
遺伝子治療用ベクターCereAAV(TM)による網膜への高効率な遺伝子導入を確認
- 2023年05月11日
タカラバイオ株式会社は、公益財団法人東京都医学総合研究所との共同研究により、独自に開発した遺伝子治療用AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター「CereAAV~{TM}」が、マウスを用いた実験において、眼の網膜内の細胞に効率よく遺伝子を導入できることを確認しました。
遺伝子治療では、治療用遺伝子を組織や細胞に運ぶ、人工的に病原性等を除いた「ベクター」と呼ばれるウイルスが中心的な役割を果たします。なかでもAAVベクターは、近年、製薬企業や創薬ベンチャーによる遺伝子治療用ベクターとして多く使用されており、2017年には、レーバー先天性黒内障を対象とした遺伝子治療薬として米国FDAに承認されるなど、眼科領域でもAAV遺伝子治療薬の開発が活発に進められています。一方、現状では、網膜下投与のため手術による侵襲性が高いという課題があり、硝子体投与による、簡便かつ効率よく遺伝子導入ができるベクターが求められています。
CereAAV™はこれまで、マウスおよびマーモセットを用いた試験により、静脈内投与で脳への高い指向性が確認されています。当社は、新たにCereAAV™のマウス眼硝子体内投与の遺伝子導入効率の測定を、公益財団法人東京都医学総合研究所視覚病態プロジェクト原田高幸プロジェクトリーダー、行方和彦研究員らと共同で行いました。その結果CereAAV™は、マウス眼硝子体内投与により、網膜の感覚受容細胞である視細胞と網膜色素上皮細胞に対し、高い効率で遺伝子導入ができることがわかりました。既存の遺伝子治療薬で用いられているAAV2は主に網膜神経節細胞等に発現しますが、CereAAV™による遺伝子導入効率は網膜全層で20倍以上高い効率でした。CereAAV™の製造効率はAAV2と同程度であり、コスト面も含め今後、臨床分野における利用が期待されます。
当社は、CereAAV™のCDMO受託を開始しています~{※}。今後、さらに開発を進めることで、再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装化につながる取り組みを支援していきます。
<参考:マウス網膜における遺伝子導入効率の比較>
CereAAV™によって、視細胞が多く含まれる外顆粒層に、AcGFP遺伝子(緑色)が導入されていることがわかる。
※【CereAAV™のCDMO受託の詳細】
https://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100007814
【関連ニュースリリース】
「新規脳指向性遺伝子治療用ベクター“CereAAV™”を開発」(2022年4月19日)
https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_22m0419ueEW8skpm3b.html
「脳指向性遺伝子治療用ベクター「CereAAV™」の受託製造サービスを開始(2022年7月20日)
https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_22m0720xgU87wbLkw9.html
この件に関するお問い合わせ先 : タカラバイオ株式会社 広報・IR部
Tel 077-565-6970
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