1. プロジェクト推進の背景
(1) 活動背景
日本の農林水産業は、国民の食料を安定に提供し、地域経済を支える重要な役割を担っています。しかしながら、鳥獣による農作物の被害が、農林業者の生産意欲を低下させる深刻な問題となっています。そのため、環境省・農林水産省は2013年に「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を共同で取りまとめ(※3)、「シカ・イノシシの生息頭数を2023年までに半減させる」ことを目標に掲げ、さまざまな活動をおこなってきました。この結果、農作物被害額は減少傾向にありますが、被害を受ける地域が広がる傾向となり、また狩猟者の高齢化が進んでいることもあり、目標未達の可能性がある状況です。
千葉県においても、高齢化による狩猟者の減少が進む中、相反するように捕獲頭数は増加傾向にあります。また、イノシシが県内を北上し、人口の多い地域へと増殖を続けていて、農作物被害に加えて人の危害の可能性も出てきて、狩猟者の負担が増すばかりの現状です。
このような中、AIを活用したドローンを開発する株式会社ロックガレッジ、物流ドローンを開発を行う株式会社SkyDrive、有害鳥獣の捕獲・防護方法のコンサルティング・資器材の開発を行う合同会社房総山業、狩猟に関する教育・訓練を行う木更津猟友会、そしてドローン運航事業を行う当社がそれぞれの強みを活かし、プロジェクトを推進することで、千葉県の害獣駆除の課題を解決できると考え、「先進的デジタル技術活用実証プロジェクト」を推進することとなりました。
(2) 事業の全体イメージ

(3) 実施体制
本事業は下記の通り役割を分担し、推進しております。


2. 実証実験の概要
(1) 実施事項
今年度これまでに個別で行ってきた試験をまとめ、一連の流れとして最初から最後までを通しで実施いたしました。
1. 市販ドローンの自律飛行による害獣のAI検知
今回は飛行範囲内にイノシシ・シカがおらず、赤外線カメラによる検知は行えず


2.物流ドローンによるくくり罠・遠隔通報装置の搬送
くくり罠・遠隔通報装置合計10kgを直線距離263m(徒歩の場合迂回の必要あり約25分)を自律飛行で搬送、着陸させずにホイストで荷降ろし


3.狩猟者によるくくり罠・遠隔通報装置の設置
市販のくくり罠および自作の遠隔通報装置を実際に設置


4.マッピング&遠隔通報装置によるくくり罠の監視
遠隔通報装置のGPS取得に時間を要し、メディア向け公開中には表示されず(写真は事前の試験時のもの)

(2) 実施日時
日時:2022年12月27日(火)11:30~13:00
場所:千葉県木更津市矢那
(3) 使用ドローン詳細
1.物流ドローン SkyDrive「SkyLift」

2.赤外線カメラ(XT-2)搭載ドローン DJI「M200 V2」

5. 今後の予定
更なる実証実験を重ね、AIや物流ドローン等を活用した猟銃の「千葉モデル」策定により、まずは千葉県の害獣駆除の課題解決に貢献して参ります。そして将来的にはこの「千葉モデル」の全国展開を目指していく所存です。









