農林水産省 大臣等記者会見 2021年10月05日 - ● (大臣から)就任に当たっての挨拶 ● 就任に当たっての抱負等 ● 米の需給に関する対策等 ● 規…

掲載日: 2021年10月05日 /提供:農林水産省

金子農林水産大臣就任記者会見概要

日時令和3年10月5日(火曜日)11時49分~12時42分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)就任に当たっての挨拶
  • 就任に当たっての抱負等について
  • 米の需給に関する対策等について
  • 規制改革推進会議について
  • スマート農業の推進について
  • 主要魚種の不漁に対する対応について
  • 福島第一原発のALPS処理水海洋放出への対応について
  • 日本産農林水産物・食品の輸出規制撤廃への取組について
  • 牛乳・乳製品の需給について
  • 北海道における赤潮への対応等について
  • 農林水産分野における脱炭素化等の推進について
  • 諫早湾干拓事業について
  • 生乳取引の現状の課題等について
  • 中国向け牛肉等の輸出解禁について
  • 農協改革等について
  • 気候変動に対応した漁業調整について
  • 水産資源管理について
  • 今後の酪農政策の方向性について

冒頭発言

大臣

このたび、農林水産大臣を拝命しました金子原二郎でございます。これから、また皆さん方には大変お世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。また、10分遅れて参りましたこと、お詫びを申し上げます。
我が国の農林水産業は、国民に食料を安定的に供給する役割を果たしながら、食品産業などと共に地域の経済を支えております。さらに、高品質な農林水産物、世界に評価される和食、美しい農山漁村の風景など、我が国の成長の糧となる大きな潜在力を有しているところであります。一方、我が国の農林水産業・食品産業の現場では、人口減少に伴う国内市場の縮小や農林漁業者の減少・高齢化など厳しい状況に直面しております。昨年来の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、特に外食産業に、今なお売上減少などの影響を与えているほか、農林漁業者の中にも、外食向けの食材や贈答品、観光などの需要減少による影響を受けておられる方が多くいらっしゃいます。このため、政府一体となりまして、新型コロナウイルス感染症による影響を受けている外食産業を支援するほか、農林漁業者や食品産業に従事される皆様の生産の継続や販売促進に向けた対策をしっかりと実施してまいります。そして、農林漁業者の所得の向上と農山漁村の活性化を実現するための改革を、地域に寄り添い、現場を重視しながら進めてまいります。これにより、規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農林水産業の潜在力を最大限に引き出しまして、食料安全保障を強化していく考えであります。農林水産物・食品輸出につきましては、今後、更なる拡大が見込める海外需要を取り込んでいくことが、農林水産業の更なる発展の鍵となることから、2030年輸出額5兆円の目標達成に必要な対策を着実に進めてまいります。ロボット、AI、IoTを活用したスマート農林水産業の推進は、農林水産業を若い人に魅力ある産業にするだけではなく、中山間地域も含めて生産者の高齢化といった課題の克服につながります。スマート農林水産業の技術開発・実用化や人材育成にもしっかりと取り組んでまいります。さらに、国内外で重要性が高まっている気候変動等への対応に向けては、「みどりの食料システム戦略」に基づいて、カーボンニュートラルに向けた環境対策など食料・農林水産業の持続的発展と地球環境の両立を図る対策をしっかりと進めていく考えであります。これから渡り鳥が本格的に飛来する季節になりますことから、鳥インフルエンザの発生リスクが高まってまいります。高い緊張感を持って警戒を強めてまいります。農林水産省の使命は、農林水産業を強くし、美しく豊かな農山漁村を次の世代に継承していくことであります。私が先頭に立ちまして、若者が自らの将来を託すことのできる農林水産業の実現に全力で取り組んでまいりたいと思います。以上でございます。

質疑応答

  • 就任に当たっての抱負等について(1)

記者

大臣、政治家として、大変長いキャリアを積み重ねてこられましたが、その中で、今回初めて閣僚の一員として入閣されたわけですけども、感想と抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

