すぐできる飲食店の食材高騰対策~仕入れ・メニューの見直しポイント

飲食・宿泊2018.04.20

すぐできる飲食店の食材高騰対策~仕入れ・メニューの見直しポイント

2018.04.20

中規模の飲食店の場合…卸企業と良好な関係を築こう

次に、ドミナントで数十店舗を展開するような中規模の飲食店の場合は、どのような仕入れ対策があるだろうか。

「そもそも中規模チェーン店は、同じエリアにある大手外食チェーンなどと競争していくことになります。そのような中では、大手企業より本部運営費を減らし、食材費に回すことで、大手に負けない競争力をつけていく必要があります」

しかし、品質の良い食材は原価も上がりやすく、原材料高騰の影響を受けやすい。そこで、中規模飲食店は、ある程度の量を仕入れられることを強みにすることが必要だという。

「例えばある卸が多くの在庫を抱えてしまい、消費期限があるので単価を下げてでも売り切ってしまいたいことがあります。そこで中規模の飲食店が買い取ってくれると、その卸はとても助かるのです。そうすることで、飲食店側は食材を安く仕入れることができますし、卸企業と良好な関係を築くことにつながります」

良好な関係が築ければ、値上げを据え置いてもらえたり、大手と同程度の単価で食材を仕入れたりすることもできる。小規模の飲食店と共通して、卸企業との関係形成力が重要といえる。

メニューを見直して、食材の高騰分を吸収する

仕入れの次はメニューの見直しだ。

「大手から中小まで多くの外食企業が試行錯誤していることですが、メニュー構成全体の中で利益を確保するという方法があります。原価の上がったメニューの価格を据え置く代わりに、原価率の低いメニューも用意して、全体の粗利を維持する、メニューミックス、粗利ミックスというやり方です」

構成を考える一方で、個々のメニューを見直す際に注意すべき点はあるだろうか。

「食材の品質を下げたり、食材自体を別のものに変えたりすることはよくあります。しかし、お客様の評価はたいへんシビアで、まずくなったといわれてしまうこともあります。使用食材の変更は客足にも影響するため、最低限に抑えたほうがよいでしょう」

食材を変更する前に、適切な発注や調理のマニュアル化で食材のロス減らす、正確なオペレーションを行うという基本的な工夫は必ず行おう。それでもなお、食材の変更が必要な場合は、加工や調理、味付けの方法を試行錯誤し、料理としての質を下げないよう努力することも忘れてはいけない。

「たとえ食材を変更しても、お客様に“美味しい”と思っていただけるレシピ開発が重要なのです」

原材料の高騰は、この先も飲食店の頭を悩ませ続ける。2017年には23%の飲食店が値上げに踏み切ったという調査結果が示された。そうした中、来店客により高い価値を提供するために、まずは「良い仕入先と付き合う」「品質を保った適切なメニューの見直を行う」を意識して、課題解決に着手していく必要があるだろう。

取材協力:株式会社船井総合研究所お問い合わせ・無料経営相談


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