帝国データバンクは、「洋菓子店」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
「街の洋菓子店」で倒産増 過去最多ペース 「甘くない」原材料の価格高騰 輸入チョコは5年で2倍
集計期間:2024年5月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は下記ホームページにも掲載予定
https://www.tdb.co.jp/report/index.html
街の洋菓子店で倒産が急増している。「街のケーキ屋さん」を中心とした洋菓子店の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は5月までに計18件発生した。2000年以降で最も多かった19年・49件を上回るペースで増加している。洋菓子店の倒産は閑散期となる夏以降に増加しやすく、24年通年の倒産件数は過去最多を更新する可能性もある。
洋菓子店の倒産が急増した2019年は、コンビニなどの安価で手軽なスイーツとの競争激化に耐えられず、市場からの退出を余儀なくされたケースが多かった。しかし、23年以降は砂糖や生クリームなど、洋菓子づくりにおける原材料のほぼすべてで発生した値上げラッシュに耐え切れず、事業継続をあきらめたケースが目立つ。なかでも飾りつけなどに欠かせないチョコレートは、カカオ豆の不作に加えて円安の影響も加わり、欧州産など輸入品の平均価格は5年前に比べ価格が約2倍に上昇した。昨年の猛暑で収量減が目立ったフルーツも、全体の平均価格で5年前比1.4倍に値上がりした。価格が落ち着きつつあるのは、鳥インフルエンザによるダメージから回復した鶏卵などわずかにとどまる。原材料価格の上昇のみならず、電気代のほか、アルバイトなどの人手不足や人件費増も重なった。こうしたコストアップが続く一方、客離れへの懸念から十分に価格転嫁できたケースは少なく、やむなく店を畳む決断をしたケースも多かったとみられる。
足元では輸入レーズンや小麦粉など一層のコスト増が見込まれる食材もあり、原材料の値上げラッシュは当面見込めない状況が続く。使用する原材料の見直しや価格改定・値上げなど、変化する経営環境に対する街の洋菓子店の対応力が問われている。