大臣

私は正直申しまして、今回入閣するとは思っておりませんでした。今まで県会議員、衆議院議員、知事、参議院議員をやりまして、いろいろなそれぞれの場でですね、地域のため、また国のために頑張ってまいりました。そういう中で、図らずも今回、農林水産大臣の拝命を受けましたので、これからは今まで経験し、自分の実績というのもなんですが、いろいろとやってきたことを基にしてですね、本当に、まずは、国民のために、そして生産者の皆さん方の立場に立った、そういう農林水産政策というものに、これから取り組んでいきたいと思っております。ただ、農林水産も大変今、厳しい環境に置かれております。農業はですね、随分いろいろな対策のやり方によって、畜産も伸びて、地域によってはいろいろありますが、今の米の状況は非常に厳しいです。このコロナの関係で、米は大変厳しいですが、畜産はおかげで、輸出も伸びてきておりますし、他の農産物につきましてもですね、順調に少しずつ良くなっているのかなと思います。私の地元の長崎県を見てますとね、ずっと毎年右肩上がりで農業は伸びておりますから、やっぱり力を入れてね、政策に取り組んでいけば、必ず生産額が上がる。地域の、また、働く場の確保ができる、そういった形がちゃんとできておりますので、そういったところも考えながらですね、これからの農林行政というものに取り組んでいきたいと思っております。
漁業はなかなか厳しいですね。農業に比べて漁業に従事している方の立場を考えると、こんなこと言ってはどうかと思いますが、非常に漁業は厳しい。自然資源の枯渇と、非常に自然に左右される。特にですね、やっぱり温暖化の影響をもろに受けている。大体、西、東シナ海とか日本海で獲れていた魚がどんどん北で獲れるようになってですね、逆に言うと、この西の従来獲れていたところのですね、魚が獲れなくなってきた。ブリが北海道で獲れるなんて、私たちは考えてもいなかった。最初ブリが獲れた時は処理に困ったと。今は逆に、ブリもちゃんとした処理をしながら対応しているということで、本当に環境の変化によってですね、この水産業を取り巻く状況というのは、非常に厳しくなる。そういった中で、国としてはいろいろな対策を打ってまいりました。今まで、特に私もですね、参議院に出てきましてからですね、漁船のリースっていうのを盛んに主張しまして、当時は野党でした。何でこれを主張したかっていうのは、私は知事時代に地元で既にもうリース事業をやっておった。だから、是非これを国でやりたいということでね、お話もしたんですが、なかなか実現ができませんでしたが、ウルグアイラウンドの問題を上手に利用しながらですね、最終的には、今のリース事業ができております。こういった、やっぱり地方の現場のことも、自分でやってきた中でですね、国の政策の中で生かしたいということで、参議院議員になってからも、いろいろとやってまいりました。いずれにしましてもですね、今、資源管理型漁業をやっております。限られた資源を有効に活用して、昔みたいな大漁貧乏じゃなくて、ある程度の価格の安定をしながらですね、どういった資源管理をやることが漁業者の皆さん方のためになるか、ただ、漁業者の皆さん方も、特に沿岸の皆さん方は、管理と言われてもなかなか難しいところがありますから。そういった、特にですね、外国と比較して、外国で資源管理型が上手くいっているから日本も、というような考え方もあるようですが、もう、非常に多品種にわたっている沿岸漁業においてですね、なかなかこの、特にノルウェーとか北欧みたいな資源管理型を徹底してやるということについては、私はこれからやる目標を立てて、農林水産省やっておりますが、本当にこれは現場の皆さん方の意見も十分に聞きながらですね、やっていかなきゃいかんというふうに思っております。お答えになったかどうか分かりませんが、以上です。

  • 米の需給に関する対策等について(1)

記者

もう1点お尋ねします。昨日、首相官邸のぶら下がりでもですね、お話されてますが、今日正式な記者会見初めてですので、改めてお尋ねします。昨日岸田総理からは、どのような指示があったのかということと、それにどのように今のところ対処していく考えなのかということを聞かせください。米の価格の対処の話です。

