【開催レポート】味の素株式会社「認知機能維持」サポートソリューションに関する発表会

掲載日: 2021年06月24日 /提供:味の素

~アミノ酸のはたらきで切り拓く「認知機能維持」最前線~

 味の素株式会社(社長:西井 孝明 本社:東京都中央区)は、5月19日(水)に、「認知機能維持」サポートソリューションに関する記者発表会をオンライン配信にて開催しました。  



(左から)
味の素(株) 取締役社長 最高経営責任者 西井孝明
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長 荒井 秀典先生
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医学研究所 脳機能イメージング研究部 部長 樋口 真人先生
味の素(株) アミノサイエンス事業本部 ダイレクトマーケティング部長 田代 淳一

 本発表会では、当社が目指す、食のちからとアミノ酸による認知機能維持に関する健康課題解決についての取り組みを発表しました。
 はじめに、当社取締役社長 最高経営責任者 西井より本事業取り組みの背景や今後の方針について説明しました。次に、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長 荒井先生と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門量子医学研究所 脳機能イメージング研究部 部長 樋口先生にアミノ酸の重要性などについて解説いただき、最後に当社アミノサイエンス事業本部 ダイレクトマーケティング部長 田代より認知機能維持をサポートする事業展開について説明しました。

<開催概要>
■名 称:味の素株式会社「認知機能維持」サポートソリューションに関する発表会
     ~アミノ酸のはたらきで切り拓く「認知機能維持」最前線~
■登壇者:味の素(株) 取締役社長 最高経営責任者 西井 孝明
     国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長 荒井 秀典先生
     国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
     量子生命・医学部門量子医学研究所 脳機能イメージング研究部 部長 樋口 真人先生
     味の素(株) アミノサイエンス事業本部 ダイレクトマーケティング部長 田代 淳一


主催挨拶
味の素(株) 取締役社長 最高経営責任者 西井 孝明

◆味の素グループが目指すビジョン
味の素株式会社が目指す、食のちからとアミノ酸による認知機能維持に関する健康課題解決について
 当社は、「アミノ酸のはたらきで食習慣や高齢化に伴う食と健康の課題を解決し、人びとのウェルネスを共創」することをビジョンとし、2030年までに1.世界中で10億人の健康寿命を延伸 2.事業を成長させながら、環境負荷を50%削減させることを達成すべき数値目標といたします。世界の人々の食と健康にかかわる生活習慣改善をサポートすることに企業の活動を集中し、ビジョンを実現するために食とヘルスケアに関する知見と技術を有する当社だからこそ可能なソリューションを提供してまいります。


味の素(株) 取締役社長 最高経営責任者 西井 孝明
 「健康寿命の延伸」に着目すると、超高齢社会に突入した日本では高齢化率がその後も年々上昇し、2025年には3人に1人が65歳以上になると推計されています。
 高齢化の進行に伴い生活者の抱える健康課題も変化し、将来の認知機能・記憶力の低下に不安を抱えている生活者が多く存在しています。同時に、認知機能低下に伴う社会的コストの増加も想定され、この負担を減らしていくことも社会として求められています。

 当社ではこれまでアミノ酸の働きを活用し、栄養面、健康面といった人間の生きる根幹にかかわる領域を中心にサポートしてきました。今後もアミノ酸が役立つ範囲を広げ、中でも「認知機能維持」のサポートに貢献していくことを目指し、「脳の健康」というテーマを立ち上げ、当社全体のビジョンや戦略を検討してまいります。
 また、「リスクを知る」「生活習慣を改善する」「サプリを摂取する」という重要なシーンで
グループの強みを活かしたサービスを提供し、当社ならではの「食とアミノ酸」で
認知機能維持をサポートするソリューションを進化・加速させ、人びとのウェルネスを共創してまいります。



食事(アミノ酸)と認知機能の関係について
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長 荒井 秀典 先生

◆認知機能低下と生活習慣の関係について
 認知機能低下の原因は脳内で20~30年かけて起きているということが報告されています。認知機能が低下するリスクの1つに日常生活の乱れも関与していることが報告されており、早期から日々の食事、運動、睡眠の生活習慣を整えることが重要と考えられます。

