「ミズニゴール」は、水田を自動走行しながら水を濁らせて雑草の光合成を遮り、同時にブラシで雑草を取り除くことで、除草剤を使わずに除草を行うロボットです。本試験では、雑草の発生抑制効果や走行による稲の生育・収量への影響等について調査し、より効率的で効果的な栽培方法について科学的に検証することを目的に実施します。
~農家の減少・高齢化が進むなか、除草の負担が有機農業の妨げに~
農林水産省によると、日本の有機農業は全体の耕地面積の約0.7%であり、そのなかでも米はわずか0.12%にとどまっています。有機農業への転換の大きな課題となっているのが雑草であり、放置すると収量が大きく落ち、時間的・身体的な負担も大きく、ほとんどの農家が除草剤で発生を抑えているのが現状です。さらに、農業従事者の平均年齢は67.6歳かつ2025年に102万人と5年で約25%減少しており、人手を前提とした除草が限界を迎えている状況です。
(出典:農林水産省「有機農業をめぐる事情」、同「みどりの食料システム戦略」、2025年農林業センサス)
一方で、農研機構は、日本の農業と食品産業の発展のため、食料の自給力・生産性の向上や環境保全の両立などをビジョンに掲げ、基礎から応用まで幅広い分野で研究開発を行う最大規模の機関です。有機農業分野への研究にも注力しており、除草をいかに省力化するかは農研機構も長年向き合ってきたテーマです。そこで、既に全国の農家で導入が広がっている水田除草ロボット「ミズニゴール」の除草効果について、西日本農業研究センター内の精密ほ場で検証することになりました。
◆試験の概要

◆主な調査項目
1. 除草効果の調査 ミズニゴールの稼働による雑草の発生抑制効果を測定します。雑草の発生本数、草種構成の変化などについて、走行区間と無走行区間とを比較分析します。
2. 稲の生育状況の調査 ロボットの走行が水稲に与える影響を確認します。草丈・葉色などの生育指標を測定し、収量および品質への影響を分析します。
3. 稼働条件の検証 走行回数・走行時期・ブラシ角度などの条件と、除草効果との関係を分析します。
4. 水田への影響評価 ミズニゴールの稼働によって期待できる土壌への酸素供給によるメタン抑制効果や有機物の分解促進効果等を検証します。
◆水田除草ロボット「ミズニゴール」について


「ミズニゴール」は、除草剤に頼らない米づくりを実現するために、農家自身の視点から開発された水田除草ロボットです。
・2つの除草アプローチ 水田を走行しながら水を濁らせて雑草の光合成を遮る「抑草」と、ブラシで田面を引っ掻いて雑草を浮かせる「物理除草」を同時に行います。ブラシの角度は多段階に調整でき、稲の生育ステージに合わせた運用が可能です。
・自動走行 準天頂衛星「みちびき」に対応したGNSSを搭載。あらかじめ計測したほ場の座標にもとづき自動走行します。最大15角形までの変形ほ場に対応します。
・能力 10時間の稼働で最大3haの水田をカバー。2026年モデルでは4条幅(1200mm)の大型ブラシを搭載し、従来比2倍の作業効率を実現しています。
◆コメント
株式会社ハタケホットケ 代表取締役 日吉有為
「これまで全国各地の農家さんの水田で改良を重ねてきました。有機稲作をさらに広げていくために、国の研究機関である農研機構と共同で検証を行えることは、大きな一歩です。得られた知見を今後のミズニゴール機体の開発・改良に還元し、より多くの農家さんが有機農業に挑戦できる環境をつくっていきます。」
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)
西日本農業研究センター 中山間水田利用研究領域 防除グループ 主任研究員 浅見秀則
「西日本農業研究センターでは中山間地域の水田における生産性向上を目標にして、水稲有機栽培の省力的な除草技術の確立を目指しています。不整形で小さなほ場が多い中山間地域では、大型の除草機が使用できないことも多く、除草作業能率の低さが課題となっていることから、ミズニゴールのような除草ロボットには期待しています。導入効果の検証に留まらず、機体のさらなる改良に貢献できるように試験研究に取り組みます。」
◆今後の展開
本共同研究で得られた知見は、ミズニゴールの機体開発や運用領域に反映し、生産者が現場でさらなる除草効果を得られるよう整備していきます。ハタケホットケは今後も、農作業の自動化を通じて有機栽培・自然栽培をより身近なものにし、持続可能な農業の実現を目指します。
◆謝辞
「本研究は、科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT) 支援を受けて実施されているものです。」
◆会社概要

ハタケホットケは、2022年に長野県内の10カ所で、自治体や自然農法国際研究開発センターと実証実験を開始。翌年には全国30カ所に導入が拡大し、4年ぶりに開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(旧:東京モーターショー)」では、“モビリティ産業を拡張・加速させる場“として実施された「Startup Future Factory」の中で地域創生の枠で選出されました。翌年の株式投資型クラウドファンディング活用した資金調達では2時間で目標金額を達成し最終的に500%以上を調達。
また、農林水産省が推進するみどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画の認定も取得。2025年には実証実験の導入は100箇所に増加したほか、大阪・関西万博、CEATECのイベントでの登壇や内閣官房主催の「イチBizアワード」にて最優秀賞を受賞しました。
・会社名:株式会社ハタケホットケ
・設立:2021年10月25日 代表取締役:日吉 有為
・所在地:長野県塩尻市大門八番町1番28号スナバ
・事業内容:スマートアグリ製品の開発・製造・販売
・公式サイト:https://hhtk.jp/
【受賞・選出】
2021 長野県ソーシャルビジネス創業支援金(採択)
2022 特許庁 I-OPEN PROJECT22(採択)
信州ベンチャーサミット2022(オーディエンス賞)
2023 Japan Mobility Show 2023 Startup Street(選出・出展)
日刊工業新聞社 KOKOKARA Fair 2023(登壇)
2024 東京都 Tokyo Innovation Base 第2回 TIB PITCH(採択・展示)
Google Next Tokyo '24(登壇)
2025 内閣官房 イチBIZアワード'2024(最優秀賞)
Developers Summit 2025(登壇・ベストスピーカー賞)
長野県 イノベーション創出事業(採択)
大阪・関西万博 EXPO 特許庁 I-OPENプロジェクト(登壇)
CEATEC 2025 内閣府みらいラボブース(展示、コンファレンス登壇)
NIHONBASHI SPACE WEEK 2025(登壇)
農水省「FOOD TECH Meetup 2025 ~信州から挑む食の未来~」 (登壇)









