新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年8月31日(木) 14:00~14:13 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭の発言は一点でございます。本日、令和6年度予算概算要求を提出いたします。概算要求額は、令和5年度予算から約37%増となる約170億円であります。この中には、令和6年度に厚生労働省から移管される食品衛生基準行政の関係予算である約26億円が含まれております。主な要求事項といたしましては、消費者を取り巻く取引環境の変化への対応、ということで高齢化、デジタル化、グローバル化に対応した消費者行政を推進するための各般の調査費など、それから、消費生活相談のサービス向上への体制再構築、ということで重点を置いております。また機構定員要求としては、食品衛生基準行政の移管に合わせて、審議会や審議官等の機構を要求するとともに、重点分野の推進に必要な定員を要求しております。さまざまな政策課題がある中で消費者庁としてしっかりと予算・機構定員を確保し、消費者の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。以上です。
質疑応答
- 問朝日新聞の寺田です。
すみません冒頭とは関係ないんですけれども、ビッグモーターに対する公益通報者保護法に基づく行政措置について、今月上旬に、報告を求めると公表されました。その後回答などはいかがでしょうか。 - 答
8月3日に実施をいたしましたビッグモーターに対する報告徴収については、当社からの報告の有無やその内容についてコメントすることは差し控えさせていただきますが、今後の対応については、必要に応じて、節目節目で皆さんにお伝えをしたいと考えています。
- 問この件で、公益通報の窓口を置いています、イエス・オア・ノーの回答があったとして、その実効性があるかというのが大変重要かと思うんですけれども、例えば、消費者庁として、先方からの報告以外に、積極的にその問題点とかを調査したりということは、今後対応としてあり得るのでしょうか。
- 答
一般論といたしまして、公益通報者保護制度の目的に従って、当然形だけではなく内容もしっかりしていただくということだと思っています。公益通報者保護法に基づいた消費者庁の権限をしっかり行使していきたいと思います。
- 問日本消費経済新聞の相川です。
概算要求に関連して、まず、食品衛生基準行政についてお教え下さい。衆参の附帯決議に、必要な予算の配分や人員の配置など万全の措置を講ずること、という内容が盛り込まれていますが、人員とあとその予算についてもう少し詳しくお教え下さい。 - 答
予算につきましては、冒頭申し上げましたように、約26億円、厚生労働省の食品衛生基準行政を遂行するのに必要な予算ということであります。組織定員につきましては、食品衛生基準行政の移管に伴う体制整備ということで、57名を当庁として要求するということです。
- 問今の厚生労働省の食品基準審査課の定員が43人、あと国際食品室の定員が5人というふうに伺っていて、それよりもかなり多い要求になっているということなんですが、まず、新しく要求をしている食品安全調整室というのは、どの課に配置してどのような役割を果たすことを想定されているのか教えて下さい。
- 答
今回要求しております食品安全調整室につきましては、食品安全行政の司令塔として消費者庁の果たしている役割の中で、消費者安全課にございますいろいろなゲノム編集でありますとか、そういうものに対する調整、それからリスクコミュニケーションを行っている部局というものと、今回厚生労働省から移管されます食品の安全行政といったものを束ねて全体として調整する部局ということで、消費者安全課に設置する予定としています。
- 問それから、今回、食品衛生・情報分析審議官のポストを要求していますが、これは、厚生労働省の審議官のポストが1つ減って移管されるという理解なのでしょうか。それとも消費者庁が新しく要求するという理解でいいのでしょうか。
- 答
今回要求しております食品衛生・情報分析審議官、この財源について細かくお話することは申し上げませんが、今回の食品衛生の基準につきましては、科学的根拠に基づいて実施施行するSPS案件ということでございますので、ある程度の独立性を持って業務を行うことが必要と考えておりますし、対外的な海外交渉の分野もあるということでございます。従いまして、消費者庁としてこの審議官を要求させていただくということです。
- 問長官の冒頭の発言にありました、高齢化とかグローバル化に対応した消費者行政を推進するための調査というのはどのようなものを考えられているのか。消費生活相談のサービス向上のための体制再構築に関してはどのような内容が盛り込まれているのかをお教え下さい。
