納豆菌死菌の整腸作用に関する効果を確認
帝人株式会社およびグループ会社の帝人目黒研究所は、プロバイオティクス事業において展開する納豆菌の有用性を確認し、さらなる用途展開について検討するため、納豆菌の死菌についての試験管的(in vitro)研究を実施しました。その結果、死菌がプレバイオティクス(有用菌のエサ)のように作用し、乳酸菌およびビフィズス菌を増加させること、整腸作用に関わる短鎖脂肪酸を増加させることをそれぞれ確認しました。
一般に、有用菌を摂取した際の効果や、体内での作用メカニズムについて、生菌に関しては多くの研究結果がありますが、死菌についての研究は多くありません。一方で、死菌は生菌と比較して取扱性が簡便であることから食品用途での需要が増えています。納豆菌においても、生菌は優れた整腸効果を示すことから医薬品や健康食品の原料、動物用飼料の添加物などとして使用されていますが、死菌についてはその作用が明確ではありませんでした。
帝人および帝人目黒研究所はエビデンスに基づいた安心・安全な製品を顧客に提供することを重視しており、今後、死菌を市場展開するにあたっては、その整腸効果などの作用について検証することが必要と考え、このたびの研究を実施しました。
【試験内容と結果について】
■試験1:整腸作用に関連する短鎖脂肪酸量への影響
大腸内の環境を模倣した「腸内細菌叢モデル」内に納豆菌死菌を 50mg、200mg、800mg をそれぞれ添加した群と、何も添加しない無添加群、水溶性食物繊維であるイヌリンを添加した群の 5 群間で代謝物の濃度を比較しました。
その結果、納豆菌の死菌を添加した群は短鎖脂肪酸が増加しており、さらに、有用菌である乳酸菌やビフィズス菌の菌量も増えていることが確認されました。
■試験2:乳酸菌およびビフィズス菌の菌量増加への影響
糖源を含まない培地において、死菌を添加した群と添加しない群の 2 群に分け、乳酸菌 3 種類、およびビフィズス菌 2 種類をそれぞれに培養し、菌体の増加量を群間比較しました。
その結果、死菌を添加することにより、一部の乳酸菌およびビフィズス菌の菌量が増加することを確認しました。この結果は有用菌の一部が納豆菌死菌を栄養源として利用(資化)していることを示唆しています。
※両試験結果は 8 月 24 日~26 日に開催された「日本食品科学工学会 第 70 回記念大会」において発表されました。
今後、両社は、今回の試験結果を踏まえて納豆菌死菌のプレバイオティクス素材としての有用性をさらに検討し、将来的には死菌製品を食品用途として展開し、人々の健康に貢献することを目指していきます。
以上
【 当件に関するお問合せ先 】
帝人株式会社 広報・IR 部 TEL:(03)3506-4055