CCCマーケティング株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:北村和彦)にて、7,000万人の思いを発信する研究所「CCCマーケティング総合研究所」(以下「CCCマーケティング総研」)は、2021年8月の「産業動向レポート」および「産業天気予報」( https://www.cccmk.co.jp/thinktanks/industry-07 )を発表いたしました。
CCCマーケティング総研が発表する「産業動向レポート」および「産業天気予報」は、お買物レシートでTポイントが貯まる家計簿アプリ「レシーカ」をご利用のみなさまのレシートデータとCCCマーケティング総研の研究員による企業への調査を組み合わせ、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、外食、百貨店、ショッピングセンターの小売7業界における生活者動向と見通しを独自調査しております。
新たな業態間競争を生む「冷凍食品」
コンビニエンスストアは新型コロナウイルス感染症の拡大により業績を大きく後退させた業態の一つです。コンビニエンスストアの成長の源泉となっていたオフィスロケーションは流動の後退により、不採算店が続出し、立地戦略は見直しを余儀なくされています。オフィスロケーションはモーニング、ランチ需要のみならず、深夜の残業を支える役割も果たし、ほぼ全時間帯で機能したため、惣菜・弁当などの商品戦略はオフィスロケーションを軸に検討されることが主流でした。しかし、このロケーションの需要に大きな変化が起きたため、コンビニエンスストアは商品戦略も見直しせざるを得なくなっています。
リモートワークの拡大により弁当・惣菜の需要が拡大した住宅近接ロケーションは、コンビニエンスストアの新たな収益ロケーションとしての可能性が増大し、住宅近接ロケーションで売れる商品へのシフトチェンジが加速してきています。この流れの中で、商品拡充が進んだ分野の一つが「冷凍食品」です。
「冷凍食品」はスーパーマーケットの安売りジャンルの代表アイテムで、コンビニエンスストアではアイスクリーム以外の冷凍アイテムは売れないと言われてきましたが、コロナ感染者数の拡大による商圏の変化はコンビニエンスストアにもジャンル攻略の機会となっています。
スーパーマーケットは「冷凍食品」を長く安売りアイテムとして活用してきましたが、コンビニエンスストアではセブン-イレブンを筆頭にクオリティ訴求の商品をラインナップし、スーパーマーケットとの違いを鮮明に打ち出しています。コロナ禍でコンビニエンスストアでの「冷凍食品」購入者数が増加すると、その商品クオリティの高さは一気に認知され、わずかな期間で市場定着し、コンビニエンスストア各社の売上を支えるジャンルとなってきています。
こうして「冷凍食品」はスーパーマーケットとコンビニエンスストアの新たな競争要素の一つとなっていますが、外食もそのブランド力を活用して「冷凍商品」への進出を活発化させています。当初は、ブランドネームを貸すだけの商品が目立ちましたが、コロナ禍で店舗の営業が出来ない状況になると、新たな売上を構築する商品として、店舗での最終調理前の半製品などを家事軽減のアイテムとして販売を開始するなど、従来とは異なる動きを見せています。そして、その結果、売上を伸ばす企業も出てきています。
コロナ禍は様々な業態の変化をもたらしていますが、「冷凍食品」についてはコロナ禍による消費環境の変化が、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、外食の3業態の綱引きを激化させるアイテムとなっています。約1兆4000億円規模になる国内の冷凍食品市場をどのチャネルが最も大きなシェアを握っていくのでしょうか。メーカーのチャネル戦略と共に、リテイル間の綱引きは今後、さらに活発化していくことが予想されます。
2021年8月の「産業天気予報」
CCCマーケティング総合研究所が発信している情報
●社会変容・生活様式などの変化を、生活者視点から捉えた意識調査
●7,000万人のデータをもとに、世代や地域の特性把握をした調査
●オンラインセミナーによる調査内容の発信
●小売7業界の生活者動向と見通しを月次発信する「産業動向レポート」「産業天気予報」
CCCマーケティング総合研究所の概要
名称:CCCマーケティング総合研究所(CCCマーケティング総研)
URL:https://www.cccmk.co.jp/thinktanks
設立:2020年7月21日
所長:新橋実
<プロフィール>
国内外のコンサルティング会社、シンクタンクに所属。デベロッパー・テーマパーク・ラグジュアリーブランド、百貨店、ホテル、レストラン、カフェ、ショッピングモール、電鉄、エネルギー、食品メーカーなど、川上から川下まで多様な領域のコンサルティングを担当。