大臣

総理から特にですね、話があった中で、書類をいただいたんですが、書類以外に、お話があったのはやっぱり、米が非常に値段が安い。非常に生産者の皆さん方は、大変な厳しい状況に置かれているんで、この米対策については、早急にですね、取り組んでもらいたいと。できるだけ早く対応を農林水産省としても考えてもらいたいというのが、非常に強調されました。その他については、今後の輸出産業についてとか、いろいろな話が文章に書かれていただいております。あと、みんな言ったら時間長くなるからいいですか。特に言われたことだけで。

記者

米の対策については、どのような方向で対処されていくお考えでしょうか。

大臣

米の対策につきましてはですね、今、内部でいろいろ検討しております。党の意見も聞きながらですね、そして、また生産者の意見もお聞きしながら、できるだけ速やかに対応策を考えていきたいというふうに思っております。

  • 規制改革推進会議について

記者

大臣御就任おめでとうございます。早速でございますが、質問の方をさせていただきます。岸田総理が総裁選挙で、規制改革推進会議の組織について、現場の声が反映される組織に体制を組み直すというようにご発言をされました。更に昨夜の総理の就任会見でも、新しい資本主義実現会議を立ち上げて、成長戦略と分配戦略を車の両輪にして具体的な政策を進めるというようなお話もございましたけれども、農業分野については、これまで規制改革推進会議から、いろんな意見など出されてきたわけでございますけれども、それをどのように受け止められているかと、また、今後、新しい資本主義実現会議との関係性なんかも含めまして、どのような取り組みをされていくか、その方針をお聞かせいただければと思います。

大臣

農林水産省といたしましては、政府内で今後どのような体制で規制改革が行われるといたしましても、農林水産分野の改革につきましては、地域に寄り添いまして、現場を重視しながら進めていくとともに、実際に現場で効果が上がり、それが現場で実感されるように取り組んでまいりたいと思います。

  • スマート農業の推進について

記者

大臣、御就任おめでとうございます。先ほども、少しスマート農業の推進について言及されていたようでございますけれども、改めてスマート農業についてのお考えを、ちょっとお話しいただければと思います。

大臣

大変、私が一番弱いところです。担い手の減少・高齢化が進む中で、ロボットやAI等の先端技術を活用するスマート農林水産業の推進が重要であると私も考えております。このため、技術導入コスト削減のためのシェアリング等を行うサービス事業体の育成、スマート技術に適した農地の基盤整備や、情報通信環境の整備、林業機械の自動化、それから漁獲情報の収集・利用体制の構築などを、今後推進していきたいというふうに考えております。

  • 米の需給に関する対策等について(2)

記者

先ほどもありましたお米の話なんですけれども、岸田首相はですね、総裁選でお米の市場隔離の検討を掲げておりましたけれども、この市場隔離については何か具体的な指示がありましたでしょうか。また、大臣は米の需給安定に向けて、どのような対応が必要だとお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

大臣

米はですね、人口減少によって主食用米の需要が毎年減少しているのは、もう御存知のとおりですね。農業者や産地が自らの経営判断によりまして、需要に応じた生産・販売を行う米政策の改革を推進しているところでありますが、令和2年度は主食用米の作付面積の削減が進まなかったことから、民間在庫が非常に過剰になっております。このため、令和3年産では、3,400億に及ぶ予算措置をしまして、需給の安定に必要な過去最大規模の主食用米からの作付転換をほぼ達成する見込みであります。一方、新型コロナによる需要減少の影響も踏まえ、過剰になっている民間在庫につきましては、長期計画的な販売の取組を支援する「米穀周年供給需要拡大支援事業」の支援期間の拡充措置、更に本年産の作柄を踏まえて対応が必要になった場合には、同事業に基づく取組を含め、適切に対応を考えていきたいと思っております。なお、政府備蓄米は、不測の事態に備えて、一定量の国産米を運用することを目的として、これは需給操作のために運用することは、制度の趣旨に沿わないということであります。ちょっとお尋ねあった以外のことも御答弁しましたけれども。

記者

繰り返しになってしまうんですけれども、岸田首相は、米の市場隔離の検討を掲げておりますけれども、このことについては、具体的な検討の指示っていうのはあったんでしょうか。

