(WILLPM代表)・平國氏(アストモスエネルギー)・甲楽城氏(ジンマーバイオメット)・松村学朗(WILLPM 統括責任者)
「成果を上げる人はいる。けれど、その人がなぜ成果を出せるのかは、うまく説明できない」
多くの企業で、人材育成や営業力強化を難しくしているのが、この“できる人への依存”です。
優秀な社員が持つ経験、判断、ちょっとした工夫。
それらが本人の中にあるままでは、周囲に伝えることも、次の世代に引き継ぐことも容易ではありません。
では、できる人が無意識に行っていることを明らかにし、誰もが実践できる形に変えることができたらどうでしょうか。
株式会社ウィルPMインターナショナルは2026年9月10日、行動科学マネジメント(R)をテーマとする経営者・管理者向けセミナーに登壇しました。
この日の中心となったのは、まさにこの問いです。
「本人にとって当たり前の『成果を生む行動』を、どうすれば組織の共通資産に変えられるのか。」
当社代表の石田 淳、行動科学マネジメント(R)シニアコンサルタントの松村 学朗に加え、実際にこのテーマに取り組むジンマーバイオメット、アストモスエネルギーの2社をゲストに迎え、成果につながる行動の発見から標準化、そして定着までを、実例とともに紐解きました。

■標準化したいのは「仕事のすべて」ではない
標準化という言葉から、詳細なマニュアルや細かな手順書を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、すべての仕事を細かく決めることが目的ではありません。
重要なのは、「成果の差が生まれている場面を見つけること」です。
たとえば営業であれば、初回商談、提案、顧客との何気ない会話など、成果を上げる人とそうでない人の違いが現れる場面があります。
そこでハイパフォーマーは、何を聞いているのか。
どこを見ているのか。
どんな順番で話しているのか。
相手のどの反応を見て、次の行動を変えているのか。
行動科学マネジメント(R)では、こうした具体的な「動作」「着眼点」「判断の分かれ目」まで掘り下げていきます。
「顧客目線で考える」「気を利かせる」「積極的に動く」といった言葉だけでは、人によって解釈が変わります。
一方で、「成果を出している人は、実際には何をしているのか。」
ここまで具体化できれば、それは初めて、他の人が学び、実践できるものになります。

■ハイパフォーマーの“当たり前”を、若手が再現できる形へ
その実践例のひとつとして登壇したのが、ジンマーバイオメット 営業部長の甲楽城一夫氏です。
専門性が高く、経験による差が生まれやすい営業現場。
同社では、ハイパフォーマーが普段何気なく行っていることに着目し、その考え方や行動を一つひとつ分析。「行動の教科書」として整理する取り組みを進めてきました。
ポイントは、優秀な人に「あなたのノウハウを書いてください」とお願いすることではありません。
熟練者ほど、自分が自然にできていることを説明するのは難しいものです。
そこでインタビューだけでなく、実際の仕事を観察しながら、本人にとっては当たり前になっている行動まで捉えていく。
そこから、抽象的なマインドや仕事観を具体的な行動へ落とし込み、「どのように行うのか」「なぜその行動が必要なのか」まで整理していきます。
こうして生まれた共通言語は、単なるマニュアルにとどまりません。
新人・若手にとっては「何を身につければよいのか」が分かり、教える側にとっても「何を見て、どう育成すればよいのか」が明確になります。
属人的だった育成を、組織として再現できる育成へ。
ジンマーバイオメットの事例から見えてきたのは、標準化が単なる効率化ではなく、「人材基盤そのものを強くする取り組みになり得る」ということでした。

