多店舗展開に必要なのは現場の負担削減。CKとコストのIT管理で、現代モデルを作る~ラーメン東大

飲食・宿泊2021.02.09

多店舗展開に必要なのは現場の負担削減。CKとコストのIT管理で、現代モデルを作る~ラーメン東大

2021.02.09

多店舗展開に必要なのは現場の負担削減。CKとコストのIT管理で、現代モデルを作る~ラーメン東大

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ラーメン店は、コロナ禍で倒産が相次いだ業態のひとつでもある。だが打撃を受けつつも客足を取り戻し、一部店舗の売上が前年比を超えた企業が、徳島の株式会社東大だ。徳島ラーメン専門店「東大」「麺王」ブランドを、直営とフランチャイズチェーン(FC)の2本柱で運営。中国・四国・関西エリアに29店舗展開し、アメリカにも2店進出している(2021年1月現在)。

店舗が増えるにつれ業務の標準化・効率化を意識するようになり、CK(セントラルキッチン)と現場の管理業務などでシステムを導入。店舗運営のパッケージ化は多店舗展開の推進力となった。代表取締役の内藤健太郎氏は今、ニューノーマル時代に全国区で戦う、新たなラーメン店へのモデルチェンジを見据えている。

目次

29店舗展開する徳島ラーメン専門店

【Q】徳島ラーメンの特徴を教えてください。

東大 徳島ラーメン

いわゆるご当地ラーメンの一種で、わかりやすく「すき焼きみたいなラーメン」と紹介されることもあります。

いくつかの系統で細かな違いはありますが、スープは主に鶏ガラも使ったとんこつ醤油が主流で、甘辛く煮付けた豚バラ肉と生卵をトッピングするのが特徴です。

フードテーマパーク新横浜ラーメン博物館のオープンなど、1990年代後半から2000年代は全国的にご当地ラーメンブームが起きました。徳島ラーメンもその流れで注目されるようになった存在です。「東大」1号店のオープンは1999年、ラーメン界の頂点を目指すという思いを屋号に込めました。

代表取締役 内藤健太郎氏

当時、徳島ラーメンの知名度はまだ低かったものの、高いポテンシャルを感じていたんです。

この味を県外に広めればきっと喜んでいただける、もっと徳島のラーメンを知ってもらいたいという思いで、全国のイベントへ参加したり県外へ出店したりと認知度を高め、成長してきました。玉子やスープをとる骨など、地元のものが使える材料はほぼ徳島産を使っています。

【Q】多店舗展開されていますが、味の安定はどのようにはかっていますか?

直営店16店舗、FC店13店舗の29店舗を運営しています(2021年1月現在)。複数店舗になるとどうしても味のばらつきは出てくるので、ある程度店舗が増えた段階で、セントラルキッチンを導入しました。スープを大量に作って冷凍し、各店舗へ配送しており、店内での炊き立てとそん色のない味を保つことをポリシーとしています。

ラーメンファンのお客様の中にはセントラルキッチンにあまり良いイメージをお持ちでない方もいらっしゃいますが、コストを優先せず手間もかければ味を落とさず提供できます。それに、現場の従業員にかかる負担もまったく違うんです。

それまでスープづくりは店内の大きな寸胴鍋で12時間ほどかけて炊く長時間の重労働でしたが、今は冷凍したものを炊き込んで味をなじませるオペレーションです。1時間ほどですむし、力仕事もないので圧倒的に楽です。女性でも何の問題もなくでき、実際に女性店長も複数います。

【Q】飲食業の中でもラーメン業態は求人が難しいとの声もあります。

我々の場合、そこまで人手不足という状況にはないですね。確かに他業態に比べると長時間労働の傾向はあり、求人に課題がないとはいえません。

ただ、ひと昔前は当たり前だったような、たくさん働いてたくさん稼ぐ、店長の勤務時間は毎月300時間近くといったスタイルが通用する時代でもありません。

社員が長年働いて40代、50代になれば、体力も落ちてきて若い時のような無茶はできませんよね。ずっと継続して働いてもらうためにも、労働時間は徐々に減らしており、今は店長も社員も勤務時間に差異はありません。

【Q】労働環境の改善策として、どのような取り組みをされてきましたか?