発表資料より
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 理事長 荒井 秀典 先生


◆認知機能に関連する栄養素について
 60歳以上の方を対象とし、食品摂取の多様性と、認知機能低下のリスクの関連について検討した研究では、食品摂取の多様性が低い(いろいろな食品を食べていない)グループに比べ、高い(いろいろな食品を食べている)グループでは、認知機能低下のリスクが低下することが分かりました。このことからも、偏った食事ではなく、いろいろな食品を摂取することが認知機能の維持の観点から重要といえます。


 食事の栄養素レベルと認知機能の関係について、三大栄養素の1つであるたんぱく質の摂取に関しても、認知機能と関連する研究結果が複数報告され、日々のたんぱく質の摂取は認知機能の維持の観点からも重要なことが示唆されています。

 また、たんぱく質を構成しているアミノ酸に関して国立長寿医療研究センターと味の素社で共同研究を実施した結果、認知機能の維持のためには、たんぱく質摂取量によらず、リジン、フェニルアラニン、スレオニン、アラニンのアミノ酸の摂取が重要ということがわかりました。



出典: Kinoshita K, et al., J Nutr Health Aging, 2021; 25(2): 165-171.
調整:性、ベースライン時の年齢、BMI、教育年数、既往症(高血圧、脂質異常症、糖尿病、脳血管障害、虚血性心疾患)、抑うつ状態(CES-D)、MMSE得点、総たんぱく質摂取量


◆認知機能維持のためのポイント
■認知機能の維持のためには、食事を含む生活習慣の改善が重要
■認知機能の維持のためには、食品摂取の多様性、バランスの良い食事が重要
■栄養素レベルでは、たんぱく質の摂取は認知機能の維持の観点からも重要と考えられる
■たんぱく質摂取量と独立して摂取が重要なアミノ酸がある可能性が示唆された
             ▼
認知機能の維持のためには、たんぱく質や特定のアミノ酸の摂取も意識し、適切な食習慣を継続することが重要


7種必須アミノ酸と認知機能維持の関係について
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門量子医学研究所
脳機能イメージング研究部部長 樋口真人先生

◆認知機能とは
記憶力に加え注意力や実行力など複数の高次脳機能も認知機能に含まれています。日常生活ではよくある、物事を同時に行うという能力も認知機能の一部です。「認知機能の低下」というのは、ある日突然起きるのではなく、数十年以上にわたる脳内変化の蓄積によるものです。認知機能低下の症状が出る場合は、神経細胞死がすでに起こっている状態であるため、いかに早期から対応できるかということが重要になリます。
参考:Suzuki H, et al., (2020) Front. Nutr
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構  量子生命・医学部門量子医学研究所 脳機能イメージング研究部部長 樋口真人先生


◆脳におけるアミノ酸の役割
 脳は神経細胞が集まっている部分に連絡をとることで機能を発揮しています。必須アミノ酸は、脳の神経伝達物質のもととなっており、脳機能維持・改善をする可能性がありますが、体内では合成されないため、意識的に摂取することが必要となります。
 研究の結果、9種類ある必須アミノ酸の中でも脳の神経伝達物質の「素」になる重要なアミノ酸として7種必須アミノ酸〔ロイシン、フェニルアラニン、リジン(塩酸塩として)、イソロイシン、ヒスチジン(塩酸塩として)、バリン、トリプトファン〕の最適配合をつきとめました。

◆7種必須アミノ酸「Amino LP7」について
 認知機能に関するアミノ酸の重要性についての基礎研究で、アミノ酸から構成されているたんぱく質を食事から減らしたところ、記憶・学習能力の低下が見られました。一方で神経伝達物質の素となる必須アミノ酸7種から構成される「Amino LP7」 *の摂取により、記憶・学習能力は、有意な低下が見られないことがわかりました。
 また、脳萎縮への効果を検証した基礎研究においても、 「Amino LP7」の摂取により認知機能の低下に関与していると思われる、神経細胞死により引き起こされる脳の萎縮が統計的有意に抑制されたということがわかりました。これは、脳萎縮の前段階である脳内での炎症の原因に関わる物質の1つであるキヌレニンという物質の流入を抑制し、脳内炎症を抑制する可能性があるためです。
*ロイシン、フェニルアラニン、リジン(塩酸塩として)、イソロイシン、ヒスチジン(塩酸塩として)、バリン、トリプトファン
また、人を対象とした臨床研究においても、注意機能(分配的注意・転換的注意)と認知的柔軟性(外部からの情報等の刺激に対して考え方を柔軟に変える力)の改善、また精神的健康状態(明るく楽しい気分、意欲的・活動的な状態など)の向上が確認されました。