大臣

市場価格の問題については大変微妙な問題があるんで、これからまた、いろいろと意見を聞いたりですね、今までの状況をですね、踏まえて考えていくことになるだろうと思ってるんですね。なかなか価格をね、調整するっていうのは非常に難しいことだし、やっぱり市場っていうのは、自由に取引させることによってですね、また、生産者も意欲的に取り組んで、いい米を作ったりっていうことになってまいりますから、市場を、なかなか管理したり統制するっていうことは、非常に難しいかなと私は思ってるんですけどね。

  • 主要魚種の不漁に対する対応について・福島第一原発のALPS処理水海洋放出への対応について

記者

大臣御就任おめでとうございます。水産関係で2つ質問させてください。一つ目がですね、気候変動の話、冒頭でも言及されましたけれども、主要魚種、非常に漁獲不振が続いてきていて、非常に顕著な状況になっています。農林水産省としてどのように対応されていくのかということとですね、もう一つが、漁業者の反発が非常に大きい中で、福島第一原発の処理水の海洋放出についてですね、これについてもちょっと農水省としてどのように対応されていくのかというのをお聞かせください。

大臣

なかなか、今、生産者が非常に厳しいので、特に沿岸漁業の場合は、高級魚っていう魚は、本当に、ほとんど市場が厳しいという状況でございます。ただ、そこは今、価格が落ちた場合には、そこを補填する制度の仕組みがありますから、その辺を十分に活用していただいて、やっていければいいかなと。それの保険に加入している人たちが、沿岸部でだいぶ増えてきましたから、そういった仕組み、制度を利用していくことによって、対応していくことになるかなと思います。
それからもう1つは、ALPSの処理の対応につきましては、本年8月24日に開催されました「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚会議」において、東京電力ホールディングス株式会社、福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に伴う当面の対策の取りまとめが決定されました。農林水産関係では、風評を生じさせないための仕組みづくりや、風評に打ち勝ち安心して事業を継続、拡大できる仕組みづくりが盛り込まれており、特に水産関係では生産、流通、加工、消費の各段階における徹底した対策等が盛り込まれております。農林水産省といたしましては、農林漁業者に寄り添いながら、復興庁、経済産業省をはじめ関係省庁と連携いたしまして、政府全体で、今回示された関連対策が実現できるよう、万全を尽くしていきたいと思っております。

  • 日本産農林水産物・食品の輸出規制撤廃への取組について

記者

先ほど、お米の内需の減少に伴って、輸出にも力を入れていかれるというふうな要旨のことをおっしゃいましたけれども、ちょっと関連でやはり福島第一原発事故以降、いまだに特に東日本産のお米ですとか、日本酒など農産物加工品の輸入規制をしている相手国もございます。これらの規制解除に向けてどのように取り組まれますでしょうか。お考えをお願いします。

大臣

最近、それぞれ少しずつ緩和されてきておるのもご存知のとおりですね。したがってこれからもそういったまだ緩和が十分されてないところにね、積極的に働きかけをしていくしかないんじゃないでしょうか。大分、アメリカをはじめね、それぞれの国から緩和が言われてきておりますので、今後、外交努力によってですね、そういったできるだけ規制をですね、撤廃していただけるように、働きかけをしていきたいと思っております。

  • 牛乳・乳製品の需給について

記者

牛乳・乳製品の需給の関係で一つお尋ねします。先ほど冒頭の挨拶の中で、コロナに関係して外食が不振だったりだとか、インバウンドの需要が落ち込んでるということがあるんですけれども、牛乳・乳製品の関係も脱脂粉乳やバターを中心に、業務用の在庫が過去最高水準まで積み上がっています。緊急事態宣言が解除になって状況が変わってくる中ではあるんですけれども、直近の生乳や牛乳、乳製品の需給に対する受け止めと、在庫対策を講じるかなど、今後の対応方針についてお考えをお聞かせください。

