ラーメン店からの電話・FAX受注を99%デジタル化。従業員のストレスをDXで削減~カネジン食品

卸・メーカー2024.09.03

ラーメン店からの電話・FAX受注を99%デジタル化。従業員のストレスをDXで削減~カネジン食品

2024.09.03

ラーメン店からの電話・FAX受注を99%デジタル化。従業員のストレスをDXで削減~カネジン食品

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札幌と東京を拠点にラーメン店などで使用される業務用麺を製造するカネジン食品株式会社。顧客ニーズに合わせてもちもちの食感や太麺、ちぢれなど500種類以上のオリジナル麺を取り扱っている。

取引先の店舗ごとに麺の呼び方や種類が異なることで電話やFAXでの受注が負担になっていたため、スマホを使った受発注システム『TANOMU』を導入。人手による受注処理が減ったことで、従業員の業務時間短縮とストレス削減につながった。

目次

全国のラーメン店に500種類以上の麺を届ける

【Q】ラーメン激戦区の札幌で、多くの取引先様に愛される業務用麺を製造されています。

カネジン食品株式会社:製品例

東京営業所 営業事務課 課長 御子芝 仁 氏(以下同):当社は1983年に札幌で設立し、安全と信頼を第一に業務用麺の製造を手がけてきました。最も得意とするのが取引先様ごとのオリジナル麺の開発です。小麦粉の特徴や麺の長さ、太さ、ストレートやちぢれ、もみ、加水率などの形状まで、店舗にあった商品を開発しご提案しています。店主様の意向を反映させ、スープとの相性なども確認しながら納得のいくまで試作を繰り返し、いわば取引先様との二人三脚でオリジナル麺を作り上げるのです。

カネジン食品株式会社:工場

今では500種類以上の麺を取り扱い、北海道から沖縄まで全国の取引先様にご愛用いただいています。自社の工場ではHACCPとISO22000認証を取得して品質や衛生管理を徹底し、シンガポール、タイ、香港と海外進出してきました。

 

カネジン食品株式会社 東京営業所 営業事務課 課長 御子芝 仁 氏
カネジン食品株式会社
東京営業所 営業事務課
課長 御子芝 仁 氏

私は営業事務を担当しています。前職では食品通販会社のシステム管理を担当していたのですが、ネット経由の受注とコールセンターによる電話受注では大きな差があると痛感しました。インターネットでのデータ受注は何万件もの注文を一瞬で処理できる一方、コールセンターにかかってくる電話やハガキ、FAXでの受注は1件1件すべて人の手で処理するため、時間や効率に圧倒的な差がありました。

10年ほど前にカネジン食品に入社した当時は受発注システムを何も使っていませんでしたから、8~9割が電話やFAXでの受注でした。入社当時は毎朝6時に出社し、取引先様からの留守番電話を50件ほど確認するのが仕事でした。中には聞き取りづらい音声もありますし、当社ではレギュラー麺といわれている商品名を取引先様によっては細麺だったり、つけ麺を太麺と呼ばれることもあり、ベテラン社員に確認しながら業務を進めていました。

ほかにもFAX注文書の「送った、送っていない」問題や、受注ミスによる再配達で配送コストがかさむなど、アナログ受注には多くの課題がありました。ラーメン店にとって麺は毎日必要になるものなので、バイク便や新幹線、時には空輸で再配達したこともあります。

人間ですから、ミスは必ず起こりうるものです。しかし一昔前なら根性論で片付けられたそのような苦労も、デジタル化の時代には本当に必要な業務なのかと疑問に思っていました。それが現場のストレスになっているのであれば、組織として解決すべきだと考えていったのです。

LINEによる発注に、ほとんどの取引先が賛同

【Q】受発注システム『TANOMU』を導入した決め手は何ですか?