基礎研究の結果
■7種必須アミノ酸「Amino LP7」を摂取することにより、学習・記憶能力の低下を抑制する。
■7種必須アミノ酸「Amino LP7」はキヌレニンの脳内への流入を抑制する。
 そのメカニズムによって脳の炎症を抑え、萎縮を抑制させる可能性がわかった。
7種必須アミノ酸「Amino LP7」が認知機能維持および精神面の健康維持に寄与すると考えられる。

臨床研究の結果
⇒ 「Amino LP7」を摂取することにより、注意機能(分配的注意、転換的注意)と認知的柔軟性が改善し、精神的健康が向上すると考えられる。
             ▼
「Amino LP7」の認知的柔軟性、注意機能(分配的注意、転換的注意)、精神的健康状態への有効性を確認


認知機能維持をサポートする事業展開について
味の素(株) アミノサイエンス事業本部 ダイレクトマーケティング部長 田代 淳一

◆食と健康の課題解決企業として、?認知機能維持“に注力 『アミノ酸について』

発表資料より
 私たちのからだの約60%は水分で、残り40%のうち半分(20%)はたんぱく質でできており、そのたんぱく質は20種類のアミノ酸の組み合わせでできています。筋肉や髪の毛、爪、皮膚、さらには血液、ホルモン、免疫なども、すべてたんぱく質で構築されているため、結果として私たちのからだはアミノ酸がなくては成立しないのです。
 私たちはたんぱく質を、そのままの形ではなく、胃や腸で分解してアミノ酸として体内に吸収しています。そして、吸収されたアミノ酸は血液によって全身の細胞へ運ばれ、そこでアミノ酸どうしが繋がって、必要なたんぱく質に再合成されます。

◆独自の「認知機能維持サポートソリューション」について
当社は高齢化社会の課題である認知機能維持に向け、自社で持つリソースを活用して生活習慣を改善するサービスを拡充いたします。


味の素(株) アミノサイエンス事業本部 ダイレクトマーケティング部長 田代 淳一
生活習慣を改善する
独自開発のアプリを通じ、脳機能に必要な栄養素やそのバランス状態を把握し、認知機能の観点で理想的な生活習慣に向けて個別アドバイスを行う
⇒「100年健脳手帳™」
リスクを知る
血液中のアミノ酸濃度バランスから、現在の認知機能が低下している可能性を評価
⇒「アミノインデックス(R)」
サプリを摂取する
神経伝達物質のもととなる7種必須アミノ酸を摂取することで、認知機能の一部の維持をサポート
⇒「脳活セブンアミノ」

◆新製品「脳活セブンアミノ」(機能性表示食品) 【届出番号F803】


 脳の神経伝達物質のもととなる7種必須アミノ酸*を主成分として認知機能の一部の維持をサポートする新たなビジネスモデルの主力製品として誕生したのが「脳活セブンアミノ」です。「脳活セブンアミノ」は加齢によって衰える認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。記憶力の衰えが気になる健康な方にお勧めの、7種必須アミノ酸による日本初の機能性表示食品です。

*ロイシン、フェニルアラニン、リジン(塩酸塩として)、イソロイシン、ヒスチジン(塩酸塩として)、バリン、トリプトファン

■対 象 者  :記憶力の衰えを感じている健康な中高年の方
■発 売 日  :2021年5月25日(火) 新発売
■価   格  :本製品 9,720円/60本(税込)
■味・形 状  :アセロラ味/くちどけの良い顆粒
■飲 み 方  :1日2本を目安に、水などと一緒にお飲みください。
■販売チャネル :味の素ダイレクト(自社通販) https://direct.ajinomoto.co.jp/

◆100年健脳手帳™(パーソナル栄養アプリ)


