「サスティナブルな社会の実現」をミッションに掲げるフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN株式会社(埼玉県富士見市、代表取締役:加納 千裕 以下ASTRA FOOD PLAN)は、2月27日 (火) に、産官学で地域の循環型モデルを目指す「埼玉 食 のサーキュラーエコノミープロジェクト(※1)」の一環として、埼玉県富士見市内の小中学生を対象に「かくれフードロス」削減に向けた食育プログラム(以下、本プログラム)を実施いたしました。 本プログラムでは、女子栄養大学の学生と富士見市学校給食センターが共同開発した『ぐるりこ(R)(※2)』を使用した給食が市内の小学校11校約6000名と中学校6校約2600名に1日限定で提供され、食事をしながら「かくれフードロス」について学ぶことができる教材を配布しました。また、ASTRA FOOD PLAN代表の加納の母校である埼玉県富士見市立諏訪小学校の小学5年生約120名に対しては、科学技術の発展と地球貢献の実現を目指す株式会社リバネス(東京都新宿区、代表取締役 グループCEO:丸幸弘)と連携し、科学実験を用いた特別授業を実施いたしました。
(※1)「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト」とは
埼玉県内でこれまで廃棄されてきた規格外農作物や、食品工場で発生する野菜端材などを当社の技術によってパウダー化し、埼玉県内の大学、事業者、自治体、商工会と連携して商品化することによって、地域の食の循環型モデルを作る産官学の取り組みです。2023年7月から2024年2月までの期間の埼玉県の補助事業です。
▼「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクトに関するプレスリリース」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000099210.html
(※2)『ぐるりこ(R)』とは
規格外農作物や野菜の端材等を過熱蒸煎機で乾燥・粉末化した食品パウダーの総称。栄養価が高く、香りやうまみが凝縮さ れているのが特徴です。『ぐるりこ(R)』は特許庁商標登録済み商標です。6723114号
実施背景
文部科学省の「学校における食育の推進・学校給食の充実(※3)」によると、食を通じて地域等を理解することも食育の目的の一つとされています。特別授業や給食を通して、埼玉県でも「かくれフードロス」が発生していることを知ってもらうことや、『ぐるりこ(R)』が入った給食を美味しく食べることもSDGsの取り組みに繋がっていることを伝えたいという思いから、本プログラムを実施しました。
(※3)「学校における食育の推進・学校給食の充実」
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/index.htm
諏訪小学校で実施した食育プログラム
【講義】「かくれフードロス」とは・食品保存の科学
【実験1.】過熱水蒸気をつくってみよう
【実験2.】野菜パウダーを比較してみよう ~過熱蒸煎 vs 熱風乾燥~
【講義】過熱蒸煎機の発明ストーリー『ぐるりこ(R)』について
【ワークショップ】身近に隠れたもったいないを探そう
当日の様子
■科学実験を用いた特別授業
「かくれフードロス」についての講義での導入から、この問題を科学技術で解決している会社がある、と繋げ、過熱蒸煎機の「水の力で乾燥する」原理を学ぶための実験を、コーヒー缶やろうそくなど身近な物を使って行いました。
コーヒー缶の中の水を沸騰させ、キャップに刺した針から出てくる水蒸気をろうそくでさらに加熱して過熱水蒸気を発生させます。白い湯気から過熱水蒸気に変わると、目に見えない透明の気体になります。過熱水蒸気で紙を焦がしたり、マッチに火をつける実験を行い、マッチに火がついた際は子ども達から歓声が上がりました。
また、熱風乾燥と過熱蒸煎した野菜のパウダーを比較・観察する実験では、過熱水蒸気で乾燥させた『ぐるりこ(R)』の野菜の色や香りの良さを感じてもらいました。
■女子栄養大学の学生が考案した『ぐるりこ(R)』を使用した給食メニュー
小学校では、規格外品のにんじんから作られた「ニンジンぐるりこ」を使用した「にんじんパン」と、食品工場で発生したごぼうの端材から作られた「ゴボウぐるりこ」をソースにした「白身魚のごぼうマヨソースかけ」が提供されました。子ども達からは、「にんじんが苦手でも食べられた」「ごぼうの味がしっかり感じられる」「ほかのぐるりこも食べたい」といった感想がありました。
中学校では、小学校と共通の「にんじんパン」と、「タマネギぐるりこ」をソースに使用したハンバーグの提供が行われました。
■「もったいない」「かくれフードロス」を楽しく学ぶ教材を配布
市内の中学2年生約870名と小学5年生約980名に、循環型フードサイクルの構築を目指す当社の取り組みや「かくれフードロス」についてまとめた教材を配布し、美味しく、楽しく社会課題を学ぶ機会を提供しました。給食を食べながら読むことができるように、折って三角柱に立てられる形で提供しました。
株式会社リバネスのコメント
リバネスが主催する、未解決の課題“ディープイシュー“を科学技術の集合体“ディープテック“で解決する、アジア最大のリアルテックベンチャーエコシステム「テックプランター」の「フードテックグランプリ2022」に、ASTRA FOOD PLANがファイナリストとして選出されたことをきっかけに、ASTRA FOOD PLANの目指す世界観に共感し、本プログラムへ参画が決まりました。今後も、リバネスのビジョンでもある「科学技術の発展と地球貢献を実現する」ための、未来の仲間づくりを共に共創してまいります。
株式会社リバネスについて
研究者の集団・リバネスは、2001年に15人の理工系学生によって創立され、現在もその精神が受け継がれています。一人一人の社員が自ら「課題」を掲げ、その「熱」に賛同する多くの研究者や企業とともに解決に取り組むことで、科学技術の発展と地球貢献を実現します。創業当時の22年前、日本では「子どもの理科離れ」が深刻な社会問題として取り沙汰され始め、研究の面白さを知っていた創業メンバーは、「自分たちの手でこの課題を解決したい」という思いから、資金も知財もビジネス経験もないまま研究者のみでリバネスを創業し、出前実験教室から始まりました。今もなお、科学教育はリバネスの基幹事業として規模を拡大し、100社以上のパートナー企業と共にのべ20万人以上の子どもたちに科学・技術の魅力を届けています。