大臣

牛乳・乳製品の原料となる生乳はですね、夏場は牛乳の需要が増加する一方で、乳牛は暑さに弱く、生乳生産量が減少することから、需給逼迫の傾向になります。冬場は逆にですね、飲用需要が減少する一方で、生乳の生産量が増加することから、需給が緩和傾向になります。需給と供給のそれぞれの季節変動があることから、飲用向けと乳製品向けの需給調整を行うことは不可欠であるというふうに考えております。今年はですね、これまで講じてきた生産基盤対策の効果により、生乳生産が増加している一方、新型コロナウイルス感染の影響で牛乳・乳製品の業務需要も逆に需要が回復していること、それから、8月中旬以降の大雨や気温低下によりまして、飲用需要が一時的に落ち込むとともに、夏休みの延長等の対応によりまして、一部の地域で学校給食は休止になったことから、例年に比べて緩和傾向になっております。今後の需給状況を正確に見通すことは困難でありますが、引き続き、生乳流通業者、乳業メーカーと連携を密にしながら、状況を注視してまいりたいと考えております。

  • 北海道における赤潮への対応等について

記者

漁業関連でお尋ねいたします。大臣は冒頭、漁業は農業に比べて大変厳しいと、温暖化の影響をもろに受けていると述べられました。北海道でブリが獲れるとは考えてもいなかったとも申されました。北海道では、現在、海水温の上昇で過去最大規模の赤潮が発生し、大きな漁業被害が懸念されています。御就任から間もないため、状況把握はこれからだと思いますが、北海道でかつてなかった規模の赤潮被害が起きたことに対する受け止めや、国の支援のあり方についてお聞かせください。

大臣

正直申しまして、北海道で赤潮が発生するっていうこと、私も今初めてお聞きしましてね、北海道でもそういう状況になってるのかなと思っておりますんで。大変、皆さん方、赤潮というのは、全国で発生してね、大変、なかなか対応っていうのは非常に難しい問題なんですよね。だから、やっぱり現場の状況をよく把握した上で、どういった対応ができるかっていうことは、庁内でですね、今後検討していきたいと思っております。なかなかこれは、原因そのものをね、完全にシャットアウトするっていうのは、もう難しいし、起こった中でどういうふうに対応するかということを考えていかなきゃいけないだろうと思いますので。私も今初めて聞きましたんで、それはよくお聞きしてですね、今後の対応を考えていきたいと思っております。

  • 農林水産分野における脱炭素化等の推進について

記者

脱炭素やデジタル化の推進というものが前政権の頃から随分推進されていたと思いますが、新しい岸田内閣になりまして、その辺りの方向性等は変化がありますでしょうか。これからの農水省としての取組方針をお聞かせください。

大臣

みどりの食料システムの推進というのは、積極的にこれから取り組んでいくわけで、令和3年5月に食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための新たな政策方針として、農林水産省としては「みどりの食料システム戦略」を策定しました。本戦略は、2030年に向けた温室効果ガス46パーセント削減を目標、2050年に向けたカーボンニュートラルの実現及び生物多様性の保全に寄与するもの。本戦略の推進に向け、農林漁業者や事業者の前向きな取組を後押しするための法案を取りまとめ、次期通常国会へ提出を検討しているところであります。また、本戦略は、2050年までに目標の実現を図ることとしており、そのため、技術開発とスマート農林水産業の推進が鍵となると考えております。

  • 諫早湾干拓事業について

記者

諫早湾干拓事業の潮受堤防に関して、大臣の開門調査に対する考え方と、現地を視察するお考えがあるかどうかもお聞かせください。

大臣

できるだけ早く現地は私も見たいと思っております。見るというより、私は何回も行ってますんで、よく現地は見ているので、地元の皆さん方の御意見を聞きながらね、特に長崎県の事情はよく分かっております。佐賀県の皆さん方の意見を聞きながら、これからまた取り組んでいかなきゃいかんというふうに思っております。いずれにしろ、今行くって言っても、なかなか選挙前でね、やっぱり選挙が終わってからじゃないと行けないかなと思ってますんで。いずれにしろ、やっぱり早く行ってですね、大臣は大臣の立場としての現場の見方っていうのもあるでしょうし、また、皆さんの意見を聞くということ、大臣に対する意見というのもいろいろあるでしょうから、その辺をよくお聞きして、今後対応していきたいと思っております。