2023年8月時点で、受注の61%が電話とFAX、22%がインフォマート、17%がEDIなどその他のツールでした。電話・FAXでの注文は伝票にして1カ月あたり約6000件分、1日にすると約200件あったのです。これをデジタル化すれば現場の負担が軽減できると考え、いろいろなアプリを検討しました。

TANOMU』に決めた理由は、取引先様がLINEを使って発注する点です。LINEはほとんどの方が利用しているので、使い方にご負担なく、今までの電話やFAXよりも楽にご注文いただけると思いました。

『TANOMU』はLINEだけでなく、スマホやパソコン、タブレットのWebブラウザからも発注できますし、どうしてもFAXがいいという取引先様にもFAX-OCR機能というFAX紙面をデジタル処理することで対応できます。さらにお取引先様が無料で使えるのは素晴らしいですね。

図表:受発注システム『TANOMU』を使った発注・受注方法
受発注システム『TANOMU』を使った発注・受注方法

アナログ受注の99%をデジタル化、1日2時間分のコストカット

【Q】受発注システムの導入効果はいかがですか?

電話とFAXで受けていた注文は61%ありましたが、60%を『TANOMU』での受発注に移行できました。1カ月あたり約6000件分の伝票処理をデジタル化できたことになります。

グラフ:カネジン食品による受発注システム『TANOMU』導入前後の受注方法割合
カネジン食品による受発注システム『TANOMU』導入前後の受注方法割合

以前は受注担当が5名で6時間ほどかかっていましたが、今では4名で4時間ほどで処理できるようになりました。受発注システムの費用対効果を考えてもメリットは出ました。現在は生まれた時間を有効活用し、受注以外のさらなるDXやデータ分析を進めているところです。

そして営業部からは「取引先様からの注文確認の連絡が来なくなった」「毎朝、受注業務のために早出しなくてよくなった」などの声もあります。受発注に関するトラブルが減り、従業員はリラックスして気持ちよく働けるようになりました。『TANOMU』の操作マニュアルの更新や管理は、『TANOMU』のサポートセンターでだいたい事足りているので負担も少なかったです。

【Q】取引先様への発注方法の変更は、どのように案内されましたか?

TANOMU』では、取引先様ごとに専用のログイン用チラシを印刷する機能があります。そこにQRコードがついており、登録方法がわかりやすく解説されているので、当社が説明する前にQRコードを自分で読み取って登録してくださった取引先様も多かったです。中にはどうしても電話で発注したいという取引先様もいましたが、営業からの再案内で『TANOMU』でスムーズに発注いただいています。

受発注システムの導入は押し付けにも思われますが、取引先様にもメリットがあることをご納得いただいたのがよかったです。なんといっても、取引先様が無料で簡単に使える発注ツールですから、その利便性を丁寧に説明すればご理解いただけると思っています。我々の意思を理解してくださった皆様には、本当に感謝しています。

さらなるデジタル化を進め、取引先様だけでなく社員にも還元したい

【Q】DX成功のポイントは何でしょう?

(右)フード事業部公式キャラクター エコジカ
(右)フード事業部公式キャラクター エコジカ

当社のDXは、今まで常識だと思っていた業務、たとえば朝6時から1日50件の留守電を書き起こし、1日50枚のFAXをチェックするなどの “当たり前” を疑うことから始まりました。現場の負担となっていた電話やFAXの受注業務に対し、このムダをなくして、従業員に楽をさせたいといった思いからです。それには何らかのデジタルツールを活用しない限り、会社の発展はありません。私だけでなく社員全員が同じ気持ちで、同じ目標に向かって一丸となったのがよかったと思います。
    
今後は空いた時間で、DXのD(デジタル化)だけでなくX(トランスフォーメーション=業務改善)のフェーズを推進していきたいですね。仕入れや在庫、入金処理のデジタル化を進め、ゆくゆくは製造管理のデジタル化にも取り組みたいです。創意工夫と知恵で、大切な取引先様はもちろん、社員がストレスない環境で働けるよう還元していくつもりです。 

カネジン食品株式会社

設立: 1983年10月
事業内容:麺類製造卸
代表者:金野 仁
本社所在地:北海道札幌市東区北28条東8丁目2-26
公式ホームページ:https://kanezin.co.jp/

 

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