セントラルキッチン化にもその効果はありますし、店舗管理のパッケージ化もあげられます。2010年前後から徐々に店舗管理システムの導入や、勤怠管理に指紋認証の採用、店舗に防犯カメラ設置など、現場の管理運営をしやすい仕組みをつくり、店長や現場の負担を削減してきました。受発注業務にインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入したのもその一環です。

ちょうどFC店が増えてきた時期で、9店舗目を出店したタイミングです。今後の多店舗展開を考えるなら店舗管理のパッケージ化は必須でした。特にラーメン業態は居酒屋などに比べると取り扱うアイテム数が少ないぶん、1品目ごとの使用量のズレが利益率に大きく響きます。仕入れ数量や金額を正確に記録して、どんぶり勘定に陥らないロス管理が必要なのです。

棚卸機能で正確な原価率を算出し、ロス管理に活用も

【Q】受発注システム導入の効果はいかがですか?

もはや、あって当たり前になっているので、ない状態が考えられないくらいです。現場の労働時間の短縮、棚卸の管理、発注ミスの防止などのほか、正確なロス管理ができました。

「棚卸機能」を使って算出した理論原価と、実在庫の差異を見ています。システム導入前は棚卸自体できず、仕入だけで材料費を見ていましたが、システム化でより正確に材料費がわかるようになりました。

また、本部の業務効率も向上しました。店舗管理システムの売上データと『BtoBプラットフォーム 受発注』の仕入データを連携させて、毎日原価を確認しています。大量の伝票を処理することなく仕入先ごとに月ごとの仕入金額が集計できるので、経理業務の負担も軽減しています。

徳島ラーメンを全国区へ。のれん分け制度で早期独立を後押し

【Q】 今後の展望をお聞かせください。

まだ出店していないエリアへの進出は目指していますし、FC店舗も増やしていきたいです。特に「麺王」は一般的なFCと、のれん分けの2本柱でオーナーを募集しているのが特徴です。

のれん分け制度は、弊社の店長として最低3年以上経験を積んでいただくことで、店舗をそのままお譲りするシステムです。店舗の設備・人材も引き継げますし、何より実際に安定経営してきた店舗ですから、一から新店舗で開業するよりも各段にリスクが少ないのが利点です。

当社が連帯保証人になるので、独立資金を一切用意せず開業できますし、万が一閉業する際は店舗を引き取りますので、負債を抱えてしまう心配もありません。のれん分け制度があるラーメン店はいくつかありますが、「麺王」はその中でもローリスクで早期独立できるブランドです。

コロナ禍でラーメン店の倒産が相次いだのは報道にあったとおりです(帝国データバンク「ラーメン店の倒産、初の年間40件超えで過去最多 コロナ禍で客足戻らず厳しさ浮き彫りに」)

我々の店はチェーン店ではありますが、店舗によってメニュー構成を変えて、評判が良いものは積極的に他店舗にも落とし込む試みをはじめました。おかげで少しずつお客様も戻ってきており、ロードサイド店では昨対比100%を超える店舗も出ています。

しかし、同時にこれまでどおりの経営を続けるだけではダメだという想いも、強く持っています。「東大」「麺王」で培ってきた徳島ラーメンのこだわりは持ちつつも、今後は全国的な有名ブランドと同じ土俵で戦えるモデルにも挑戦していこうと考えています。我々の情熱と思いを共にし、新しい時代を切り拓いていく推進力のある方と手をとりあって、コロナショックを乗り越えていきたいですね。


BtoBプラットフォーム受発注

株式会社 東大

本社所在地:徳島県徳島市東沖洲一丁目5番地6
事業内容:徳島ラーメン専門店の経営、地域文化貢献事業等、商品開発、飲食商品の開発および販売
公式ウェブサイト:http://ramen-todai.com/

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