新井長官記者会見要旨(10月26日)

掲載日: 2023年10月26日 /提供:消費者庁

新井消費者庁長官記者会見要旨
(2023年10月26日(木) 14:00~14:20 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

本日私から一点お話をさせていただきます。お手元に資料も配布しておりますが、「第1回分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」の開催についてです。栄養成分につきましては、平成27年から、容器包装に入れられた加工食品には食品表示基準に基づき栄養成分の量及び熱量の表示が義務付けられておりまして、主に容器包装の裏面に表示をされております。他方、諸外国では各国の健康・栄養政策を踏まえ、消費者が食品の栄養価や食品の選択に理解を促進するため、義務的表示に加え、包装の前面、表の面に、栄養表示に関して分かりやすく消費者に訴求する「包装前面栄養表示」を導入しています。令和3年11月のコーデックス委員会におきましても、包装前面栄養表示のガイドラインが採択されているという状況であります。こうした状況を踏まえまして、我が国における分かりやすい栄養成分表示の取組として、日本版包装前面栄養表示の基本的な方向性を検討するものとして、11月2日に「第1回分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」を開催する旨本日公表いたしました。表示につきましては、10月13日に、食品表示懇談会を開催したところでありますが、この懇談会の中におきましても、包装前面表示はこの懇談会の議題として検討するということではなく、より栄養の専門家で議論するということが決定をされております。他方、この包装前面栄養表示を食品表示懇談会の中でやってはいけないということではないということで整理をされておりますので、今回この包装前面栄養表示につきましては、栄養関係の専門家を集めて検討し、今年度中に基本的な方向を示したいと考えております。冒頭発言は以上です。

質疑応答

問読売新聞の糸井です。
今の栄養成分表示の検討会なんですが、食品選択の理解のためということなんですけど、もう少し詳しく前面に表示することで何が消費者にとってメリットになるのかをお伝えいただければと思います。

今、裏面には表示をされておりますが、大体の商店では前面を出して陳列をしていると思います。他方で、多くの国で国民の栄養の管理の観点から、栄養成分あるいは熱量を分かりやすくすべきだという議論がありまして、表の方に表示をするという動きが今お話ししたように出てきています。表の方に栄養成分等を表示することによりまして、消費者が選択をするときに、カロリーの量、それから、どのような栄養成分が入っているのかということをより簡易に判別できることとなります。表示の内容が変わるという意味ではありません。それに加えまして、民間の事業者の方々がその栄養成分について、例えば、ヨーロッパですと、それをA・B・C等で評価するとか、いろいろな含有量を1日の摂取量どのくらいですという形で表記するとか多様な表記方法が出ています。こういう推奨表記と合わせまして、消費者が食品摂取に対してしっかりと栄養を把握した上で取るように、栄養政策と食品の選択とのリンクをより明確にしていくという動きの中で、日本がどのよう方策を取っていくかということを検討していただくということになります。

問この11月2日から始まる検討会では主にどういったことを具体的に話し合うのかというところをもう少し加えていただければ嬉しいです。

今申し上げました栄養成分の前面表示、諸外国においてどのようなことが行われているか、それから事業者の中でも自主的に取組がされているということでありますので、その取組に対して消費者の方々がどういう認識をしているか、それから、今回日本の健康・栄養政策の中でこういうことをすることがどういう意味があるのかという大きく3つの視点から検討して基本的な方向性を示したいと考えています。

問令和5年度中に一定の結論を出すということですけど、これは報告書のような形でまとめるのでしょうか。あといわゆる前面表示というのはいつ頃から始めるようなイメージになるのでしょうか。

まずは基本的な方向を示すということで、その後どういう手続きが必要なのかということも併せて考えていければと思います。任意あるいは推奨するということになれば、できる方から取り組んでいただくということになりますが、推奨表示とする場合であっても国において一定のガイドラインを示すということになりますと、これは消費者委員会の表示の部会でも議論していただかなければいけない、詳細についてはそういう場面も出てくると思います。いずれにせよ基本的な方向性を栄養の専門家が入ったところで議論をしていくということです。

問そのあと実際の表記が変わるのはもう少し後というイメージですか。1、2年というイメージですか。

もう少し後になると思います。

問数年単位というイメージですか。

それは今ちょっと予断を持って語ることはできません。

問朝日新聞の寺田です。
今回の検討会についてなんですけど、海外では推奨表示が主になっていると思うのですが、日本の議論においては義務化も視野に検討するというようなことはあるのでしょうか。

コーデックスのガイドラインにおきまして、国内法律に従って任意又は義務とすることができるということと、各国で推奨する場合には推奨は一つだけ、消費者が混乱するため一つだけにするということ。それから根拠に基づいた国又は地域の食事ガイドライン若しくはそれがない場合はその国の健康・栄養政策に沿ったものでなければならない、とされております。今回の検討会の中では任意にするか義務にするかということも含めて議論していただくということです。

問フリーの木村です。
確認ですけれども、見直すのは前面なのかという点以外に、例えば今100グラム当たりの量をカロリーも含めて表記していますけれども、先ほど少し長官の方からご説明あったかと思うんですけれども、100グラム当たりじゃなくてもっとなにか分かりやすい表記方法にするのかという点も視野に入れて見直すという理解でよろしいでしょうか。

この検討会の中で、各国でどのような表示をされているかということも分析をしていただきます。任意表示の中でも、カテゴリーによってスコアリングをつけるとか、栄養素の含有量を表示する、1日あたり何パーセントとかいろんな形の表示があります。その中でまず今お話しいたしました任意にするのか義務にするのか、任意に推奨するとしたらどういうものを進めていくのかといったことで、他方面いろんな状況を見ながら判断をしていくということになります。しかしながら、いずれにいたしましても、これは健康・栄養政策とリンクさせなければならないということでありますので、日本の健康・栄養政策上、食品の栄養成分を容器包装の前面に書いて、しかも摂取量を消費者に示すためには何がいいのかということから、今回栄養の専門家に入っていただきますので、その視点から議論するということであります。

問日本消費経済新聞の相川です。
カナダが2022年の7月に、義務表示として虫眼鏡のようなマークと飽和脂肪酸が多く含まれているとか、そういうマークをつけないといけないという義務になりました。ナトリウムと糖類ということなのですが、実は日本は栄養成分表示を検討するときに糖類をというご意見もあったのですが、義務からは落ちていて推奨にも入っていないと。あと飽和脂肪酸については推奨にはなっていますけれども、なかなか表示が進んでいないというような現状があるのですが、この辺について具体的に見直すようなお考えはあるのでしょうか。

今お話しいただいたことも当然スコープに入っていきます。先ほど申し上げたように、どのような表示制度があるのかということと、それが日本の健康・栄養政策上何が重要なのか、たくさん書けばいいということではないと思いますので、国民の健康・栄養に資するための表示上の重要事項はどのようなものかということを含めて議論していくということです。

問日本は特に塩分が問題であるということだと思うのですが、具体的にその1日摂取量の中の割合を分かりやすく書くみたいなような議論になっていくのでしょうか。

そこはなかなか予断を持って語ることはできませんが、いくつかの国あるいはいくつかの義務表示、任意表示の中にもそのような表示をするという例もありますので、それを参考にしていくということだと思います。

注 オンライン回線の不具合により、14:06~14:14の間、記者会見を中断しその後再開した。

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