■ 発表のポイント
- ベトナム・ハノイの医療機関を受診した成人278名を対象に、ベジチェック(R)により皮膚カロテノイドレベルを測定し、メタボ指標との関連を解析しました。
- その結果、皮膚カロテノイドレベルが高いほど、メタボリスク数が有意に少ないことを確認しました。また、皮膚カロテノイドレベルは、体重、BMI、血糖値、血中中性脂肪値と有意な負の相関を示しました。
- 本研究は、ベトナム人を対象に皮膚カロテノイドレベルとメタボとの関連を示した初めての研究です。
■ 研究の背景
ベトナムでは近年、生活習慣病を原因とする死亡が増加しており、がんや心血管疾患などの予防が重要な課題となっています。これらの主なリスク要因であるメタボは、特に中高年で該当者の割合が高いことが問題となっています1)。
野菜や果物に多く含まれるカロテノイドは、強い抗酸化作用を有し、メタボの抑制に関与する可能性が示唆されています。これまで日本では、血中カロテノイド濃度とメタボリスクとの関連が報告されています。また当社は、ベジチェックにより測定した皮膚カロテノイドレベルが高いほど、メタボ関連指標が良好であることを明らかにしています2)。一方で、ベトナム人を対象に生体内のカロテノイドレベルとメタボリスクとの関連を検証した研究は、これまで報告されていませんでした。
そこで本研究では、ベトナム人を対象に、ベジチェック(R)により測定した皮膚カロテノイドレベルとメタボ指標との関連を解析しました。
1) Ho, NT. et al. Nutr Metab Cardiovasc Dis. (2024) 34: 326-33.
2) https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2020/img/20200707.pdf
■ 研究内容と結果
1. 実施方法
本研究は、ベトナム・ハノイ市の医療機関であるDr Binh Tele_Clinicに来院した成人278名(男性105名、女性173名)を対象に実施しました。対象者については、ベジチェック(R)により皮膚カロテノイドレベルを測定するとともに、身長、体重、体脂肪率、血圧、および血液検査項目(血糖、中性脂肪、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール)を測定しました。加えて、対象者の属性や服薬状況、生活習慣に関するアンケートも収集しました。
これらの測定値および服薬状況をもとに、各対象者のメタボリスク数を算出し、リスク数(0~5の6分類)ごとの皮膚カロテノイドレベルの分布を評価しました。また、メタボリスク数と皮膚カロテノイドレベルなどの因子との関連については、順序ロジスティック回帰分析(* 4)により解析しました。さらに、皮膚カロテノイドレベルと各メタボ指標との関連は、年齢、性別、学歴、喫煙状況、飲酒状況、月収を調整因子とした重回帰分析(* 5)により解析しました。
2. 主な結果
1. 皮膚カロテノイドレベルが高いほどメタボリスク数が少ない
解析対象者(n = 278)のメタボリスク数ごとの皮膚カロテノイドレベルの分布(図1)より、メタボリスク数が少ない方ほど皮膚カロテノイドレベルが高いように見られました。そこで、メタボリスク数と皮膚カロテノイドレベルとの関連を解析した結果、オッズ比(* 4)は0.767(95%信頼区間は0.645 - 0.910、p = 0.003)となり、皮膚カロテノイドレベルが高くなるほどメタボリスク数が少ないことが示されました。
図1. 全解析対象者のメタボリスク数毎の皮膚カロテノイドレベルの分布(論文の図を改変)

2. 皮膚カロテノイドレベルが高いほどメタボ指標の測定値が良い値になる
皮膚カロテノイドレベルと各メタボ指標との関連を解析した結果、皮膚カロテノイドレベルが高いほど体重、BMI、血糖値、血中中性脂肪値の値が低くなるという有意な相関が確認されました(それぞれ、p = 0.034、p = 0.008、p < 0.001、p < 0.001)。また、皮膚カロテノイドレベルが高いほど、HDL-コレステロールの値が高くなる傾向が見られました(p = 0.078)。
■ 掲載論文情報
- 論文名: Higher skin carotenoid levels are associated with lower risks of metabolic syndrome: a cross-sectional study in Vietnamese participants
- 掲載誌: Frontiers in Nutrition, 12, 1715158 (2026) https://doi.org/10.3389/fnut.2025.1715158
- 著者: Kazutaka Yoshida, Yuichiro Nakazawa, Thuy Lan Nguyen, Duc Huy Nguyen, Chu Xuan Anh, Shingo Takahashi, Shigenori Suzuki, Vu Quoc Binh
■ 注の解説
*1ベジチェック(R)
自身の皮膚に含まれるカロテノイド量、および推定野菜摂取量を約30秒で測定する機器です。センサーに手のひらを押し当てるだけで結果が分かります。
※「ベジチェック(R)」は医療機器ではありません。表示値はあくまで目安となります。

*2 カロテノイド
野菜(特に緑黄色野菜)や果物に主に含まれる色素成分で、トマト・スイカに多く含まれるリコピン、にんじんに多く含まれるβ-カロテン、葉物野菜に多く含まれるルテインなどがよく知られています。摂取することで体内に吸収され、皮膚にも蓄積することがわかっています。体内で発生する有害な活性酸素を消去する働き(抗酸化作用)があり、生活習慣病のリスクを下げる可能性などが報告されています。
*3 メタボリスク数
肥満/過体重、高血圧、高血糖、高血中中性脂肪、低HDL-コレステロールの5つのメタボの指標について、対象者がそれぞれの診断基準に該当する場合に「リスクあり」と判定しました。メタボの診断基準に該当するか否かについては、国際基準に基づき、対象者の服薬状況およびメタボ指標の測定値から判定しました。各対象者について、「リスクあり」と判定された項目の数を各対象者の「メタボリスク数」と定義しました(0~5の6段階)。
*4 順序ロジスティック回帰分析とオッズ比
アンケートの結果など、段階(順番)のある結果に対して、ある要因が影響しているかを調べる方法です。本研究においては、メタボのリスクの数が0~5の6段階に分かれており、それに対して皮膚カロテノイドレベルが影響しているかどうかを調べるため、順序ロジスティック回帰分析を用いました。皮膚カロテノイドレベルがメタボリスク数に与える影響は「オッズ比」で表しました。オッズ比が1を超えると、皮膚カロテノイドレベルが高いほどリスク数が増える方向に影響することを示し、オッズ比が1を下回ると、皮膚カロテノイドレベルが高いほどリスク数が減る方向に影響することを表しています。
*5 重回帰分析
複数の要因が結果に影響を与える可能性がある場合に用いられる解析方法です。本研究においては、皮膚カロテノイドレベル以外にも複数の要因(年齢、性別、生活習慣等)がメタボ指標の測定値に影響を与える可能性がありました。本研究の重回帰分析では、それらの要因で調整することにより影響を取り除いたうえで、皮膚カロテノイドレベルとメタボ指標の測定値との関連を解析しています。









