国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第159号として、食品の買い物に関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載のデータもご提供できますのでお気軽にお問い合わせください。
食品は“まとめ買い派”が4割超
ひと昔前は、食品の買い物の際には精肉店や八百屋など個人商店を1軒ずつ回る必要があったのが、スーパーなど大型店の登場で1カ所で済むようになり、さらに現在ではインターネット経由で自宅でも可能になりました。そこで今回は、買い物の手段が多様化するなか、食品をいつ・どこで買っているのかなど、いろいろと探ってみました。
まず、日常の食品の買い物の頻度をたずねてみたところ(図表1)、最も多かったのが42.1%の「週に1~2回程度」と、4割以上の人が食材をある程度まとめ買いしていました。以下、「週に3~5回程度」34.7%、「ほぼ毎日」12.5%が続き、「週に1回未満」という人も7.8%に。性別では、「ほぼ毎日」と「週に1~2回程度」は男女差がありませんが、「週に3~5回程度」は女性が7ポイント、「週に1回未満」では男性が4.8ポイント上回っています。「家庭のなかで食品や日用品の買い物を主に担っている」と回答した人が男性43.9%、女性90.1%(図表非掲示)であることを勘案すると、女性のほうが買い物の頻度が高いのは納得できますね。
年代別では、比較的頻繁に買い物をする人(「ほぼ毎日」+「週に3~5回程度」)の比率は年代が上がるほど高く、70代以上では52%に。外出のきっかけとして買い物に行く人も多いのでしょうか。住環境別では、都市部では「ほぼ毎日」15.5%、「週に3~5回程度」37.1%と、買い物の利便性を反映してか、他よりも高頻度となっています。
意外と多い? ドラッグストアでの食品購入
次に、日常的にどこで食品を買っているのかを上位3つまで答えてもらいました(図表2)。「総合スーパー」49.9%を大きく引き離し、86.3%の「食品スーパー」が断トツに。食品スーパーは30・40代の子育て世代、総合スーパーは60代以上の高齢層の支持を集めました。両者に続くのは「ドラッグストア」となりました。日配品を強化した店舗を郊外を中心に積極出店するチェーン店も多いことから、食品の購入先としても存在感を示しているようです。4位の「コンビニ」は20・30代の若年層で高値というのは納得できますね。
「ネット通販・ネットスーパー」は若年層より60代以上のほうが利用率が高いのは興味深いところ。コロナ禍で外出を控えてネット経由で買い物をする人が増えているのでしょうか。7位の「カタログ通販」も60代以上で高値を示しており、根強い支持があるようです。
“立地”と“品揃え・新鮮さ”でスーパー、“価格”ではドラッグストアに軍配
図表2で答えてもらった店舗やサービスを利用する理由についても聞いてみました(図表3)。利用率が1、2位の食品スーパーと総合スーパーは、いずれも「立地が便利だから」「品揃えがよい・新鮮だから」「他店と比べて価格が安いから」がベスト3に。このなかで、「品揃えがよい・新鮮」の比率が食品スーパーより総合スーパーのほうが高いというのは少し意外ですね。売り場面積が広い店舗が多いことが影響しているのでしょうか。
利用率3位のドラッグストアは、「立地が便利だから」が最多なのはスーパーと同じですが、2番目に多いのが「他店と比べて価格が安いから」で、全業態で最も高くなっています。この一方で「品揃えがよい・新鮮だから」は低率であることから、利用者は品揃えや品質より価格重視の傾向があるようです。利用率4位のコンビニは「立地が便利だから」「早朝や深夜でも買い物ができるから」がともに全業態で最多と、利便性重視の結果に。また、利用率5位の百貨店は「品揃えがよい・新鮮だから」が全業態で最も高い一方で「他店と比べて価格が安いから」は3.6%と低く、やはり“いつもより贅沢して良いものを買いたい”時に足を運んでいるようです。
ネット通販・ネットスーパーやカタログ販売といった自宅で買い物ができる業態では、やはり「自宅まで配達してくれるから」が突出しているほか、「早朝や深夜でも買い物ができるから」も他業態よりも高率に。“いつでもどこでも注文できて、家まで運んでくれる”という利便性はほかの業態にはない特徴といえるでしょう。
「ポイントをためているから」が各業態で2割前後にのぼるのも興味深いところ。同サービスが業態を問わずに「お得意様」づくりの有効な手段になっているようです。
買い物の足は“自家用車”が主流
