農林水産省 大臣等記者会見 2023年12月15日 - ● 食料・農業・農村基本法の見直し ● 土地利用の規制緩和 ● 諫早湾干拓事業への対応 ● 閣僚の交…

掲載日: 2023年12月15日 /提供:農林水産省

坂本農林水産大臣記者会見概要

日時令和5年12月15日(金曜日)10時45分~10時59分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • 食料・農業・農村基本法の見直しについて
  • 土地利用の規制緩和について
  • 諫早湾干拓事業への対応について
  • 閣僚の交代について

質疑応答

記者

昨日に引き続きですが、改めまして、食料・農業・農村基本法の改正に対する意気込みと、様々な課題を挙げられていましたが、特に注力したい分野について教えていただけますか。

大臣

基本法(の見直し)につきましては、これは焦眉の急の問題と思います。世界のそれぞれの国が食料の安全保障を真剣に考え出しました。我が国もその問題にしっかりと法律的に体系付けて取り組んでいかなければいけないと思います。究極のねらいというのは、与野党の隔たりはないと思います。国民の皆さん方に、いかに安定した食料を供給できるのか、それに伴って農村の活性化を図るというのは、普遍的な目標ですので、これをしっかりとやり遂げてまいりたいと思っています。それから柱となるのは3つありまして、1つは食料安全保障の強化。それから、環境と調和のとれた産業への転換。そして、人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティをしっかり維持することが大きな柱であると思っています。特に、食料安全保障の強化は、これまでの基本法では、文言として1か所だけ入っているだけでした。不測の場合ということで。ただ、今回の法改正におきましては、これをまず中心的な柱に持ってきていますので、この不測の事態も含めて、いろいろな課題が生じた場合に、我が国がしっかりと食料供給を持続することができるという観点に立って、法改正をしてまいります。

記者

土地の規制緩和と、国営諫早湾干拓事業についてお伺いできればと思います。まず土地の規制緩和に関してですけれども、ご地元の熊本県では、半導体関連企業の進出が相次いでいますけれども、政府の方では重要物資の生産工場誘致に向けて、農地転用などの土地規制の緩和を進めようとしています。一方で、食料安全保障の観点では、優良農地の確保は重要な課題といえると思います。相反する方針のようにも思えますけれども、これらについてどのように考え、今後どのように政策を進めていくのかお聞かせください。

大臣

土地規制の問題につきまして、総論の問題と各論の問題と2つあると思います。土地の問題につきましては、これから農地法の関連法の改正というものを視野に入れて、改正のための作業を進めてまいりますけれども、これは400万ヘクタールの農地を総量として、いかに守るかということ。いかに守るかについては地方自治等々に支障が生じないように、国と地方の協議の場を作るというのが、今度の農地法制に関する1つの論点になります。それから、私の地元のTSMCとか、千歳市のラピダスとか、経済安全保障の立場から国策とも言うべく、企業立地の問題があります。この問題につきましては、個別にそれぞれに前もって話し合いを総量確保とは別にする中で、企業として生産性が高いところに対して、農地は守っていかなければいけませんけれども、企業の立地を確保していく。あるいは、生産性が高い、生産性をこれから高めていかなければいけない農地をどれだけ守っていくかというのは、それぞれの個別の問題として、今後、それぞれが話し合いをしていかなければいけないと思います。私も熊本県の農林水産部には、国と急いでその辺を話し合って欲しいということを言っています。2つの法律、農村産業法と経済産業省が所管する法律(地域未来投資促進法)もありますので、そこはしっかり現場で考えていただきたいと思っています。

記者

諫早湾干拓事業に関してですけれども、潮受堤防排水門の開門を命じた確定判決の無効化を国が求めた請求訴訟で、今年の3月、最高裁が漁業者側の上告を退けて、開門を認めない事実上の統一判断をしました。それを受けて、農林水産省としては非開門を前提として、裁判ではなく話し合いによる有明海再生を求める大臣談話を出されたと思います。大臣も、この方針を継続されるお考えでしょうか。また原告からは、1回目の協議に応じる文書が出され、農水省側もお受けすると文書で返信したと聞いていますが、1回目の協議に向けた進捗とか、今後の時期が決まっていましたら教えていただけますか。