- 答
まず、一点目の消費者を取り巻く取引環境の変化への対応ということであります。高齢化、デジタル化、グローバル化ということで、意思決定する消費者自体、それから消費者の意思決定に影響を与える情報の提供の仕方、それから事業者の活動範囲ということで大きく情勢が異なっていると思います。これにつきましては、主な取り組みということでお話をさせていただいておりますが、特にグローバル化の中では国際的に事業者が展開していくという中で、どのような形での規制をするのが相応しいのかという意味で、海外での規制の実態等について調査をするということが一つであります。それから、昨年行いました消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会の中でも議論をしていただきましたけれども、消費者の保護の仕方と消費者の脆弱性といったもの、OECDではダークパターンと言われておりますけれども、そのようなものをどのように考えてこれから消費者保護を図っていくのかといった意味での国際的な展開というのも考えていかなければいけないと思っています。それから、もう一つは取引DPF消費者保護法、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律を作っておりますが、DPFの方に対する対応、制度というのもどういう形で進めていくのか、いろいろな観点からのものを今回しっかり調査をして、全体としての消費者法制の枠を変えていく、そういうためのしっかりとした調査研究をしようということで、予算の項目を一番目にあげさせていただいているということであります。
それから、二点目の消費生活相談のサービス向上への体制再構築、これは大きく分けて2つございます。1つは、いわゆる装置、基盤の整備ということでPIO-NETの刷新に向けて何ができるかということでありまして、そういう意味でのハード面での整備、2つ目は、実際に相談をしてくださる消費生活相談員の方々が、より効率的に案件を解決することによって、より多くの時間を相談に割いていただくような体制に向けてということで各般の施策を講じていきたいと考えています。 - 問消費者法制のパラダイムシフトのための検討として、消費者の脆弱性の精緻化、それを基軸にした新しい消費者法理念の構築、様々な規律をコーディネートする広義の消費者法制度の再編拡充に向けた具体的な検討について、今年、6千万円の増額要求がされています。具体的に様々な規律をコーディネートする広義の消費者法制の再編拡充に対する具体的なイメージのようなものが、もう少しわかりやすくご説明いただけるとありがたいということと、大きなスケジュール感ですよね、だいたい何年くらいで私たちが形が見えるようなものになっていくのか。その辺について、長官のお考えをお聞かせいただけるとありがたいです。
- 答
パラダイムシフトということですので、大きな考え方の大枠を変えていくということです。しかし、ずっと長い間そのまま変わらないということではなく、できるものから徐々にやっていくということになるかと思います。従いまして、できる法制の改正で早くできるもの、それから若干時間をかけるものということになりますが、そのできるものというものも大きな変化する方向でやっていくということになるかと思います。今、大変抽象的なお話しかできないのは恐縮ですけれども、やはり、消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会の中でいろいろな事項が提示をされております。それを国際的な動向をふまえて整理をしていく、その整理が今の法制の個別法にどういうふうに影響していくのかということを相当精緻にやらなければいけないと考えております。今まさに進め方について内部で議論しておりますので、早々に全体の進め方についてお知らせできるような状況になると思います。
- 問最後に一問だけ。地方消費者行政強化交付金の要求額が昨年度の要求の30億円から28億円に減額されています。今年は補正が20億もついていて霊感商法等の悪質商法に絡めるといろんなものが10分の10で活用できるようになっていて、指定相談員とか主任相談員さんの報酬増額分についても10分の10でかなり使えるようになっています。ただ、それが今後どうなるのか、継続していくことができるのかというのはかなり現場では大きな問題になってくると思うのですが、この辺について長官のお考えをお聞かせください。
- 答
これから予算を要求した後の査定の中で折衝をしていくことになるかと思います。それ以上、今の段階でなかなか申し上げることはありません。