記者

開門調査に対するスタンスはいかがでしょうか。

大臣

開門調査は裁判でね、一応ああいった形になっていますから。一応、国としてはやらないという方針になっています。そこは御理解いただきたいと思っております。

  • 生乳取引の現状の課題等について

記者

大臣御就任おめでとうございます。酪農乳業の生乳流通の関係で一点お伺いいたします。生乳流通の自由化を促すための改正畜安法が今年で4年目を迎えまして、今年の8月には、規制改革の実施計画に基づいて現場の実態調査など行われるとも伺っておりますが、改めて、生乳の取引の現状の課題や、それから課題解決に向けた取組の方針などをお聞かせいただければと思います。

大臣

生乳の取引に関しましては、6月に閣議決定された規制改革実施計画に基づきましてですね、今年の夏に酪農家や乳業メーカー等を対象に取引実態調査を実施しているところであります。今後、調査結果を踏まえまして、生乳取引ガイドラインの作成など、公正な取引環境の整備に向けた必要な対応を行ってまいりたいと思います。

記者

現状の指定団体に対するお考えもお聞かせいただけたらと思います。

大臣

指定団体につきましてはですね、生乳の取引については、2030年度の制度改正によりまして、酪農家の出荷先の選択肢が拡大されたところであります。全国の生乳流通量の太宗を取り扱う指定生乳生産団体の役割は、牛乳・乳製品の安定供給の面で引き続き重要と考えております。要するに必要なんだと、重要なんだということです。

  • 農協改革等について

記者

農業もそれから大臣、今強調された漁業の方も、生産者や漁業者の皆さんが協同組合っていうものを作ってですね、生産、それから地域の暮らしを担っているっていうのが実態だと思います。岸田総理が言われた、新しい資本主義っていうのは何を意味するか、これから注目されますけれども、そういった1人は万人のために、万人は1人のためにっていう理念を掲げた協同組合、これについて大臣がどんなふうに思われているか、期待も含めてお聞かせいただきたいということと、当省にあってはその農協改革ですけれども、これについては今後どんなふうに進めていかれるか、その2点教えていただきますでしょうか。

大臣

私も、ずっと組合の皆さん方とは、いつもお付き合いをしてますけどね、やっぱり生産者の立場に立ってですね、長崎県の組合の皆さん方は非常に積極果敢に取り組んでおると。なかなか、やっぱり組合がなくてはですね、生産者にとって不便なところもあるし、だから生産者組合っていうのはやっぱり生産者あっての組合ですから、その立場を考えながら、組合運営をしていくということについては、私は今大変努力をして行われているんじゃないかなっていうふうに思っております。農林も水産も同じですが、なかなかね、小さい組合になってくると水産はなかなか難しいとこもあるんですよね。しかし、農業の場合は、もう組合組織、非常に大きいですから、その地域、地域に合ったいろんな政策というのは取り組んでありますから。改革もこの前、4年か5年前かな改革が、いろいろと規制改革から言われてやってきまして、ある程度そういった方針に基づいてですね、私はなされてきているというふうに思っております。まだ十分じゃないところもいろいろあるかもしれませんが、そこは、また、いろいろな方の意見を聞きながら、より生産者の立場に立った組合になっていくように私も努力していきたいと思っています。

  • 中国向け牛肉等の輸出解禁について

記者

大臣御就任おめでとうございます。畜産分野についてなんですけれども、先ほども畜産分野伸びておられるとお話しされておりましたが、輸出拡大という観点から、特に中国向けの牛肉等の輸出解禁についての、ちょっと農水省としての方針や方向性等をお聞かせ願えればと思います。