次に、食品の買い物に行く際に最も多く使う交通手段をたずねたところ(図表4)、「自家用車」が47.9%と半数近くにのぼりました。図表1で4割以上の人が「週1~2回程度」買い物に行っていると答えたことを考え合わせると、“買い物には自動車は不可欠”というのは納得できますね。以下、「徒歩」29.0%、「自転車・バイク」20.7%と続きました。
年代別にみると、30代以下は「徒歩」が35%超と比較的高値ですが、40代以上では3割以下に低下。その一方で「自家用車」は40~60代で半数前後となっています。この背景には、食べ盛りの子どもがいるなど食材の購入量が増えることもありそうです。
買い物に行く際の交通手段は住環境別に大きく左右されるもの。この観点からデータをみると、商業施設が集積する都市部では「徒歩」が44.1%と突出している一方、郊外と山間部・諸島部では「自家用車」がそれぞれ6割・8割と、対照的な結果となりました。
コロナ後の買い物は早い時間帯にシフト、行動変容には男女差
新型コロナウイルス以降、商業施設への入店時にマスクを着用して手指を消毒するのは、いまや“普通のこと”になりましたが、買い物についてほかにどのような変化があったのでしょうか。まず、買い物に行く時間帯をたずねたところ(図表5)、「10~12時台」が約4割で最多というのはコロナ前後で変化はありません。午後の時間帯をみると、コロナ後は「13~15時台」が1.9ポイント増加の一方で、「16~18時台」は1.1ポイント、「19~21時台」では2.4ポイントそれぞれ低下しており、買い物の時間帯が前倒しになっていることが見て取れます。これには、在宅勤務の普及や一部地域での飲食店の8時閉店で夜の人出が減ったことなどが背景にありそうです。
買い物の仕方自体の変化についても聞いてみました(図表6)。最も多かったのが、意外にも「特に変わらない」の35.8%で、「まとめ買いなどで、買い物に行く頻度を減らした」が34.9%と僅差で続きます。性別でみると、「特に変わらない」は男性43.4%vs女性28.4%、「買い物に行く頻度を減らした」は27.8%vs41.8%と、前者は男性が15ポイント、後者は女性が14ポイント上回っています。そのほかの項目でも女性のほうが上回っていることからも、女性はコロナに気を使いながら、以前と買い物の際の行動を何かしら変えた人が多いことがわかります。
“重たいものを買うため”にネットを利用
ネット通販やネットスーパーの利用が特別なことでなくなっている現在、そもそもどういった理由でインターネットサービスで買い物をするのかについても聞いてみました(図表7)。最も多かったは55.4%の「重いものを買うため」。確かに、お米や水などの買い物では重宝しますね。以下、「時間や場所に関係なく買い物できるため」39.4%、「商品を安く買えるため」31.4%、「自宅周辺の店舗にない商品を買うため」24.9%と続きました。
男女別にみると、男性は「商品を安く買える」といった価格面を重視し、女性は「重いものを買う」「大量のものを買う」という物理的な理由からネットサービスを利用する傾向があるようです。また30代を中心とする若年女性の1割前後が「仕事や子育て、介護などで時間がないため」を理由に挙げているのは興味深いところです。「新型コロナウイルス流行で外出を減らすため」は40・60代女性と70代以上男女で2割を超えており、やはり高齢層を中心に高い結果となりました。
リアルとネットの“ベストミックス”は?
最後に、食品の買い物について、日常の買い物で感じていることやコロナ前後での変化などを自由回答で書いてもらったところ、コロナ後に“まとめ買い”や“ネット活用”を始めたという声が多数。また、リアル店舗とネットサービスの使い分けはコロナ前から実施している人も多いなか、コロナを契機に拍車がかかっているようです。外食費が浮いた分でプチ贅沢をしたり、地産地消に目覚めたり…さまざまな工夫や変化も寄せられました。
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「食品の買い物」に関する意識調査を実施。
期間:2021年5月24日~5月26日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
株式会社プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/
メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。
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