三生医薬・ポーラ、第48回日本分子生物学会年会で共同研究成果を発表

掲載日: 2025年12月03日 /提供:三生医薬

~ フラボノイドとアスコルビン酸の併用による“細胞抗酸化メカニズム”を解明、原料探索から試験データ取得まで三生医薬の専任チームが伴走 ~

● 健康食品・サプリメント受託開発製造のリーディングカンパニーである三生医薬株式会社(本社:静岡県富士市、代表取締役社長:今村 朗、以下 三生医薬)は、株式会社ポーラ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:小林 琢磨、以下 ポーラ)と共同で、フラボノイドとアスコルビン酸の相乗作用に着目した抗酸化メカニズム研究を実施しました。
● 本研究成果は、2025年12月3日~5日に横浜で開催される第48回日本分子生物学会年会にてポーラと三生医薬の共同発表として公開されます。
● 本共同研究では、三生医薬がポーラの開発テーマに合わせて編成した“顧客専任チーム”が、原料の探索・選定から予備試験、研究実施に必要な事前検討や条件設定のサポートまでを一貫して伴走。美を追求し続けるポーラの研究開発に対し、三生医薬は製造受託の枠を超えた「共創型OEM」として多角的に支援し、今回の成果を支える重要な役割を果たしました。




■ 本件のポイント

1.柑橘由来のフラボノイド群に着目した原料選定に貢献
三生医薬の学術チームが、数千種類に及ぶフラボノイドの中から、抗酸化作用が高く、アスコルビン酸とのイメージの親和性も高い柑橘由来のフラボノイド群に注目。「レモン・ベルガモット・じゃばら・青みかん」を有望候補として選定しました。


2.アスコルビン酸の作用を補強する“複合エキス”の研究方向性づくりに寄与
原料開発課が、複合エキスの有効性を検証する前段階として、当社イノベーションセンターを中心に予備試験を実施。フラボノイドを組み合わせることでアスコルビン酸の持続性が向上する知見を提供し、本試験に向けた研究の方向性確立に貢献しました。


3.ポーラによる“細胞レベルでの酸化ストレス試験”の実施を技術面で支援
ポーラが策定した試験プロトコルに基づき、細胞試験に必要となる事前検討や条件設定を三生医薬が技術面からサポート。その結果、植物エキスとアスコルビン酸を組み合わせた複合エキスが、表皮細胞のROS(活性酸素種)発生を抑制し、細胞保護に寄与することを示すデータの取得につながりました。


こうした三生医薬の一連の伴走支援により、図2に示すとおり、「複合エキスは、アスコルビン酸単独よりも細胞の抗酸化力を高め、酸化ストレスから細胞を守る」という研究成果の創出に寄与しました。

三生医薬株式会社 常務取締役 研究開発本部長 又平 芳春 コメント

「今回の成果は、ポーラ様の卓越した研究開発力と、当社が長年培ってきた原料探索・技術検証の知見が、製品開発の初期段階から同じ方向を向いて連携できたことで生まれたものです。“開発のスタートライン”からビジョンを共有しながら進める姿勢こそ、これからの健康食品OEMに求められる在り方だと考えています。
三生医薬では、営業担当がお客様とのやり取りを一手に担う従来型のプロセスではなく、企画・開発・学術・品質・生産といった各分野のプロフェッショナルが、お客様ごとに専任チームを組み、横断的に上市まで伴走する体制を整えています。
この専任チーム制は、単にコミュニケーションを効率化するだけでなく、お客様が実現したい価値や開発テーマの背景、市場の動きまで深く理解し、初期段階から各領域の知見を結集できる点に価値があります。その結果、“顧客の期待を持ち上げ、その期待をさらに超える提案”が可能になります。





今回の共同研究においても、フラボノイドの比較検討から複合エキスの方向性づくり、試験データの取得まで、当社チームが一体となって伴走し成果に結びつきました。
健康食品市場は、制度の変化や競争環境の激化など、大きな転換点を迎えています。こうした環境下では、OEMメーカーは“指示されたものをつくるだけ”ではなく、お客様とともに価値を構想し、その実現まで責任を持つパートナーであることが求められます。
三生医薬はこれからも、専任チーム制を軸とした“共創型OEM”として、お客様の挑戦を支え続けてまいります。」

■ 本研究の詳細

※本項の内容は、株式会社ポーラから提供された研究発表情報に基づき記載しています。なお、図1および図4は著作権の関係上、本リリースには掲載しておりません。

<抗酸化へのアプローチは「即効性」と「持続性」の両立が重要>

日常では紫外線や環境ストレスによって肌は酸化ストレスを受けています。このストレスから肌を守るには、2つの仕組みが重要です。
1つは、発生したばかりの活性酸素をすぐに取り除く「即効性」の高い直接的な抗酸化作用で、アスコルビン酸が代表的です。もう1つは、表皮細胞のスイッチNRF2(補足資料1)に働き、抗酸化酵素を増やすことで細胞そのものの防御力を高める「持続性」の高い細胞内の抗酸化作用です。
どちらか一方だけでは不十分であり、両方をバランスよく活用することで、より効果的に酸化ストレスから守ることが重要であるとポーラは考えました(図1)。