大臣

なかなか、中国の規制厳しいようでして、実は私もね、知事時代に積極的に牛肉を売り込もうとして、中国には随分働きかけをしました。地元のフェアをやる度にね、牛肉を持っていって、やったんですけど、なかなかやっぱりいろんな規制等があって難しいようです。しかし、市場的にはね、非常に大きいし、中国の方々も、非常に日本の牛肉っていうのに対しては、大変関心を持っておりますから、これからやっぱり、いろいろな外交交渉を通じてね、地道に説得して、やっていくしかないんじゃないでしょうかね。だから、外務省もお願いし、また、我々農林省としてもですね、中国の御意見も賜りながら、輸出して積極的に輸入規制っていうか、自由に牛肉の輸出ができるような環境を整えていくと。まあ、中国というところは、いろいろお付き合いしてきましたけどね、州によって考え方もいろいろ違ったりして、なかなか難しいところがあるんですよ。だからそういった中でどういうことができるか分かりませんが、やっぱり、向こうはね、意外とトップがね、やんなさいって言ったら、さっと行くところもあるんだよね、日本と違って。そういったいろんな、ことを考えながら、やっぱり本当に中国の市場が開放されたら、日本にとってはもう非常に魅力的ですから、私はできる範囲の中で、一生懸命これから取り組んでいきたいと思っております。

  • 就任に当たっての抱負等について(2)

記者

大臣は我々水産界の出だと思ってますので、水産業界からの人としてお聞きします。大臣は漁業者のお宅にお生まれになり、お父様は水産三賢人の一人でもあり、それから大臣にもなられて、そういうことで、少し大臣の考えをお聞きしたいのと、就任の間に一つ、何かこれはやってやろうということがおありでしたら、お聞きしたいと思います。

大臣

父の時代から水産業には積極的に取り組んでまいりましたし、私は国会議員になりましてからも、この水産問題にはちょっと自分の仕事としてやってまいりました。なかなかいろいろな厳しい状況の中で、いろいろな個々の政策は毎年ですね、いろんな予算確保についても努力していっているんですよ。ただ、これとこれはこういうようなことでやりたいということで考えがあったとしても、なかなか、それはまた役所としての考え方もあるでしょうから、よく役所の意見も聞きながら、また私自身の考え方というものを、役所の皆さんとお話をしながら、出来るだけ現場の意見が取り入れられるような政策に取り組んでいきたいと思っております。なかなかこれをやりたい、あれをやりたいって、なかなか大臣になると言いにくくなりましてね、ふつうのヒラの国会議員の時はあれやれこれやれと言っていましたけども、こういう立場になってくるとですね、非常に、その難しさっていうのを感じております。わたしは知事を12年やりましたけどね、その時は、意外と知事というのは、自分が思ったことっていうのは政策で思い切ってやっていくことができるんですけども、大臣になるとやっぱり、なかなかそこは、やっぱり全体の組織の中でいろいろありますので、非常に難しいところがありますが、大体いろいろな方々の御意見、問題はやっぱり安定した操業が出来て、安定した生産が出来て、そして、本当に漁業で食べていくことができるかどうか。ただ、今は燃油も高い、魚も捕れない、そういった中でみんな苦労している。そういう中でどういうことが手当てを出来るかということで、一番我々は保険制度の組織を作って今やっているんですけどね、こういうことを含めて、中身の充実を含めて考えていきたいと思っております。いろいろとまた御意見を賜りながら頑張っていきますので、今日はこれくらいですみませんけど。

  • 気候変動に対応した漁業調整について

記者

水産関係で2点お願いします。まず1点目なんですけれども、気候変動に当たっての漁業調整をどうしていくかという話ですね。というのは、気候変動で魚の分布が変わるという話が先ほどあったと思うんですけど、すると、例えば、漁船の使う漁場だとか、使う漁法だとか、これまでと変えなきゃいけない部分が出てくると思うんですけれども、その時に漁業許可だとかの調整が出てきます。大臣は、やはり、これまでまき網の経営の御経験もありますし、知事としての沿岸の調整の御経験もあるので、実際、漁業同士をどういった調整をさせていくか、かなり造詣が深いのではないかと存じますので、そこの辺り、どうやって対話を図っていかれたいか、お聞きしたいなと思います。よろしくお願いします。2点目は後で言います。

