明治保有の乳酸菌Lactobacillus paragasseri OLL2716の継続摂取による胃の痛みなどの不快感の改善効果と、胃の不調に起因するストレス軽減効果を確認~…

掲載日: 2023年03月30日 /提供:明治ホールディングス

明治保有の乳酸菌Lactobacillus paragasseri OLL2716の継続摂取による胃の痛みなどの不快感の改善効果と、胃の不調に起因するストレス軽減効果を確認~日本農芸化学会2023年度大会にて発表~

2023/03/30

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、明治保有の乳酸菌「Lactobacillus paragasseri OLL2716※1(以下、OLL2716株)」の継続摂取による胃の痛みなどの不快感の改善効果と胃の不調に起因するストレスの軽減効果を確認しました。また、そのOLL2716株の作用メカニズムの一つとして、胃で分泌される消化運動などを調節するグレリン※2の分泌促進が関与している可能性が示唆されました。当研究結果は日本農芸化学会2023年度大会(開催期間:2023年3月14日~17日)において発表しました。

研究成果の概要

食後の胃の不調を有する健常成人を対象とした、OLL2716株を含むヨーグルトを継続摂取したヒト対象研究より、

①胃の痛みが有意に改善しました。
②胃の不調に起因する「ストレス(全般的な精神的影響やいらだちを含む)」が有意に改善しました。

胃の細胞を用いた研究より、OLL2716株の作用メカニズムの一つとして、胃におけるグレリンの分泌促進が関与している可能性が示唆されました。

OLL2716株が胃の不調に伴う精神的なストレスも改善し、こころの健康に貢献できる可能性

OLL2716株に関する過去の研究では、慢性的な胃の不快症状である機能性ディスペプシア※3の有症者を対象とした食後のもたれ感などの食後愁訴症候群の改善効果※4や、健常成人を対象とした胃の運動機能の評価指標の一つである胃排出時間の遅延の改善効果※5を報告しています。

また、一般的に精神的なストレスにより自律神経バランスが乱れて交感神経が優位になると、胃運動や胃酸分泌が減少することが知られています。健常成人を対象とした研究において、OLL2716株の継続摂取によって副交感神経活動が優位になること※5を確認していることからOLL2716株は自律神経に作用することが示唆されています。以上のことから、OLL2716株には自律神経に作用して、胃の働きを整えることで胃の負担をやわらげることが期待されます。

本研究では、OLL2716株を継続摂取することで、胃の不調に伴う身体的な不調だけでなく、精神的なストレスについても改善させ、日々の健康維持に貢献できる可能性が示唆されました。

当社は今後も健康課題に向き合った研究を推進するとともに、お客さまの「こころとからだの健康」に貢献できるよう、継続して研究に取り組み、有益な情報を発信してまいります。

  • ※1Lactobacillus paragasseri OLL2716:Lactobacillus gasseri OLL2716と同一の乳酸菌です。2020年にLactobacillus属が学術的に再分類されたことに伴い、名称変更となりました。

  • ※2グレリン:主な働きとして、成長ホルモン分泌調節、摂食調節の他、胃酸分泌や消化管運動の促進作用を有する胃で分泌されるペプチドホルモンのこと。

  • ※3機能性ディスペプシア:胃もたれやみぞおちの痛みなど、胃の不快な症状が続いているにもかかわらず、内視鏡で見ても特に異常が見られない病気のこと。
    参考:明治ヨーグルトライブラリー

  • ※4出典:Ohtsu T et al., Digestion, 96(2):92-102, 2017

  • ※5出典:Ohtsu T et al., Nutrients, 13(6):1852, 2021

発表内容1

タイトル

健常成人におけるLactobacillus paragasseri OLL2716の継続摂取による胃症状改善効果
(英文タイトル:The effect of continuous intake of Lactobacillus paragasseri OLL2716 on gastric symptoms in healthy adult subjects)

方法

試験デザインはランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験※6で行いました。食後の胃の不調を有する健常成人174名をOLL2716株群(OLL2716株を含むヨーグルト)もしくはプラセボ群(OLL2716株を含まないヨーグルト)のいずれかの群になるように振り分けた後、試験食品を1個/日、12週間摂取していただきました。評価項目は質問票による上部消化管症状やQOLなどとしました。

結果・考察

上部消化管の「胃の痛み」が摂取6週後および摂取12週後においてプラセボ群と比較してOLL2716株群で有意に改善しました(図1)。また摂取6週後において「胃の不調によるストレス」がプラセボ群と比較してOLL2716株群で有意に改善しました(図2)。

以上の結果から、OLL2716株の摂取によって胃の不快感を改善するとともに胃の不調に起因する精神的なストレスを軽減させることが示唆されました。

図1 摂取前からの「胃の痛み」のスコア変化

*:OLL2716株とプラセボの間に有意差あり(p < 0.05)

図2 摂取前からの「胃の不調によるストレス」のスコア変化

*:OLL2716株とプラセボの間に有意差あり(p < 0.05)

※6 ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験:研究対象者を無作為に2群に分け、各群同時に一定期間試験食品(プラセボまたは有効成分を含む実物)を摂取し、各群の有効性を比較検討するヒト対象研究の試験方法の一つ。試験実施者も研究対象者もいずれの試験食品を摂取しているかがわからないように工夫された状態で行う。プラセボは有効成分を含む実物と見分けがつかず、有効成分を含まない試験食品を用いる。

発表内容2

タイトル

胃細胞における Lactobacillus paragasseri OLL2716 のグレリン産生促進効果
(英文タイトル:The effect of Lactobacillus paragasseri OLL2716 on ghrelin production in gastric cells)

方法

OLL2716株の作用がグレリンを介している可能性を考え、本研究ではOLL2716株のグレリン産生促進効果について評価しました。胃腺癌由来細胞であるMKN45株化細胞にOLL2716株の菌体と代謝物質を含む培養上清を添加した時のグレリンmRNA発現量の変化を評価しました。

結果・考察

OLL2716株の菌体と培養上清の添加によって、グレリンmRNA発現量が有意に増加しました(図3および図4)。OLL2716株は菌体および代謝物質により胃細胞においてグレリン産生を亢進する可能性が示唆されました。

図3 OLL2716株菌体添加とグレリンmRNA発現量

*:コントロールとの間に有意差あり(p < 0.05)

図4 OLL2716株培養上清添加とグレリンmRNA発現量

*:コントロールとの間に有意差あり(p < 0.05)

発表内容1と発表内容2より得られた結論

以上の結果から、OLL2716株の摂取により、胃の不調に伴う身体的な不調だけでなく、精神的なストレスについても改善させ、日々の健康維持に貢献できる可能性が示唆されました。そのOLL2716株の作用メカニズムの一つとしてグレリン分泌促進が寄与している可能性が示唆されました。

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