理研食品株式会社*(本社:宮城県多賀城市、社長:宮澤亨)、理化学研究所、長崎大学のコンソーシアムは、海藻類のブルーカーボン効果に関する研究において、福島国際研究教育機構(略称:F-REI)が公募する、令和5年度「ネガティブエミッションのコア技術の研究開発・実証」委託事業に採択され、1月26日付で委託契約を締結しました。
真水と土壌資源を必要としない海藻類は、未来の食糧資源、マリンバイオマス資源、カーボン・オフセットへの活用が期待できるとして、世界的に注目されています。
海に囲まれた日本では古くから多くの海藻が食用として利用されており、海藻養殖は日本全国で行われています。しかし日本国内の海藻養殖は小規模な経営体に支えられており、バイオマス資源など食用以外の分野で必要とされる大規模生産に対応した品種、種苗生産技術、養殖技術は存在していません。
そこで本研究事業では、高いバイオマス収量が期待できる1年生マコンブ(以下コンブ)と福島県が全国有数の養殖産地であるヒトエグサについて、大規模養殖生産技術を開発します。あわせて、福島県沿岸で実証実験を行い、将来の産業化に向けた課題を評価します。
また、それらの養殖によるCO2固定量を定量評価し、大規模養殖によるブルーカーボン効果のポテンシャルを試算します。さらに、その定量方法を国際的な測定基準のひとつとして確立し、国内外で広く活用されることを目指します。
*理研食品株式会社は、理研ビタミン株式会社の子会社で、「ふえるわかめちゃん」「わかめスープ」などの製造や、海藻養殖
に関する研究を行っています。
受託した研究事業の基本情報
事業名:
令和5年度「ネガティブエミッションのコア技術の研究開発・実証」委託事業
テーマ(2)藻類のCO2固定及びネガティブエミッションへの利用に関する研究開発と実証
課題名:
バイオエコノミーに対応した海藻類の大量養殖コア技術の研究開発と福島県沿岸における生産拠点形成の実証研究
実施体制:
用語説明
ブルーカーボン:
海域で吸収・貯留されている炭素のこと。2009年に国連環境計画 (UNEP) によって定義された用語。なお、最近では森林などの陸域で吸収・貯留されている炭素をグリーンカーボン、海域のものをブルーカーボンとして区別することが多い。
ネガティブエミッション:
過去に排出されたCO2を含めた温室効果ガスを人為的に回収・除去する技術のこと。
関連リンク
福島国際研究教育機構(F-REI)ウェブサイト:https://www.f-rei.go.jp/