株式会社リバネス|https://lne.st/
ASTRA FOOD PLAN株式会社 代表取締役社長 加納 千裕コメント
「埼玉 食のサーキュラーエコノミー」で企画した取り組みの中で、学校給食での「ぐるりこメニュー」提供と食育プログラム提供は、ハイライトとなります。母校である諏訪小学校で特別授業を提供し、子供たちと一緒に給食を食べさせてもらい、企画して本当に良かったと思いました。子供たちの純粋に驚き、感動する姿は煌めいていました。サスティナブルな社会の実現のためには、個人のマインドを変えていくことが重要だと言い続けていますが、教育こそ最も大切なことではないかと考えさせられました。本プログラムを通じて、子供たちが課題を見つける力、学校で勉強した知識を活かして解決する力を養うきっかけになれば嬉しいです。
今回、実験教室を得意とされているリバネスさんのサポートを得て、食育プログラムを提供することができました。これからも多方面との連携によって事業を推進していきたいと思います。
循環型フードサイクル構築を目指す「ASTRA FOOD PLAN」
ASTRA FOOD PLANは、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置『過熱蒸煎機』(※4)を開発・販売しているフードテックベンチャーです。
『過熱蒸煎機』は、高い生産効率とコストパフォーマンスを実現したことから、従来コストの問題で有効活用できなかった食品工場で発生する野菜類の端材や、規格外品などの未利用農作物、飲料ざんさ等を、付加価値の高い食材にアップサイクルすることができます。食品ざんさ廃棄の課題を抱える事業者に『過さ熱蒸煎機』を販売すると同時に、本装置で作られる新たな食品原料『ぐるりこ(R)』の用途開発を食品メーカーと協力して行うことで、フードロス問題の解決を目指しています。
(※4)「過熱蒸煎」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第 6534112 号
一般的な食品ロスの約4倍。年間2000万トンにおよぶ「かくれフードロス」の実態
現在コンビニエンスストアや量販店の売れ残りなど、本来食べられるのにも関わらず廃棄される「食品ロス」が問題となっています。しかし、一般的に認知されている「食品ロス」の量には野菜の芯や皮、ヘタなどの食品ざんさや産地で発生した規格外農作物や余剰農作物などの未利用農作物が含まれていません。
「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」によると、2019年における日本国内の食品ロスは、約570万トンと推計されていますが、農林水産省がまとめた「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」(※5)では、食品ざんさや未利用農作物などの不可食部分も含めた「食品由来の廃棄物等」の食品ロスが2531万トンにおよぶことがわかっており、大きな社会課題となっています。
ASTRA FOOD PLANは、この一般的な食品ロスの約4倍となる年間2000万トン(※6)の食品廃棄を「かくれフードロス」と呼び、その削減とアップサイクルに取り組んでいます。
(※5)農林水産省『~食品ロス量(令和元年度推計値)を公表~』(2021年11月30日)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/211130.html
消費者庁『食品ロスについて知る・学ぶ』
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/
(※6)「年間2000万トンのかくれフードロス」=「2531万トン(食品由来の廃棄物等)」-「約570万トン(本来食べられるのにも関わらず廃棄される食品ロス)」
『過熱蒸煎機』について
『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置です。以下の3つの特徴により、野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能です。
食材の風味の劣化と酸化を防止
数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぎます。食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっています。
低コスト、高い生産効率を実現
ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現。連続式で生産効率が高く、従来型乾燥技術のコストの課題をクリアしました。
スピード殺菌乾燥
過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5~10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できます。
製品名:過熱蒸煎機
発売日:2022年4月4日
※『過熱蒸煎機』カタログダウンロード https://www.astra-fp.com/download/
『ぐるりこ(R)』について
『ぐるりこ(R)』(※7)は、『過熱蒸煎機』によって風味、栄養価の減少を抑えながら製造される高付加価値パウダーの総称で、素材別には”タマネギぐるりこ”、”キャベツぐるりこ”などとなります。
サスティナブルで循環型のフードサイクルを目指していることと、『過熱蒸煎機』内で原料をぐるぐると回転させながら乾燥殺菌する製造工程の様子を表したキーワード「ぐるり」と、Collaborate、Cooperation、粉の「こ」を組み合わせた造語です。
(※7)『ぐるりこ(R)』は特許庁商標登録済み商標です。6723114号
会社概要
ASTRA FOOD PLAN株式会社
URL:https://www.astra-fp.com/
本社所在地:埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26
代表取締役:加納 千裕
設立:2020年8月