<「即効性」の高いフラボノイド類を探索>

ヒドロキシラジカルは、体の中で生じる活性酸素の中でも特に強い酸化力を持ち、細胞に大きなストレスを与えることで知られています。このヒドロキシラジカルを取り除く働きは、体の外から摂取する抗酸化成分に大きく依存しています。中でも、植物に含まれるフラボノイド類には強い抗酸化作用があることがわかっています。そこで、数多くあるフラボノイドの中から、ヒドロキシラジカルを効果的に除去できるものを見つけるために、発生させたヒドロキシラジカルを各フラボノイドと混合し、ラジカルがどれだけ減少するか測定する試験を実施し、比較研究を行いました(表1)。





<「即効性」と「持続性」を併せ持つ、複合エキスを開発>

比較研究の結果(表1)をもとに、ヒドロキシラジカル除去作用の高いフラボノイドを多く含む植物エキス(補足資料2)を選定し、その植物エキスとアスコルビン酸を組み合わせた複合エキスが、細胞を過酸化水素(酸化ストレス)負荷から守るか調べました。複合エキスを表皮細胞に加えて酸化ストレスを与えたところ、他の細胞よりもROSのシグナルが低く、酸化ストレスが起きにくいことが分かりました(図2)。このことから、複合エキスには、細胞の抗酸化力を高め、細胞を酸化ストレスから守る働きがあると示されました。



さらに、メカニズム解析から複合エキスによって酸化ストレス防御のスイッチ「NRF2」が核内移行、活性化され、それにより働く抗酸化遺伝子(HMOX1)も増加し、細胞が自ら酸化ストレスに対抗できる状態であることが示されました(補足資料3)。

今回の結果は、即効性の高い直接的なラジカル消去と持続性の高い細胞内抗酸化応答の両立を実現する新たな抗酸化戦略であり、より効果的な皮フ保護素材の開発につながる知見です。

【補足資料1】 NRF2とは
NRF2(Nuclear factor-erythroid 2-related factor 2)は、細胞が酸化ストレスから自らを守るために働く“防御スイッチ”のような存在です。転写因子と呼ばれるタンパク質で、普段は細胞質の中で抑えられていますが、抗酸化成分をきっかけに活性化すると核内に移動し、抗酸化酵素や解毒酵素をつくる遺伝子をオンにします(図3)。

紫外線や大気汚染などにさらされる皮膚では、活性酸素(ROS)が発生しやすく、くすみやうるおい低下の原因になります(図4)。NRF2は、こうした酸化ストレスを抑え、細胞の炎症反応を和らげ、肌のバリア機能を保つうえで欠かせない働きを担っています。また、NRF2の活性化は全身の健康にも関わっており、慢性的な酸化ストレスや炎症の進行を防ぎ、老化の抑制や細胞のエネルギー代謝維持にも役立つことが知られています。





【補足資料2】 植物エキスの由来となる4種の植物果実(フラボノイドを多く含む)
 ● レモン(学名) Citrus limon ミカン科ミカン属
 ● ベルガモット(学名) Citrus bergamia ミカン科ミカン属
 ● じゃばら(学名) Citrus jabara ミカン科ミカン属
 ● 青みかん(学名) Citrus unshiu ミカン科ミカン属


【補足資料3】 植物エキスとアスコルビン酸を組み合わせた複合エキスはNRF2を活性化し、抗酸化遺伝子の発現を増強する
植物エキスとアスコルビン酸を組み合わせた複合エキスによって、酸化ストレス防御スイッチNRF2タンパクの核内移行が増強するか解析しました。
複合エキスは、添加なしと比べて、有意にNRF2の核内移行が促進されていることが明らかとなりました(図5)。

また、NRF2により活性化される抗酸化遺伝子(HMOX1)の発現も増加しており(図6)、細胞が自ら酸化ストレスに対抗できる状態になっていることが示されました。








【補足資料4】 発表詳細について
第48回 日本分子生物学会年会(2025年12月3日~5日)
演題名:ヒドロキシラジカル消去とNRF2活性化を併せ持つ複合素材の探索
ポスター番号:2P-486


■ お問い合わせ先

三生医薬株式会社
広報・アウトリーチ担当 藤作(ふじさく)
Email: kenichi.fujisaku@sunsho.co.jp


三生医薬株式会社について
【所在地】静岡県富士市厚原1468(本社)
【代表者】代表取締役社長 今村 朗
【設 立】1993年11月
【資本金】1億2,338万9千円
【売上金】286億円(2025年3月期)
【従業員】830名(2025年4月現在)
【事業内容】健康食品、医薬品、一般食品、雑貨等の企画・開発・受託製造
【会社HP】https://www.sunsho.co.jp






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