
株式会社帝国データバンクは「弁当店」の倒産動向について調査・分析を行った。
SUMMARY
2025年に発生した、仕出しやテイクアウトを中心とした弁当店の倒産件数は55件で、前年(52件)を上回り年間最多を更新した。コンビニやスーパーなど競合先の増加に加え、近時は特にコメ価格の高騰が経営を圧迫しており、2024年度の弁当店の業績悪化割合は6割を超えた。物価高と節約志向の高まりで、特に低価格帯を得意とする中小弁当店の苦境が鮮明に。
集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日まで
集計対象:倒産は負債1000万円以上、法的整理によるもの
[注] 弁当店:「料理品小売業」のうち、事業内容や取扱品目等に弁当類を取り扱っている企業。給食弁当などを含む
「弁当店」の倒産、2年連続で最多 「安い弁当」ビジネス限界
2025年に発生した、仕出しやテイクアウトを中心とした「弁当店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は55件となった。2024年の件数(52件)を上回り、2年連続で過去最多を更新した。個人店の閉業などを含めると、実際はより多くの弁当店が市場から退出したとみられ、原材料高などに耐え切れない中小弁当店の淘汰が進んだ。


弁当店では、会議や法要、冠婚葬祭といった大口受注の減少や、テレワークなどで事業所向けランチ弁当の需要低下に加え、原材料高、人手不足、競争の激化など、多くの逆風にさらされた。特に、2021年以降は原油高や円安、ウクライナ情勢の影響を受け、鶏肉や食用油、小麦粉など食材価格が高騰し、近時は食材のなかでも特に「コメ」の価格高騰が弁当店の経営を大きく圧迫した。仕出し・宅配をメインとする弁当店では、長時間労働や早朝対応など勤務環境が厳しい「調理人」「配送人材」の確保に苦戦し、人件費アップも余儀なくされた。他方で、コンビニ・スーパーの弁当の品質向上やドラッグストアの総菜分野の参入、フードデリバリーの台頭などで持ち帰り弁当の価格競争も激しくなっている。そのため、低価格弁当を中心に展開する中小弁当店ではスーパーなどの500円以下の弁当と競合し、値上げが進まず採算が悪化するケースが多く発生している。実際に、仕出し弁当店を展開していたおはらフーズ(鹿児島)は、コンビニなどとの競合激化に加え、コロナ禍によるイベント向けの需要減、原材料価格上昇などが収益を圧迫し、最終的に事業の継続を断念した。
弁当事業を手がける企業の損益状況をみると、2024年度は42.7%が前年度から「増益」となった。ただ、速報値ながら2025年度は31.4%に急減し、「赤字」(41.9%)が3年ぶりに40%を占めた。この結果、2025年度における赤字・減益を合わせた「業績悪化」の割合は64.8%となり、多くの弁当店で利益確保が課題となった。原価構成に占める食材費の割合が非常に高い中小弁当店では、値上げしなければ原材料高の影響で利益が大きく削られる。他方、値上げをすると客離れが進み、売り上げが確保できない板挟みに直面し、低価格弁当のビジネスモデルに限界感がみられる。
足元では、「こだわりの米」「管理栄養士監修」など付加価値を追加することで高単価でも満足できる弁当と、セントラルキッチンの活用などで500円台を維持しつつ利益を確保する大手チェーンとの価格戦略の二極化が鮮明となっている。弁当市場では今後、安さよりも価値を重視する店と、大手の仕組みを生かして低価格を維持する店の二極化がより進むと考えられる。









