ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」登録1周年について~日本酒、本格焼酎・泡盛など、國酒文化の価値を未来へ~

掲載日: 2025年12月19日 /提供:日本酒造組合中央会

中央会では、今後も関係省庁や酒造関係団体と連携しながら、「伝統的酒造り」の保存・継承・普及に向けた取り組みを一層強化


浅草で開催された「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベント

ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」登録1周年について全国約1,600の日本の伝統ある酒類(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する、日本酒業界最大の団体である日本酒造組合中央会(以下、中央会)は、2024年12月5日にユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」が、2025年12月6日に登録1周年を迎えたことをお知らせいたします。

この節目にあたり、国税庁主催により文化庁、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会などが連携し、東京都・浅草において記念イベント(シンポジウム、ワークショップ、試飲体験等)を開催しました。

あわせて、同イベントにおける発言として、中央会 副会長であり、「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」会長を務める小西 新右衛門(こにし しんうえもん)のコメントをご紹介します。

■「伝統的酒造り」が示す、日本文化の結晶

「伝統的酒造り」とは、杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)等が、こうじ菌を用い、日本各地の気候風土 に合わせて、長年の経験に基づき築き上げてきた酒造り技術であり、500年以上前に原型が確立したといわれています。長年にわたり受け継がれてきたこの技術は、単なる製造技法にとどまらず、祭礼や年中行事、人と人とをつなぐ文化的営みとして、日本社会に深く根付いてきました。

ユネスコ無形文化遺産への登録から1年を迎えた現在、その価値は国内のみならず海外においても改めて注目を集めており、日本酒をはじめとする日本の伝統酒は、世界の食文化やガストロノミーの文脈の中でも、その存在感を高めています。






■浅草で開催された記念イベントについて

浅草で行われた記念イベントでは、研究者、酒造関係者、文化人および関係者らが登壇し、「伝統的酒造り」の技術的価値や文化的意義、今後の保存・継承の在り方について、活発な議論が行われました。

また、一般来場者を対象としたワークショップや試飲体験では、オリジナルの升づくりや、日本酒の魅力を体感的に学ぶ機会が提供され、多くの参加者が日本の酒造りの奥深さに触れました。






■「こうじ菌と人が育む酒文化」

日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会 会長
小西 新右衛門コメント



「お蔭さまでユネスコ無形文化遺産登録を果たしてから1年が経ちました。今回の登録について北は北海道から南は沖縄までの蔵元に大変喜んでいただき、各地で「伝統的酒造り」のPRに努めていただいていることは誠にご同慶の至りであります。またお力添えいただいた国税庁、文化庁他関係各位に改めて心から御礼を申し上げます。

ここ数年アメリカやアジアのみならず欧州に於いても日本の伝統的酒造りに関心を持っていただく方が増えてきておりましたが、今回の登録で更にその機運が高まってきております。新しい感性で酒造りにチャレンジされる方も増え、またこうじ菌に関しての話題も多く出てくるようになったことは喜ばしい限りであります。

「技の伝承」の重要性が認められて登録されたユネスコ無形文化遺産ですのでその主旨を踏まえていくためには日本酒造杜氏組合連合会としっかりと連携しながら今後の展開を進めてまいります。昨年の無形文化遺産登録に続き、今年は食文化分野からの人間国宝誕生の道が開くなど、文化継承の機運が高まっている今、さらに「技の伝承」に努めて参ります。

一方で「守り」ばかりではなく、新たな展開の可能性を見つけていく「攻め」の姿勢も大事になってまいります。日本酒の多様性は他の酒類に引けをとるどころかその面白さは大きな特徴の一つでもあります。今後は次世代の方々がその可能性を追い求めていくことにより、活躍の場は更に広がることと確信いたします。私は「過去に畏敬、現在に感謝、将来に責任」という言葉が好きであります。500年以上にわたって培ってきた「技」を次世代にどのように活かしていくかの責任が我々にはあります。

焼酎やみりんを含めますと全国には酒蔵が1600軒以上あります。まず各地のいろいろなお酒を飲んでいただくことが伝統的酒造りの継承・発展につながります。どうか皆さん方におかれましては今まで以上のご支援を賜りたくお願い申し上げます。






■日本酒造組合中央会としての今後の取り組み

中央会では、今後も関係省庁や酒造関係団体と連携しながら、「伝統的酒造り」の保存・継承・普及に向けた取り組みを一層強化してまいります。国内では、消費者や若い世代に向けた理解促進活動や人材育成を進めるとともに、海外においては、日本酒をはじめとする日本の伝統酒の魅力と、その背景にある文化的価値を発信していきます。

ユネスコ無形文化遺産登録1周年を新たな節目として、國酒の文化が未来にわたり豊かに受け継がれていくよう、引き続き取り組んでまいります。

『伝統的酒造り』ユネスコ無形文化遺産 登録1周年記念イベント概要

【日時】2025年12月6日(土) 12時00分-16時00分
【会場】浅草文化観光センター(東京都台東区雷門2丁目18-9)
【主催】国税庁
【共催】文化庁
【協力】日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会
【内容】シンポジウム/ワークショップ/試飲体験/パネル展示


<国税庁「伝統的酒造り」PR動画・特設サイト>
YouTube 国税庁動画チャンネル内動画
・PR動画(60秒)日本語 https://youtu.be/8dEsCbPZjNU
・PR動画(60秒)英語  https://youtu.be/47-KSVHODKA
・PR動画(15秒)英語 https://youtu.be/7hD3cn0xunU

「伝統的酒造り」特設サイト(国税庁ホームページ内)
・日本語  https://www.nta.go.jp/traditional_sake_making/index.htm
・英語  https://www.nta.go.jp/traditional_sake_making/english/index.htm

<日本酒造組合中央会について>
全国約1,600の日本の伝統ある酒類(日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)メーカーが所属する日本酒業界最大の団体。酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、1953年に設立。ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」により生み出される「國酒(こくしゅ)」である日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりん等について魅力を広めることにより、世界の食文化の多様性に貢献し、国内外の需要拡大につなげる活動に取り組んでいます。
■公式HP: https://japansake.or.jp/sake/

<「清酒」と「日本酒」 呼称の違いについて>
「清酒」(Sake)とは、海外産も含め、米、米こうじ及び水を主な原料として発酵させてこしたものを広く言います。「清酒」のうち、 「日本酒」(Nihonshu / Japanese Sake)とは、原料の米に日本産米を用い、日本国内で醸造したもののみを言い、こうした「日本酒」という呼称は地理的表示(GI)として指定・保護されています。
※海外産米を用い、又は海外で醸造した「清酒」、「SAKE」のことを「日本酒」と表記することは誤りとなります。

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