■トップ営業の“当たり前”を、組織の共通資産へ
もう一つの事例を紹介したのが、アストモスエネルギーでアカデミー所長を務める平國龍太氏です。
テーマとなったのは、営業現場における成功事例に潜む成果につながる小さな行動の横展開。
営業組織では、同じ商品やサービスを扱っていても、担当者によって成果に差が生じます。
そこで「もっと頑張ろう」「トップ営業を見習おう」と伝えるだけでは、その差はなかなか埋まりません。
必要なのは、成果を上げている人の中にある“違い”を見つけることです。
顧客とのどの場面で、どのような行動を選んでいるのか。
何に着目し、どのタイミングで次の一手を打っているのか。
そこに成果を分ける行動が見つかれば、トップ営業だけが持っていたノウハウを、組織全体で活用できる可能性が生まれます。
今回紹介された2社は、業界も事業も異なります。
一方は、人材育成や教育品質の平準化。
もう一方は、営業行動の改善と成功行動の横展開。
しかし、その根底にある考え方は同じです。
「成果を生む行動を見つけ、誰もが実践できる形にする。」
それによって、個人の能力だったものを、組織の能力へと変えていくことです。

■「誰に聞くか」ではなく、「どこに差があるか」を見る
2社の事例を受け、ウィルPM統括責任者の松村 学朗からは、成果につながる行動を発見し、「行動の教科書」へ落とし込んでいく考え方を解説しました。
まず見るのは、優秀な人の仕事全体ではありません。
成果の差が生じている場面を絞り込み、その場面におけるハイパフォーマーとその他の人との違いを確かめます。
そして、インタビューや実際の行動観察を通じて、
「何をしているか」
「何を見ているか」
「どのような条件や環境下で対応を変えるか」
を掘り下げていく。
その中から成果につながるピンポイントな行動を特定し、誰でも実践・確認できる形へ整えていきます。
つまり、「できる人の話を聞いてマニュアルにする」のではありません。
「成果の差を生んでいる行動そのものを見つけにいく。」
ここに、行動科学を用いた標準化の大きな特徴があります。
■標準化は「つくって終わり」ではない
成果につながる行動が明らかになっても、それだけで組織が変わるわけではありません。
最後に石田 淳が取り上げたのは、その行動をどう定着させるかというテーマでした。
何をすればよいか分かっていても、人は必ずしもそれを続けられるとは限りません。
だからこそ、実践した行動に対してフィードバックが返ること、上司や周囲から承認されること、自分の成長が実感できることなど、望ましい行動を繰り返しやすい環境まで設計する必要があります。
実際の導入現場でも、「行動の教科書」をつくるだけではなく、フィードバックやマネジメントの仕組みを組み合わせながら、行動が継続する環境づくりへと取り組みが広がっています。
■個人の力に頼る会社から、成果を再現できる会社へ
優秀な社員がいることは、企業にとって大きな強みです。
しかし、その人の異動や退職とともにノウハウまで失われてしまうのであれば、それはまだ「組織の力」にはなっていません。
営業、接客、マネジメント、製造、安全、人材育成。
業種や職種が違っても、
「成果を出す人と、そうでない人では何が違うのか」
という問いを立てることはできます。
その差を具体的な行動として捉え、教えられる形にし、誰もが実践できる環境をつくる。
行動科学マネジメント(R)が目指しているのは、単なる業務のマニュアル化ではなく、「成果を生み出す行動を、組織の中で再現できる仕組みに変えること」です。
株式会社ウィルPMインターナショナルでは、ハイパフォーマー分析や行動観察を通じた「行動の教科書」づくりをはじめ、人材育成、営業力強化、マネジメント、組織開発など、企業ごとの課題に応じた行動の標準化・定着を支援しています。
「できる人がいる会社」から、「誰でもできる人に育成する会社」へ。
今後も、企業の中に眠る優れた行動を発見し、組織の持続的な成果につながる仕組みづくりを支援してまいります。
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■開催概要
開催日:2026年9月10日(木)
会場:ホテルメトロポリタン池袋
テーマ:行動科学で実現!8割の普通の社員を「できる社員」に変える仕組み導入法
主催:日本経営合理化協会
■登壇者
石田 淳
株式会社ウィルPMインターナショナル 代表
行動科学マネジメント(R)研究所 所長
松村 学朗
株式会社ウィルPMインターナショナル 統括責任者
行動科学マネジメント(R) シニアコンサルタント
甲楽城 一夫 氏
ジンマーバイオメット 営業部長
平國 龍太 氏
アストモスエネルギー アカデミー東北所長









