ポルトガル料理には欠かせない伝統調味料、マッサ
マッサと呼ばれる真っ赤なペースト状の調味料。日本では馴染みのないものだけに、味や使い方のイメージが湧きにくい。まずは、マッサとは何なのかを栗山さんに聞いてみた。
「ポルトガルの伝統的な調味料に、赤パプリカを塩漬けにしてペースト状にしたMassa de Pimentao(マッサ・デ・ピメンタォン)というものがあります。現地ではどのスーパーでも売っているポピュラーな調味料です。マッサとは、ポルトガル語で『水に溶かしたやわらかいもの』を指すのですが、私はマッサ・デ・ピメンタォンを略してマッサの愛称で紹介しています」
栗山さんが、マッサと出合いその魅力に引き込まれたきっかけは、ポルトガル旅行で食べた料理の味だった。
「出合ったのは、1998年に初めてポルトガルを旅した時です。『豚とあさりの炒め煮』というポルトガルを代表する料理が、すごく美味しくて感激しました。その料理に使われていた調味料がマッサなんですが、その時は正体が何なのか分からなかったんです。赤いからトマトだと勝手に思い込んでいましたね(笑)。その後、2回目に訪れた際に、知人に連れて行ってもらった市場の八百屋さんで、瓶に入った真っ赤なジャムのようなものを見つけたんです。それがマッサでした。塩気と完熟パプリカの甘みがマッチした、なんともコク深い味でした。本では、八百屋さんから教えてもらった製法を元に、試行錯誤し辿り着いた作り方を紹介しています」