令和5年1~3月期の配合飼料供給価格改定について
全国農業協同組合連合会(JA全農)
令和5年1~3月期の配合飼料供給価格については、飼料情勢・外国為替情勢等を踏まえ、令和4年10~12月期に対し、全国全畜種総平均トン当り1,000円値下げすることを決定しました。
なお、改定額は、地域別・畜種別・銘柄別に異なります。
飼料情勢は以下のとおりです。
1.飼料穀物
とうもろこしのシカゴ定期は、9月には660セント/ブッシェル前後で推移していましたが、米国産地における生育期の高温乾燥などによる作柄悪化懸念から、10月には690セント/ブッシェル前後で推移しました。 その後、米国産の輸出需要が低調なことなどから軟調な展開となり、現在は640セント/ブッシェル前後となっています。
今後は、南米産の生育やウクライナ産の輸出状況が注目されるものの、米国産の在庫率は依然として低水準であることなどから、相場は堅調に推移するものと見込まれます。
また、主に肉牛用飼料に使用される大麦価格は、ロシアのウクライナ侵攻の影響などにより、需給が引き締まっていることから、値上がりが見込まれます。
2.大豆粕
大豆粕のシカゴ定期は、9月には470ドル/トン前後でしたが、バイオディーゼル向けの大豆油需要の高まりにより、副産物である大豆粕の生産量が増加するとの見込みに加え、11月9日発表の米国農務省需給見通しで、大豆の生産量が上方修正されたことなどから、11月後半には450ドル/トン前後まで下落しました。その後、乾燥天候による南米産大豆の作柄悪化懸念から上昇し、現在は520ドル/トン台となっています。
国内大豆粕価格は、為替の円高やシカゴ定期の下落により、値下がりが見込まれます。
3.海上運賃
米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、8月初旬には70ドル/トン前後で推移していたが、原油相場の下落などにより55ドル/トンまで下落しました。その後、中国向け鉄鉱石や石炭の輸送需要が一時的に回復したことから、10月には70ドル/トンまで上昇したものの、輸送需要が落ち着いたことや、原油相場が下落したことなどから軟調な展開となり、現在は50ドル/トン台後半となっています。
今後は、北米産穀物に加え、南米産大豆の輸出が本格化することから、海上運賃は底堅く推移するものと見込まれます。
4.外国為替
外国為替は、9月初旬には140円前後でしたが、米国ではインフレ抑制の利上げを実施し、日本は金融緩和政策を継続していることから日米金利差が拡大し、10月には150円まで円安が進みました。その後、11月10日に発表された米消費者物価指数が市場予想を下回ったことや、米国の利上げペースの減速予想などからドルが売られ、現在は136円台となっています。
今後は、日米の金利差は続くものの、米国の利上げペースが経済指標の悪化による鈍化懸念もあることなどから、一進一退の相場展開が見込まれます。
以上から、とうもろこしのシカゴ定期は上昇したものの、海上運賃の下落や為替の円高などによりとうもろこし・大豆粕価格が値下がりすることなどから、令和5年1~3月期の配合飼料価格は前期に比べ値下げとなります。
ただし、大麦価格などの値上がりにより、一部の畜種・銘柄については値上げとなります。