大臣

漁業というのは多種多様ですからね、いろいろな漁法がありますし、それが本当にみんな、地域によって利害が絡んでおるんで、なかなかこの調整っていうのは難しいところもあります。じゃあ、一方のこの漁法が駄目だから、じゃあこっちに転換しようって言ったってね、設備投資を含めて大変だと思うんですよね。だから、そういう中で、できるだけ今やってるやり方がね、持続的にできるような形で考えていかなきゃいけないし、一方的に全く今まで違う漁法の中で、これを新しいものにというのは、一応、国としては、今少し考えているようですけどね、なかなか簡単にはいかないんじゃないかなと。特に地元の漁業調整は難しいし、じゃあ、漁法転換したからってすぐ魚を捕れるわけじゃないんですよ。魚というのは、なかなか誰でも行って捕れるんだったらね。農業と違うところは、やっぱりそういった自然を相手にしてね、やってますからね。相当な長年の経験・勘とかっていうのも必要だし、農業は確かに難しいところもありますけど、ある一定のものをね、種をまいて作るっていう形で、知恵と工夫を出しながらやっていけば、ある程度違ったものができる。漁業の場合は、なかなかそういったところがありますので、難しいところがありますのでね。

  • 水産資源管理について

記者

もう1点なんですけれども、先ほど、沿岸漁業の管理が技術的に難しい部分があるという話とか、漁業者の皆さんのお声をお聞きしたいという話があったと思うんですけれど、一方で、その沿岸でも、今、過剰漁獲の状態にあって、資源管理を改めたら資源が回復するよというようなデータも、いろんな魚で出ていると思います。実際にその管理が技術的に難しい漁法で、実際に、この漁法であればこんなことができるんじゃないかだとか、この漁法が例えば、数量管理が難しいんで別の方法があるよねという議論が始まっていると思うんですけれども、実際に漁業者のやりやすい方法として、こういうことができたらいいんじゃないかとか、何かアイディアがあればお聞きしたいなと思うんですけれども、お願いしてもいいですか。

大臣

なかなか難しい質問ですね。魚の場合はほとんど市場によって価格が決まるようになってますからね。だから、市場価格の中での変動というのは、なかなかこれは変えることは難しいし、それから、いろいろ捕れ過ぎて値段が安くなるって言いますけども、今は結構、いろんな資源管理型で調整してるんで、前に比べると価格の安定というのはなされていると思うんですよ。ただね、日本の生産だけをね、規制したり、漁獲量を、ある程度資源管理型をやってもね、輸入魚がバンバン入ってくるわけですから。じゃあ価格が高くなるかっていうと、日本人が食べる胃袋のパイって決まっているわけですから、だから、たくさんの魚が入ってきて、しかもほとんど税金が付かない魚が入ってきて、それで、一方ではこっちは規制するって言ったときに、その規制することによって価格の安定と、持続的な漁獲の安定ということになるんだけども、しかし値段がある程度上がってもらわないと、経営者はね、うまくいきませんよね、漁業者が。だから、私は輸入という問題もね、本当にこれはよく考えていかないと、なかなか日本だけの規制改革をして漁獲調整をしてもね、生産者の価格安定につながるのかなっていう考えは持っていますけどね。

  • 今後の酪農政策の方向性について

記者

酪農関連で1点お伺いします。現在ですね都府県の基盤強化とか担い手確保、自給飼料の生産強化など、酪農では多くの課題解決に向けて取り組んでいる真っ只中だと思うんですが、現状についてのお考えですとか、今後の日本酪農の政策の方向性についてお考えをお聞かせください。

大臣

酪農は非常に農業の中でも一番ね、難しいですね。先ほども話したように、シーズンによって違うし、またなかなか、牛乳の値段ていうのね、安定させるというのは非常に難しいし、南と北の問題もあるし、そういう中で今、新しい政策の中で、安定策をやってますんでね、こういったものをこれからも進めていくしかないのかなと思いますけどね。農業の中でも、酪農は非常に難しいということは私も知ってますので、よく皆さん方と話し合いながらまたやっていきたいと思っています。でも今やってることも、ある程度価格の安定につながって、生産者も安定して、一応やっていけるような状況になってるんではないでしょうかね。お答えになったかどうか分かりませんけど。

報道官

他に御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

大臣

初めてで、ちょっと勉強不足でしたけども、これから、また一生懸命勉強して、皆さん方の質問にお答え、スムーズにいくようにしますんで、よろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございます。

以上



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