 「100年健脳手帳™」は、認知機能維持の観点から、食・運動・睡眠のライフログを「独自アルゴリズム」で評価することにより個々人の状態に応じたソリューション(アドバイス、レシピ等)を提案し、将来の認知機能の維持をサポートするアプリです。食事、運動、睡眠のデータから、認知機能キープスコアを算出します。生活習慣の改善に向けて、認知機能の維持に必要な栄養素を摂取できる食事メニューも提案します。

■サービス提供形態 :iOS対応
■価     格 :無料
■エ ビ デ ン ス :日本人の食事摂取基準、論文情報、 国立長寿医療研究センターと弊社の共同研究がベース
■サービス提供地域 :日本
■アプリ紹介サイトおよびQRコード:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/rd/brainhealth

◆認知機能維持に必要な栄養素が摂取できる食事メニュー例
 大きく「今を知る」そして「対策を知る」という2軸で構成しており、エビデンスベースで作り上げた当社独自のアルゴリズムにより将来の認知機能を健康に維持するため、現在の生活習慣を将来の認知機能の視点で可視化します。それにより、個々の状態にあったアドバイスや認知機能の観点で必要な栄養素が摂取できるレシピを提案します。

■さばとゴロゴロ野菜の絶品汁

《ポイント》
アラニン、ビタミンB12、多価不飽和脂肪酸の摂取に おすすめのレシピ



■たらのアクアパッツア

《ポイント》
ビタミンB12の摂取におすすめのレシピ


【参考】aminoステップ™(生活改善サポートアプリ)


「aminoステップ™」は、2021年4月よりサービスを開始した「アミノインデックス(R)」に関連するアプリです。
 チャット形式の健康相談機能や、ウォークラリー、ヘルスケアに関するクイズ機能など、ゲーム形式で楽しみながら健康維持につなげる機能、生活改善をサポートする情報提供や検査結果の記録・管理等を提供していきます。



■サービス提供形態 :iOS向けアプリ、Android向けアプリ
■価     格 :無料(アプリ内一部有料サービスあり)
■サービス提供地域 :日本
■アプリ紹介サイト :https://mypage.aminoindex.jp/


登壇者プロフィール




味の素株式会社
取締役社長 最高経営責任者 西井 孝明


大学卒業後、味の素(株)入社。
2002年から人事を担当し、味の素冷凍食品(株)取締役家庭用事業部長を経て、
2009年から味の素(株)人事部長。2011年執行役員に昇格。
2013年から取締役常務執行役員ラテンアメリカ本部長兼ブラジル味の素社社長として、現場主義でブラジルの商店を回った。2015年6月より現職。



国立研究開発法人
国立長寿医療研究センター 理事長 荒井 秀典先生


大学院医学研究科博士課程を修了後、京都大学医学部附属病院内科、文部科学省研究振興局学術調査官、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授などを経て、2019年4月より現職。
高齢者の健康増進から多病で複雑な高齢患者のマネジメント、さらには人生の最終段階の医療まで、幅広い領域に対する診療活動を行っている。
専門領域は老年医学、サルコペニア、フレイル、動脈硬化学、脂質異常症。
  現在は日本学術会議 会員(第二部)としても従事。



国立研究開発法人
量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門
量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部 部長 樋口 真人先生


医学博士。2019年4月より現職。
心や認知といった脳の働きを、分子の働き、回路の働きとして画像で明らかにする技術を開発しており、「脳の働きを目に見える形に」する研究に取り組んでいる。精神・神経疾患における分子診断指標やイメージングバイオマーカーを確立して新しい薬や治療法の開発に貢献するアプローチを行っている。



味の素株式会社
アミノサイエンス事業本部 ダイレクトマーケティング部長 田代 淳一


大学卒業後、味の素(株)入社。札幌支店、食品部、健康事業開発部、味の素ノースアメリカ社、ウェルネス事業部、アミノ酸部を経て、2020年7月より現職。


【味の素グループについて】
 味の素グループは、“アミノ酸のはたらき”で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指しています。今後も当社グループは、認知機能低下リスク低減に取り組み、健康寿命の延伸に貢献します。
 私たちは、“Eat Well, Live Well.”をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現してまいります。
 味の素グループの2020年度の売上高は1兆714億円。世界35の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼります(2021年現在)。詳しくは、www.ajinomoto.co.jpをご覧ください。

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