大臣

野村(元)大臣のときですけれども、「話し合いによる今後の解決策を」と言われました。引き続き、裁判ではなく話し合いによって、開門によらない有明海の再生を図るという談話も出ていますので、それを踏襲していきたいと思っています。それから、開門派弁護団の対応につきましては、弁護団に対しては事務方において連絡を取り合い、協議を進めているところです。どのくらい進捗があるかというのはまだ聞いていませんけれども、協議の内容をしっかりと見守りたいと思いますし、どういう状況になっているか改めて聞いてみたいと思っています。

記者

基本法の改正の関連でお伺いします。昨日、自民党が食料・農業・農村基本法の改正に向けた提言をまとめました。これについて改めて、受け止めと今後の対応についてお聞かせください。

大臣

提言につきましては、非常に精緻にまとめられていると思いました。ですから、この提言をしっかりと重く受け止めて、守ってまいりたい。その提言を下に、さらに条文の作成を含めて、法案作成を進めていきたいと思っています。

記者

今後はその条文の作成について進めていくということでしょうか。

大臣

来年の(通常)国会に提出する予定ですので、自民党の提言を受け止めて、そして新たな農業の展開も出されていますので、そういったことを十分考えながら、法案づくり、条文づくりを進めてまいります。

記者

基本法等のことに関することですが、今、政治資金問題、パーティの問題で、自民党・政府に対する信頼がかなり薄れていると思います。今後の基本法の議論、タイムスケジュール等にはこれは影響しないものでしょうか。

大臣

影響がないようにしていかなければいけないと思っています。この基本法の問題は、世界的な問題でもあり、我が国の本当に食料安全保障の大切な課題でございますので、皆さんとともに、これをしっかり考えていけるようにしてまいります。

記者

これに関連して、9月に農林水産省の検証部会で最終取りまとめを出しました。自民党も、昨日も部会の合同会議で意見も出ていますが、そんなに大きく変わらないようで、基本的に今の路線でこれが足りない、これはいらないとか、大きな変更は特にないでしょうか。

大臣

ないと思います。党の方でも3つの分科会に分けて、基本農政、農地関係、食品産業関係、PTを作ってかなり入念に提言に向けて作業をしていただきました。ですから、かなり精緻な形で、新たな農業展開も十分参考にした上で作成されていると思いますので、それをしっかり受け止めながら(基本法の改正案を)作ってまいります。

記者

諫早湾干拓事業の関連でお伺いします。大臣は、熊本がご出身ということで、有明海、八代海の再生というのは、まだ道半ばかと思うのですけれども、九州出身の大臣としての思いと、潮受堤防排水門の関連で、これまで農水大臣就任後に長崎、佐賀両県を訪れられるのが、なかば慣例となっていたのですが、宮下(前大臣)が就任期間の関係もあって、訪れることはなかったということで、今後、両県を訪れるご意向とか、方針等あればお伺いさせていただけないでしょうか。

大臣

私も非常に関心のある課題でありますし、県議会議員の時に1度行っています。改めて私としても、1度行きたいと思っていますが、公務の日程等がありますので、適切に考えながら対応していきたいと思います。現地を視察したいという思いはあります。

記者

再生に向けた今後のお考えとか方針等があれば伺えますか。

大臣

先ほど言いましたように、開門に頼らない再生というものをどうしていくのか、いろいろな皆さんたちのご意見を聞きながら、今後も進めていかなければいけないと思っています。

記者

政治資金をめぐる問題で、昨日、安倍派の閣僚が全員辞任をしました。歴史的な物価高で経済対策をはじめとして、政策の速やかな実行が求められる中、こういった状況は国民の目にどのように映っているとお感じになっているでしょうか。

大臣

いろいろ国民の皆さん方に、不信感を与えている、政治に対する信頼が揺らいでいるということは事実であると思っています。それだけに、私たち、特に私自身、大臣として、しっかり襟を正して、政治と金の問題については、より厳しい姿勢で取り組まなければならない。それを持続させることで、国民の皆さん方の信頼を1つ1つ回復していく、そういう努力をしていくことが大切だと考えています。

報道官

よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上



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