夏の最高気温が40℃を超える日も相次ぎ、先月、気象庁は「40℃以上の日」に新しい名前を募ると発表しました。また、熱中症による救急搬送者数は2025年に10万人を突破し、2008年の調査開始以降で最多になるなど、私たちが「暑く長い夏」に適応するにはまだ時間がかかりそうです。
気象庁が発表した4月から6月にかけての3か月予報によると、各月の平均気温はいずれも平年を上回る見込みとされ、5月でも真夏日となる可能性が指摘されるなど今年も早い段階から暑さへの備えが求められています。
早まる夏と終わらない夏
【図1】はアイス・氷菓の食卓出現率(TI値:1,000食卓あたり出現回数)と最高気温の推移を示しています。直近3年間(2023~25年)を10年前(2013~15年)と比較すると、6~9月にかけて気温が上昇、アイスの増加も7月から6月へ前倒しとなり、その後9月まで高い水準で推移していることが分かります。
一方、8月上旬のピーク値には大きな変化はみられません。つまりアイスの需要は、ピークが高くなったのではなく、前後に6週間ほど広がりシーズンが長期化している様子です。
本稿では、こうした長引く夏の6月「もう夏」部分に着目し、梅雨時期の新しい食卓トレンドをご紹介いたします。アイスや涼味以外にも何か食卓に変化はあるのでしょうか?
【図1】アイス・氷菓の食卓出現率(TI値)と最高気温の推移

データ種別:家族世帯従属者個人、食卓機会:一日計、期間:2013/1/1~2015/12/31、2023/1/1~2025/12/31 最高気温:食MAPモニター居住地最寄りのアメダス観測情報より生活時間帯の最高気温
「もう夏」さっぱりと、ささっと
10年前などの過去データと比較分析をする際、前提として物価など生活環境も変化しているため注意が必要となります。そこで今回は6月の季節特徴をより明確に把握するため季節変化量を算出し比較してまいります。季節変化量は基準期間(今回は5~7月平均)と対象期間(6月)との差(偏差)です。この偏差を過去と比較することで、5~7月平均と6月の相対的な位置づけの変化となり、近年の米騒動などの影響を抑えつつ、6月の特徴的なメニュー変化に着目できます。
【図2】ではメニューTI値の6月季節変化量を10年前と比較し、上昇したメニューと低下したメニューそれぞれ10位を示しました。朝食では、ご飯食からパン食へのシフトや果汁や果物の上昇、朝の水分補給でしょうかミネラルウォーターも上昇しています。昼食はそうめんや冷たい蕎麦/うどんなどの和風麺。夕食では冷たい和風麺や冷しゃぶ、酢の物などの涼味。パスタや丼など簡便メニュー、スタミナメニューの餃子なども上昇していました。6月の食卓は、さっぱりメニューの前倒しや簡便食など、だいぶ夏仕様に変わっているようです。
【図2】6月TI値の季節変化量10年前比較(上昇低下ランキング)


データ種別:家族世帯従属者個人、食卓機会:一日計、期間:2013/1/1~2015/12/31の5/1~7/31、2023/1/1~2025/12/31の5/1~7/31、指標:TI値の6月偏差
もう夏バテ?
次に献立作りを担う主婦の気持ちや一日の出来事についても同様に比較してみます。
【図3】は、夕食献立作りの意識や出来事に関する毎夕食アンケートの回答率を用いて、6月の季節変量(横軸)と、その10年前比較(縦軸)をプロットしたものです。気持ちの面でも6月は簡便意識が上昇していること、加えて栄養バランス意識も上昇していることが分かります。
この時期は梅雨特有の湿気も増え、特に2025年6月の不快指数(15時時点)では「全ての人が不快に感じる日(指数80以上)※1.」が月の4割を超えました。2015年6月はゼロであることを考えると、蒸し暑い「不快な日」とともに、栄養面での夏バテ対策意識も増していると考えられます。
【図3】夕食献立作りの意識・出来事に関するアンケート回答率

データ種別:家族世帯、食卓機会:夕食、期間:2013/1/1~2015/12/31の5/1~7/31、2023/1/1~2025/12/31の5/1~7/31、指標:回答率の6月偏差 ※1.不快指数:食MAPモニタ居住地点における15時時点の気温と湿度から算出
「もう夏」に爽やかな風
ここまで涼味や簡便、栄養バランスなど、6月に増加している生活者ニーズをご紹介してきましたが、さらに、食事の味付けや風味付けにも新しい兆しが見られます。【図4】は6月の夕食で使われた香辛料・ハーブ類のTI値季節変化量を示したものです。5~7月の中で6月にTI値が増える食材が右側に、その変化量が10年前より上昇しているものが上側にプロットされています。薬味としてよく使われる生姜、みょうが、しそのほか、最近では生のハーブやセロリ、ナンプラー、コチュジャン、トーバンジャンといったエスニック食材も上昇していることが分かりました。
【図4】香辛料、ハーブ類の6月TI値季節変化量

データ種別:家族世帯、食卓機会:夕食、期間:2013/1/1~2015/12/31の5/1~7/31、2023/1/1~2025/12/31の5/1~7/31、指標:TI値の6月偏差
6月は単に冷たい食事だけでなく、食欲を刺激する酸味や、爽やかな風味、エスニック食材も取り入れて、しっかり食べて暑熱順化を促すことがポイントになりそうです。もう夏はすぐそこです。


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