「食器は見た目にも美しいので、飾り棚をつくって店内のディスプレイとしても活用しています。店で食器の販売も行っていますので、その場で買って帰られる方もいらっしゃいます。例えば玉川堂さんなどは店舗の方にも、レストランで使ってみて良かったから来たよ、という方が増えているそうです。特にこれまで食器などに興味がなかった若い子たちがファンになってくれることもあり、店を通じて新しい価値を知ってもらえたのかなと、嬉しくなりますね」
「居酒屋甲子園」優勝の秘訣
燕三条の魅力を発信する店という強いコンセプトを打ち出した『燕三条イタリアンBit』。しかしそれだけで人気となったわけではない。料理や接客の面でも高い評価を得ている。そのきっかけとなったのが居酒屋甲子園(※)への出場だ。同店は2014年に初出場し、2015年にオープンからわずか2年で優勝を果たした。その秘訣はなんだったのだろうか。
※居酒屋甲子園とは、2006年から始まった外食を活性化することを目的にしたイベント。参加する飲食店は自店の想いや取組みを発表する。会場入場者全員の投票と招待審査員を含む審査員の投票によって日本一の店舗が決定する。
「やっていることは本当に簡単です。例えば、『入口と出口』を大事にしています。お客様をお迎えする際の『いらっしゃいませ』、お客様が帰る際の『ありがとうございました』という言葉。できれば店長か、店の一番愛嬌の良いスタッフが、この挨拶を徹底する。たったそれだけのこと、と思うかもしれませんが、忙しいとなかなかできていなかったり、なおざりにされていたりします。すると、同じ料理やサービスを提供していても、お客様の印象は全然違ってくるのです」
他にもトイレチェックを、満席時には15分、普段でも30分ごとに行ったり、ファーストドリンクはオーダーから1分以内に提供したりと、確かに燕三条イタリアンBitがやっているのは、どれも飲食店経営の教科書に出てくるような、基本的なことばかりだ。
しかし、そのひとつひとつを意識して漏らさず着実にできている店というのは、意外と少ないのかもしれない。さらに同店ではオープン後からすぐに、居酒屋甲子園での優勝を目標に掲げ、居酒屋甲子園に向けて一緒に取り組むことで仲間意識を共有していったという。そして毎日、自分だったらどうして欲しいかっていうことを考えながら、意見を出し合い改善を繰り返していった。